赦してくれそうにない "のんびり老後"
「たて、立つんだジョー!」。これ、「あしたのジョー」の名セリフ。競争社会というリングの真ん中で "打たれて沈んだ" カラダにセコンドから盛んに投げかけられる言葉。
「70歳までしっかり働いて、社会保障費増大を防ぐ役割を担う事」さもなければ・・・、世間に打たれる。たぶん、ボコボコに。
鬼籍に入った昭和一桁生まれの父。その父の定年後の姿をなぞり、思いのままに生きられると信じてきた。「・・・もういくつ寝ると、引退生活ぅ~♫・・・」だったはずなのに、あぁ、それなのに。
個人事業主として "起つ" か。年収が下がっても企業戦士として "立つ" か。”副業推奨” という事は、リングが複数あってあちこちでファイティングポーズを取らねばならない。ポーズをとった以上、勝たねばならない。
強烈な連続パンチを浴びせられ、コーナーに追い詰められ、ガードが下がったところで、フック一発で伸びている自分。遠のく意識の中で「もう、いいだろう、父ちゃん。おれ、十分に働いたよ、なぁ、もう、いいだ・・・」となんども赦しを請う。
だが、観客(社会)が許さない。なにより、セコンド(家族)が一生懸命応援?している。「まだ、戦える、戦うんだっ!起て、立て、立つんだ!」
やがて、ぼくの視界は真っ白に包まれる。経験したことのない真っ白い空間に浮かんだ瞬間、真っ暗な底へ落ちてプツンと終わる・・・。
それって、しあわせなのかなぁ、しあわせなのかもしれない。介護生活が長くなった父の口癖「・・・死んだ方がマシじゃぁ・・・」を吐くよりは。
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