民主主義を確実にする手法、これが伝播していない

なので、「〇〇の春」という民主主義を求めた運動が失敗に終わり、それ以前より "不味い状態" となる。のみならず、強権政治を引き込み、民主主義を黙らしてしまう。

「民主主義を確実にする手法」とは、なんぞや。

「多数の意見を優先し、少数の意見を尊重する」ことだろうか。ただ、革命に近い状況でこれを実践することは困難であろう。

・まずは、混乱を鎮静化させる

だが、この段階で力の強いものが高位権力を握り、強権発動で民主主義の芽を摘んでしまうリスクの方が高い。事実、その例は多く見いだせる。

どうやら、ここが最大のポイントであると見る。「民主主義の芽を摘み取らない "混乱の鎮静化"」手法を開発し標準化し施行者に伝授できる仕組みと仕掛けが必要なのだろう。

・つぎに、民主主義成功体験を共有する

これもむずかしい。何をもって成功とするか。民主主義は "不満の散布状態" を常時内包している。だから、"満足分布" で囲っても、少数の不満は点在するのだ。その少数の不満をきちんと認識し尊重することができなければ、民主主義の成功とはいえまい。ともすれば、少数の "声の大きい不満" が、やがて多数派に塗り替えられる。

もう、書くのはやめよう・・・。

幾ら考えても、私の頭では「民主主義を確実にする手法」を繰り出すことはできそうにない。

Wikipediaを参照してみるか。

民主主義

のっけからひっくりかえってしまった。「『民主』という語:民主という漢語は、伝統的な中国語の語義によれば『民ノ主』すなわち君主の事であり書経や左伝に見られる用法・・・」

今の中国共産党のめざすところ、そのモノではないか。党主席を君主と見做せば、中国は立派な民主主義国家となる。

いや、そんなはずはない。過去、様々な賢者や現在の評価で言えば邪悪と言える人の諸説が掲載されていた。その中で、わたしが注目したのは、

「ペリクレス:・・・多数者の公平、法的平等、私生活の自由、法の支配などをポリスの理想と主張・・・」

の欄だ。そして、

「・・・貧窮に身を起こそうとも、ポリスに益をなす力を持つ人ならば、貧しさゆえに道を閉ざされることはない。われらはあくまで自由に公に尽くす道を持ち、また日々互いに猜疑の目を恐れることなく自由な生活を享受・・・」

できる社会とある。これを実現できる手法とは、なんぞや。

「民主主義と法」の観点から「万国公法」なる書物を見出せる。「・・・西欧起源の国際法がアジア諸国にどのように受容されていったかについて・・・」触れられているという。

「・・・清朝側が外交交渉を西欧列強のスタイルに合わせるのであれば、彼らの価値観・行動原理を知らねばならない。そこで求められたのが国際法の解説書・・・」が当該書籍とある。

そして、「・・・近代国際法が認める『文明国』かどうかを見定める具体的な要件・目安・・・」と紹介されている。

「・・・多くの思想がアジア諸国の人々に知られるようになった・・・」。のだそうな。それまでにあった ”観念” を

・自然法の観念

・民主共和の観念

・法治思想

・三権分立の観念

へ、転換していった。

私が注目したのは「『万国公法』と社会進化論

スペンサーが言っている「・・・進化を一から多への単純から複雑への変化(とみなし)、雑多になるのではなくより大きなレベルでは秩序をなす、複雑さ、多様性の極致こそが人類社会の到達点であり目指すべき理想の社会・・・」が、近代社会進化論の私流解釈だ。

当時の中国では「・・・儒教的道徳を媒介とした自然法的理解(強国が弱小国を併呑していく)」で「・・・『万国公法』の説く『万国並立』『万国対峙』という理念は建前に過ぎない」と受容したのだそうな。そこから、「西欧列強をモデルとした富国強兵改革が推進される思想的要因」となっていった。

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今の中国の外交のその先にある世界を垣間見た気がする。結局「近代化した清朝」の再建への道を突き進んでいるのだろう。皇帝が中国共産党へ変わっただけなのか。否、デジタル化で猛烈な強国へ化けたのだ。

「ペリクレスの理想」を追い求めたい。それが私の希望である。だが、曲解された「社会進化論」をもって統治しようとする強権が主流となるのだろう。

結局、「民主主義を確実にする手法」など時代遅れでだれも開発しない。「統治する統領の下で、長いものに巻かれて "つかめる範囲の幸福" で満足する 新:民主主義」の開発に余念が無くなるのだろう。教育もそれに合わせた統領主義を教えることになろう。

時代は変わる。わたしも変わらなければならないのか。

新しい春は、巡り巡ってくる。だが、どこか霞がかかっていてその全体像がよく見えない。判る範囲で生きていくしか、方法がないのかもしれない。


#日経COMEMO #NIKKEI

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