超妄想:完全自由なテキサス国出現

***** 202x年、テキサス州はアメリカ合衆国から独立し、極限の「小さな政府」を成立させた。

前年、「生殖に関する法律」をテキサス州議会の90%の支持を得て成立。その法律に値しない国家から離脱する主旨の発表を行い、アメリカ合衆国から独立を宣言した。

新・テキサス「自由国」は、自由国大統領の下、三権分立の中で民主主義が施行され、10名の国会会議体を形成し、立法を担う。大統領は、世界から1年ごとに評価され、世界の評価に準じて大統領リコール請求を可能とする。

国会会議体はバーチャル会議も許容される。世界を10地区に区分けした代表者が10名の構成員として会議に参加する。自由国の「世界自由貿易法」の下、世界10地区の貿易が自由国内で公平に競争されているか監視する。自由国内では、貿易に関して関税を掛けない。それゆえの監視となる。税は消費税のみとなり、自由国会計は消費税のみで賄われる。

移民に関しては「生殖に関する法律」の下、自由に入国でき滞在できる。

実際には「移民」というのは旧定義であって、世界10地区の市民全員が国民として定義づけられる。自由国に出入りできる市民は「生殖に関する法律」に完全同意し守ることを課せられ、世界10地区の国の法律に関わりなく「自由国の法律」の下に執行される。

世界10地区の国から「国民を守る」要請があった場合、直ちに国外追放となり、以降、厳格な審査に通らない限り自由国への入国は拒否される。

自由国内では、ありとあらゆるヒト・モノ・カネ・トキ・ココロが行き交い、経済が冷えることはない。「生殖に関する法律」さえ守っていれば、世界10地区のどの国より自由で過ごしやすい。

代償としては、自由である分、様々な対流にも規制がかからない。「富ある時も貧する時もある」というのが原則だ。だが、「国民保護法」の下、なんどでも再挑戦できるように最低限の人権保障・生存保証が施行される。

世界10地区の国々も自由国との自由貿易により経済が活性化し、国のアイデンティティさえ守られれば自由国に対して "その国" の「国民を守る」要請を発行することはない。

自由国は自由貿易圏と基軸通貨を守る責務があり、大統領はそれを執行する最高司令官としての役割を担う。

自由国の自由貿易圏で潤う国々は自由国の国民として自由国の大統領を選出することができる。「自由貿易圏の基軸通貨の恩恵」を守るための大統領として選出される。大統領は「基軸通貨の恩恵」を阻害する事象に対しては、ありとあらゆる権限を行使し、時には自由国国民が認めた暴力装置を駆使することも厭わない。世界10地区の国は、自由国大統領が下した命令に従うか抗うかを決め、抗う国には自由国大統領が「治安維持法」に基づき法を執行する。

「生殖に関する法律」は、自由国内にだけ施行され、その他の世界10地区の国には任意の協力を求める。自由国国民となっている世界10地区の市民は、自由国入国審査に通りやすくするため、その国の法律に自由国の法律を組み込んでいく。

自由貿易圏の人々は「生殖に関する法律」を厳守しながら次世代を育む "あたらしい文明" を築いていく。

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特段、テキサスという文字列を入れる必要はありませんでしたが、なんとなく妄想の中で映像を作りやすかったので使ってみました。

「生殖に関する法律」は何を意味するのか。

たとえば、「科学技術の進歩により個の思いをあらゆる方法で実現できる」ことなのか、はたまた、「神の示す "ニンゲン" であるように、教えから逸脱しない」ことなのか。

わたしの妄想の中では、アメリカ合衆国の分断は、ここに行きつくのです。同時に、個の自由を追求するのか、全体を優先し個を抑制するのか。「科学の進歩:人知を超えた存在:個:全体」 がねじれながら、引きちぎれていく様を思うのです。

経済は統制されるべきか市場にゆだねるべきか。これも、時々にねじれて思うような "持続可能な経済" へと昇華していきません。

そして、従うものと抗うもの。

諍い・戦争の火種は常にあり、何が着火の起因になるのか、だれにも予測ができません。

混沌としていくアメリが合衆国。世界はそれに揺られ各々の国で化学反応が起こり始めます。基軸通貨ドルは信用され続けるのか。信用されるようにアメリカ合衆国は力の限りドルを守っていけるのか。

アメリカ合衆国のライバルとなった大中国は、反目しながらも連携せざるを得ない大欧州と同期を取りながら巨大化していくように見えます。

世界市民の機微に触れて俊敏に反応したアメリカ合衆国のとある州。それが、今回の妄想の全体像です。


#日経COMEMO #NIKKEI

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