独裁:立つときは群衆を好み、成れば群衆を避け、群衆により滅びる

独裁者:ある団体の中における権力を独占し、恣意的に物事を進める者のこと。

この人は、最初は群衆の中で巧みに共感を生みだす能力を発揮し、群衆の力を結集し権力を握る。そして、統領となった最初は、群衆に応えるべく "解放と自由" 政策をとる。

やがて、統領就任期間が長くなると、安定を欲し、人を近づけなくなる。反対・反抗する者たちを退け、もっとも恐れるのは "群衆" となっていく。

統治は怠りなく精密に行う必要があり、近習の誠実を確かめながら、チカラの誇示を続けなければならない。「脅威は外にあり!」と発信し続け、群衆には脅威に対抗できる "力を見せつける行事" を繰り返す。ただ、その群衆は精密に構成された独裁支持者の集まりであることは言うまでもない。

だが、「蟻の一穴」のような精密のほころびから、群衆は不満を爆発させ、近習はその力を利用し独裁を滅ぼすベクトルを作り出す。独裁者は人を信用しなくなり、閉じこもるようになる。群衆は独裁者を取り囲み、拘束し、瞬時の裁判で独裁者の有罪を確定させ、その場で刑の執行を行う。

それは、あの時、群衆の中で共感を生み出し果敢に "正義" を実行した自身と群衆の光景であった。

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今回の妄想は、過去の独裁者と呼ばれた人たちの歴史を読んだ後に書きました。特に記憶の中で鮮明な映像として残っていたのは、1989年12月25日 ルーマニアで起こったクーデターでした。

即決裁判で、その日のうちに銃殺。

世界中に一部始終が発信され、独裁者の経歴も同時に知られるようになり、なにが独裁を生んだのか、庶民でも学ぶ機会となったと思っています。

独裁者を生む環境は、民主主義の中でもあります。

歴史の中で、今の社会の中で、独裁がどのように誕生したのか、今一度、学ぶ必要がありそうだと思った次第。

#日経COMEMO #NIKKEI

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