3月、もうカエルが鳴き始めた。巣ごもり終了
やっぱり、あったかい。例年の3月よりあたたかく感じるのはワクチンのセイカ。
桜の色も鮮やかに写る。春霞の色なのに、空と同じ重さなのに、軽やかに風に踊っている。
なにかが、変わる。いつもの春だけれど、きっと、何かが変わる。カエルはそう啼いている。
ぼくは、おおきなものに丸呑みされないように、隅っこを探しながら生きてきた。何かを横切るにも、隠れた捕食生物に吸い込まれないように。
けれども、この春の目覚めは、おおきなものたちの世の扉をあけ放つ。ぼくは動きを止める。動けば、なんでも呑み込むおおきなものの餌食となる。
僕イガイが猛烈な速さで動き出そうとしている。とどまるぼくは、ソウタイテキに遅れていく。それで、捕食されずに生きていけるか。ぼくがぼくでありつづけられるか。
ぼくよりおおきなものは、それよりおおきなものに捕食される。そうやって、よのなかはおおきくおおきくなっていく。
ぼくも生きるために、ぼくより小さなものを探さないといけない。探すためにうごけば捕食される。だけど、腹は減っている。めまいもする。
いつもの春。霞で境界線がはっきりしない。それが、おおきいものなのかちいさいものなのか、定かではない空間で、ぼくは腹を空かせている。
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