硬く風になびかぬ老草茂るも、日本に萌え出るなにかはなにか
わたしは、今、長期休耕田の冬を過ぎて硬直化した草木を夏に向けて刈り込んでいるところ。イネ科の草は乾燥して硬直化し風になびくことができない。その茂りの中で萌黄色を見つけるにつけ、日本の資本主義の現状と似ているなと思うのです。
わたしは、老いた草木を刈り取ります。春の光は萌黄色に降り注ぎ、雨を吸い込みぐんぐん伸びて、しなやかな風になびく茎を見せるのです。みずみずしい若い葉は葉先から水がしたたり落ちる。
本当は刈り取った老いた草木をまとめて萌黄色に添わせるのですが、わたしも老いた。刈り取ったらそのまま刈り払い機のシャフトの振りに任せて左右に寄せるのみ。刈り取っては左右に寄せて少しづつ前に進む。折り返しては同じ動作の繰り返し。
寄せた草の脇や谷、毎年、萌黄色は深緑となって夏を越え秋にその黄金色を風になびかせるのです。やがて、冬がやってくる。
耕作放棄地は多年過ぎると、老いて風になびかぬ草木を柱にして蔓がはびこり、網のように覆います。
毎年のように網を上に重ねてその重さで柱は倒れ、その重なった枯れた灰色の網の中から萌黄色の蔓がにょろりと現れます。
刈り取るということ。そして刈り取った老いた草木を夏に向けて丹念に萌黄色に添わせる。それができなければ、蔓延る耕作放棄地になってしまう日本。
少子高齢化であればあるほど、"丹念" が必要とされます。手間暇を惜しまず、萌え出るなにかを見極めながら、刈り取られた草木を丁寧に添わせることが、日本の新しい資本主義を育てるのだと思った次第。
※ヘッダー写真の説明
・手前が長期休耕田
・その先が、貸し出した田んぼ(今年は借り手がいない)
・そのさらに先、川に面したところが耕作放棄地。蔓もだんだん生えなくなり木がおおきくなりつつあり
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