妄想:やっぱり、裸の合衆国

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裸の王様(Wikipedia参照):馬鹿者に見えない布地。大臣や民衆は「馬鹿者」になりたくないため、布地で作られた衣装を着る王様が裸であるのに歓呼して衣装を誉めそやす。

アメリカ合衆国は「栄光」という衣裳を身にまとっている。さんざめく「今の栄光」に酔いしれている。強烈なドル高であり存外激しくないインフレでありなんやかと頼られる最強軍事力である。

その「衣裳」は大樹の樹皮から作られるという。アメリカ合衆国は世界から集めた栄養(富)で大樹に育て上げた。似非職人が「樹皮から地球上で最も高価な衣装」を作り上げアメリカ合衆国に献上したといわれる。

だが、アメリカ合衆国以外の西側諸国には衣裳が見えない。新しいアメリカ合衆国大統領から「馬鹿者」呼ばわりされないように「見えない衣裳」を誉めそやす。自国が不利になるドル高であっても自主独立があやしくなる米軍依存であっても、「とにもかくにもアメリカ合衆国」と大樹の陰で安息を求める。

やがて大樹の根っこが栄養過多で腐り始める。実はアメリカ合衆国国民も気が付いている。「今は生い茂っている、葉っぱがまばらになっても太い幹があるじゃないか」という無理やりな解釈で「栄光」のなかに居ようとしている。

「東側の乾いた風」に晒されて葉が落ちていく。安息を貪っていた国々も居場所を求めてそろり大樹から離れていく。ある国は別の場所で小さな木を植樹し大樹の落ち葉を集めて育て上げようとする。ある国は大きな岩の下で「東側の乾いた風」から逃れようとする。ある国は分厚い衣装をまとい潤いを守りながらあてもなく他の大樹を探し回る。

一見、健康そうに見えたあの大樹が「東側の乾いた大風」に揺さぶられ、大きな音を立てて根っこから倒れる。最後まで大樹にしがみ付いていた人々も下敷きになっていく。「東側の乾いた風」に乗ってきた新しい種が大樹の上に降り注ぎ、幾多の年月を経て大樹の樹皮から芽を出す。

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虚実入り混じったアメリカ合衆国。「栄光」は虚構か現実か。「栄光」にしがみ付けば知らず知らずに不利になっていく。そんな妄想があの童話を思い起こしたのです。

#日経COMEMO #NIKKEI

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