小さくなった戦果でも、露西亜有権者は良しとする

我慢強い露西亜有権者も、もう、限界だろうと思うのです。
「・・・ロシア軍高官は25日、ウクライナ東部ドンバス地方の解放が軍事作戦の『主要目標』だと述べた。・・・」と別の記事で書かれていました。
つまり、軍内部も疲れている。最高責任者への報告として「戦果を確実に上げるのはウクライナ東部」と上申したのでしょう。

露西亜有権者も生活苦にも限界があると感じ始めているように見えます。大露西亜思想を有権者は最高責任者と共有しています。ですが、自分たちが生き残れる保証がなければ後押しはできない。

「もう、区切りをつけるべきだ。」と、軍も有権者も折につけ発信し始めるでしょう。つまり、最高責任者がはじめた戦争の戦果を花道にして、穏便に下野させる流れができつつあるということ。戦果は如何様にも定義できます。後付けで「正義はなされた」と流布すればいい。

ですが、ウクライナ側はそれでは治まらない。どうあっても戦争責任は追及しなければならない。被害にあって亡くなった人々の弔いのためにも、そこは、引けない。

この極めて難しい戦後処理の流れをどう作っていくのか。

G20でロシア政府に対する姿勢が中立的な国々。中国政府やインド政府の筆頭は、露西亜を説き伏せ「停戦」という区切りをつけさせることができるか。G20で公開の場でロシア政府への説得を世界に見てもらう必要があります。わたしは、ロシア政府をG20の場に出席させるべきと考えています。

また、世界の人々に見てもらうのは「公開私刑」ではない、「民主主義の説得と納得」の場を見てもらうのです。民主主義が異端を排他に追いやらずに、その話を真摯に聞いて多くの国々が支持する「ともに平和を目指す世界」へ民主主義が導いていけるのか、そこを見てもらうのです。

G20が「公開私刑」の場であったなら、露西亜有権者は猛烈に反発するでしょう。「民主主義勢力は悪」を連呼することでしょう。露西亜有権者の憎しみは核のボタンを容易に押す最高責任者を選出することになるでしょう。

G20が異端を排他にするメンバーシップ会議であるなら、異端は異端同士で連合を組みます。双方、相手を「悪」として罵りあうことでしょう。歴史は韻を踏みます。

「悪を公開私刑に処す」

それが何を意味するか、どんな荒廃が待っているか。よく知っているはず。今、その流れができつつあると確信に近いものがあります。

ウクライナの思いを私たちは真摯に受け止められるか。ウクライナの怒りと悲しみと辛さを "憎しみに変えない説得" ができるのか。露西亜有権者の "誤解とそれによる憎しみを増さない戦後処理" をつくっていけるか。

そのために、「強いアングロサクソン連合を誇示する」ためのG20であってはならない。誇示すれば歴史の韻を踏む。

その岐路が、今度のG20であると思うのです。


#日経COMEMO #NIKKEI

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