これだけの前例あっても、なお、危機感薄し:パクスなき世界第5部

あきらかに危険領域に突入している。貧富の格差の差幅は前例より拡大し、グラフにすれば急峻で険しさが増している。

このままでは、強烈なリーダーシップ(ポピュリズムによる懐柔)を発揮する "新世界帝国皇帝" が必要となってしまう。その兆候は、2016年の米国大統領選挙にあったと思う。

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(Wikipedia 2016年大統領選挙から、赤色:一般投票でトランプ氏への投票が多かった郡)

トランプ氏には自覚はなかった。勝つための手法として「煽る」ことを選んだが、大統領となって終盤には予期せぬ支持者の反応で自滅への道をたどる。

かのヒトラーは、自覚があった。「扇動」「排他」「身内重視」「忠誠」「強権への憧れ」「科学より情動(第一級の科学はあったが政治は情動で支配)」「神格化」・・・すべて、頭の中でしっかり映像化しそれを具現化しようとした。

ナポレオン・ボナパルトはどうか。チンギス・カンはどうか。ウマイヤ朝ムアーウィヤはどうか。歴史をたどれば "皇帝" とよばれた人間たちを見出すことができる。

共通していると思うのは、「扇動」「排他」「忠誠」「強権への憧れ」「神格化」であろう。その背景には、現世で不自由で虐げられている大勢の名もなき人間たちが、自身を浮上させる世の中を求めて、現世を打ち破る「強権への憧れ」とそれへの「忠誠」がある。

富むものが富み、貧しきものはその存在さえ無意味と化す現代社会。民主主義の結末か、個人の自由の終焉か。その自覚がないあいまいな今こそ、目覚めて危機感を共有することが急務なのだ。


#日経COMEMO #NIKKEI

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