「もっとツヨイものを」の欲求に勝てないニンゲン

これは、妄想ですが *****

タイでは、嗜好品以外の限定された大麻の解禁が発表されたようだ。アメリカ合衆国の州でも対応がまちまちとなっている。大麻は「・・・含有される約60種類のカンナビノイド、特にテトラヒドロカンナビノール(THC)には薬理作用があり、その作用から抑制剤に分類されるが知覚変容の幻覚作用もある。効果としては幻覚剤とまではみなされなかったが、眠気を起こす作用、虚脱作用、興奮作用もあり、それらの目的としても用いられる。・・・」だとされている。

ニンゲンは(悪い)ストレスにさらされると何かの行動で癒そうとする。興奮と虚脱を求めて激しい運動をしたり、眠気と虚脱を求めて音楽やアロマに浸る。よくあるのは、アルコール摂取による興奮・虚脱・眠気だろう。

だが、それでも解消されない "粘り気の多いストレス" は、さらに強い効能のあるもので対抗(洗浄)しようとする。運動は過度になり、音楽は騒音に近い状態となり、アロマはもはや煙害に相似する。そしてアルコールは泥酔を繰り返すようになる。

やがて麻酔効果をもとめるようになる。麻酔とは「・・・薬物などによって人為的に疼痛をはじめとする感覚をなくすことである。・・・」とある。

ストレスを疼痛として置き換えるなら、この欲求は理解できる。だが、厳重に管理された薬物は容易く手に入らない。そこに暗黒の世界から安易に手に入る「麻酔類」の "暗黒クスリ" が登場するのだ。

ただし、"暗黒クスリ" は厳格に法律で常用が禁止されている。常用すれば堕落への道をひた走るからだ。ここで詳しく書くのは割愛する。何が起こるかは、誰しもが理解できているはず。

ただ、"暗黒クスリ" のリストに入っていたクスリが明るいところに出てくるようになりつつある。つよいものを求めてやまない "粘着質のストレス" にまとわりつかれている人にとっては、「違法性の低いツヨイもの」と映る。場合によっては、暗黒に比べれば光を反射して「うつくしい」という感情も湧いて出てくるだろう。

「うつくしいクスリでまとわりつくストレスを洗い流す」「うつくしいニンゲンになる」。高揚して興奮し、やがて虚脱の中で目覚め、現実のストレスにまとわりつかれ、再び、神々しい "うつくしいクスリ" を拝むように自身にあてがう。

一時でも、まとわりつくストレスを洗い流すことができる。"絶対神" として崇めることになり、幻聴であってもその存在の申し出は「神のお告げ」となって、周りに「うつくしい世の中」として説いて回ることになる。

絶対的な服従はうつくしい。

"うつくしいクスリ" は神と出会える唯一の儀式として規律と化し、その支配は絶対を求め、最強をもとめるニンゲンが奴隷となって幻聴に従う世界を形成するのだ。

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わたしの父はアルコール依存症でした。もし、大麻のことがわかっていたなら、過疎地ですから人知れず栽培し、「野焼きだ」とうそぶきながら、その煙の中で恍惚としていたのだろうと、容易に想像できるのです。

父にとって "粘着質のストレス" は、先祖代々の猫の額ほどしかない土地を守っていくこと。その跡継ぎは統合失調症となり、都会からUターンで帰省した私にも、強く求めるようになりました。

"土地を守ること" を自身でコツコツ熟してきたことが、老化で思うようにできなくなり、「土地を守れ、作物のできない田畑だが、それがなかったときの飢餓をおもいだせ」と先祖からの "お告げ" ともおもえる強迫観念を洗い流すことができず、ぬぐってもぬぐっても纏わりつくストレスとなっていました。できることといえば、アルコールに浸ること。

粘着質のストレスにまとわりつかれれば、ニンゲンは強い洗浄力を手にしたがる。父の最期まで10年ほどを共に生きてきて、そう思ったのです。


若者の視覚・聴覚、低下の恐れ 生活習慣改善し歯止めを(日経新聞参照)

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