後戻りしない環境変動、ならばニンゲンが変わるしかない

気候変動にともなう環境変動。食料・政治(軍事)・経済が混乱していきます。やがて、西側同士でも諍いが絶えなくなる。融通しあう余地が少なくなっているのです。

それは、ニンゲンがもとめる自然由来のエネルギー。細胞(ニンゲン)へのエネルギー供給。機械へのエネルギー供給。およそカロリーという単位に変換できる能動的な存在全般に "エネルギー" が不足します。

"ニンゲンの第四の進化" は待ったなし。道具を緻密に活用する第一の進化。火(エネルギー)を制御し人間以外の力を借りて利器を日常化させた第二の進化。情報を高速に伝播し加工しシミュレーションして論理を肥大化させた第三の進化。

第四の進化(個人見解):自然由来のエネルギーに頼らない、精製されたエネルギー(原子レベル)のみで生きながらえる存在となること。

生殖。これも自然由来の次世代創造ではなくなります。人工子宮が発明され、ニンゲン拡張による "脱有機" により、精製エネルギーを取り入れられるように改造が施術されます。ニンゲンの主要な機能は "持続可能な脱着機能" へと進化していきます。同時に、胎児の脳には "拡張した論理" を移植し、必要に応じて順次発現していく "無理のない成長(疑似的な自然の創出)" となるように施されます。

この時点で、ニンゲンは "地球環境に依存しない存在" と成り得るでしょう。

地球上でカプセル化したニンゲン環境を作るもよし、そのまま宇宙で生息するもよし。おそらく、ニンゲンの寿命は100年単位で伸びていくことでしょう。そして、数は減っていく。

ニンゲンの最後の進化は、倫理。個を重要視せずに融合した状態を正しいとする倫理です。つまり、わたしはあなたであり、あなたはわたしであるということ。これにより、諍いは絶滅し、個の主張と全体の主張が一体化することができるのです。これは、第五の進化といえるのでしょう。

第五の進化を得るには儀式が必要となります。それは、「個を失う苦しみを乗り越える」という儀式。当たり前に他人が意識に入ってくることへの抵抗を捨てること。「個の死を受け入れる」ということ。

「個の死」と同時に「究極の幸福」を得ることになります。「物理的な死」は第四の進化でほぼ無くなっています。個対個の諍いはなくなり、個が取得したものは即座に全体のものとなり、また、個に還っていく。そして、個の融合により全体が進化する。

ただ、第四の進化で遺伝子的に組み込もうとした "ニンゲンの種の根源" は守られることになります。それは、人工子宮から生まれた胎児は、「疑似的な自然状況から生育される」ということです。

こうすることで、ニンゲンは神のような振る舞いを抑えることができます。

それに至るまでに紆余曲折がありました。原子レベル未満の世界を得た人間は、様々な試みを行います。ですが、どうやっても "見えざるバランス" により、狙い通りの結果を得られなかったのです。

行き過ぎた "狙い" は、それを上回る力で "狙い" にかかわるすべてを消去するように跳ね返ってきます。危うく、全体であるニンゲンが一瞬で消去するところまでいくところでした。

ニンゲンは究極の存在ともいえる生命体に進化しました。ですが、この "見えざるバランス" だけは超えられない、超えてはならない存在なのです。


今、この "見えざるバランス" が動き出しています。その発端がニンゲンの仕業かどうかを超えて、ニンゲンの文明を飲み込もうとしているのです。

次の世代のために、ニンゲンは進化しなければなりません。進化すること以外に生き残る道はないのです。


#日経COMEMO #NIKKEI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?