中国政府:人権より経済で「説得・納得」路線はかわらず

中国政府を叩く時、「人権擁護」を武器とする例が多いと思うが、中国政府は「経済で説得・納得」で対抗するのだろう。

「長いものに巻かれていれば、息苦しいがメシは食える」という事だ。

逆に言えば、メシが食えなくなれば、猛烈な勢いで反発が飛び出てくる。中国五千年の歴史の中で繰り返されてきた事。だから、中国政府は「経済で説得・納得」を最重要視している。

香港への強権政治は、「食わしてやるから黙っておれ」ということ。食っている間はモノ(人権・民主化要請)を言わない。香港においても貧富の差は著しい。だから貧しい者への説得は有効なのだ。

台湾はどうか。台湾は自立しており「食わしてやる」的説得には効き目がない。効き目があるのは「更なる経済発展(向上)」。同時に、中国政府の言う通りにしていれば一等国民扱いが約束されるという話。プライドをくすぐれるかの問題。欧米はそこを見誤っている。

今、二等国民扱いのチベット・ウィグルの開発が急ピッチに進んでいる。他国からの干渉「人権擁護」に対抗するためだ。曰く、「彼の地では、みんな経済発展に納得している」。

では、周辺ではどうか。ミャンマーでの出来事は「三等国扱い」で「食わしてやる」で軍政を擁護する説得が続いているとしか思えない。軍政は、欧米の人権擁護と相いれない政治姿勢なので彼らは納得するのであろう。

さて、日本はどうか。欧米は一等国扱いしてくれている。経済も厳しいながら、まだ、回っている。だから、中国政府の「食わしてやる」説得には納得しない。反発だけが残る。

欧米はどうか。人権擁護を研ぎ澄まし、切れ味の鋭い武器にすれども、チベットもウィグルも「食わせている」わけではない。ましておや、ミャンマーにどれだけの経済発展を約束できるのか。台湾の経済衰退を招くような関係を築いてしまっていないか。

人は生きていくために食わねばならない。まず、そこからなのだ。それを、貧富の格差をそのままにしておいて、人権擁護の剣だけ磨くのは、なにか違和感を持ってしまう。

日本も欧米も、「貧富の格差を是正できる新しい経済」を引っ提げて、もう一つの手で「人権擁護」を掲げねば、彼の地の「苦しんでいる人々」の説得も納得もできまい。

人権擁護と経済発展。二つ同時でなければ意味をなさないのである。

#日経COMEMO #NIKKEI

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