船も一緒に

世界一周の旅~インドネシア③(ウブド⇒ジョグジャカルタ、地獄のバス移動)

ゲストハウスのスタッフに、今日出発してデンパサールに行くよというと、スタッフの一人のジョニー君(20代ぐらいの男子?)が、丁度デンパサールに行く用事があるから車にのせてってやるよと言われる。この人たち、どこまでもいい人だ。道中色々な話をしたが、突然薄らと悪そうな笑みを見せ、ジョニー君が下ネタの話を始める。「バリの飯は辛いだろ?だからバリ人の男はベッドじゃすげーんだ」、「バリのベッドガールは病気とか危険だから絶対買っちゃだめだぞ」など、この類の話で盛り上がるのは万国共通だなと思う。

バスターミナルに到着すると、無数のタクシーの客引きが群がってくるが、ジョニーのおかげで全てシャットアウト。ジョグジャカルタまでのバスチケットも、ジョニーが交渉して値切ってくれた。本当はデンパサールで一泊していく予定だったが、ターミナルから市街地まで遠いと言われ、またジョニーが今日12時発のチケットを買ってしまった為、急遽ジョグジャへ向かうバスに乗り込む。

この移動がまさか史上最悪の経験になるとは思ってもいなかった。

バスに乗り込むと、席はトイレの真横。臭い。そして、自分のバックパックはトイレの真横に置かれた。クーラーはあまり効いていない。座席のリクライニングは果てしなく倒れる種類のもので、前のムスリムの夫婦が出発から容赦なく倒してきた。バスの運転は予想通り荒い。猛スピード+急ブレーキの組み合わせでバス酔いにはことかかない。道路はでこぼこが多く、後ろの席だと時に体が跳ねる程の振動が来る。また、バスの中ではインドネシア人の好奇の目にさらされた。何か言われているのはわかるが、インドネシア語は殆どわからない。

それでも、車窓からの風景は矢張り心落ち着くものであった。クタやウブドで見た風景がまた通り過ぎていく。バリ島からジャワ島へはフェリーで渡ったが、このフェリーが途上国特有の排気ガスとゴミが交ったような匂いを海風で消し去ってくれた。この匂い、嫌いではないが、ずっと纏われていると体力を奪われてしまう。そして何より、フェリーから見える夕陽は美しかった。

夜八時にバスは休憩で止まり、周りに殆ど明かりがないような、サービスエリアというのも躊躇われる程小さな建物に泊まる。昼から体調不良で殆ど何も食べていなかったので、あまり気のりはしなかったもののレバーのようなものが入ったカレーを食したが、お腹がすいていたからだろうか、案外いけた。結果2杯食べる。

その後は、食後ということもあって気持ちよく寝ていたが、夜11時に突然叩き起こされる。ドライバーが、「起きろ!」というジェスチャーをしていたが、何のことか全くわからずまどろむ目のまま呆然としていると、英語を介するインドネシアが、「Transit!」と教えてくれた。急いでバックパックを持ってドライバーに案内されるがままに前方に止まっているバスに乗り込むと、リクライニングもない普通のローカルバスが待っていた。呆然としたが、既に殆どの席が埋まっていたので、急いで席を見つけて座る。しかし、そのバスは休憩中だったのだろうか、すぐにたくさんの乗客が乗ってきた。自分が座っていた席は、別のインドネシア人が座っていた席らしく、「どけ」というジェスチャーで追い出されてしまった。

その後は最後尾の5人掛けの椅子の真ん中で過ごすこととなる。前のバスも居心地のいいものではなかったが、このバスはそれをはるかに下回る。しかも、あろうことかバスの中で乗客が喫煙を始めたではないか!しかも、2,3人の話ではない。半分以上が煙草を吸っている。煙草を吸わない自分には、まさに地獄の様な状況。この状況が後何時間続くのだろうと絶望感が覆い始める。そして、飛行機を使わなかったことを真剣に公開した。

結局、途中何人か降りたおかげで、最後尾の真ん中という罰ゲームのような席からは途中で抜け出すことができた。夜の3時に再び休憩で止まったが、もちろん何も食べる気にはならない。しかし、周りの人々は何かしらの物を食べていた。その際、ジョグジャの到着時間を他の乗客に聞いたところ、8時との答えが返ってきて倒れそうになった。一方、バスの運転手に聞いたところ4時。此方の方が信頼できる答えだが、4時に到着してどうやって市街地まで行けばよいのかと不安になった。

実際には4時30分に到着。降りたとたんに無数のタクシー運転手から声がかかる。先ずは状況を把握する為にインフォメーションデスクに向かう。ジョグジャの市街地まで歩いてどれぐらいかかるかと尋ねると、12kmあるから無理なんじゃないかとの答え。確かに時間的にも体力的にもきついので、地図を頭に叩き込んでからタクシー運転手との交渉を開始。タクシー以外の交通手段がない中での交渉は本当に気が重い。結局30,000ルピアで妥結。ジョグジャの安宿街まで連れて行ってもらう。到着後40,000ルピアを渡したところ、おつりを5,000ルピアしか渡さない。30,000ルピアだろというと、35,000ルピアという。ここでナメられてはいけないと思い、繰り返し言うと渋々10,000ルピアを取り出した。

そこへ、宿の客引きのおじさんがやってくる。通常このような客引きは無視するが、朝5時30分では体が言うことを聞かず、勧められるがままにホテルに入り、ベッドに倒れ込んだ。

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