3_道は開ける

『道は開ける』~日常の悩みを取り除くには

『道は開ける』も含めたデール・カーネギーの本の中では『人を動かす』が尤も有名だが、本書も内容的には負けじとも劣らない良書。ただ、タイトルのインパクトが小さいせいか、『人を動かす』程浸透していない。

確かに本書に簡潔な日本語でタイトルを付けるのは難しいが、各章に通底している概念として、「悩みは結局小事に過ぎない」という考え方があるのではないかと思う。各章でのメッセージは、例えばレストランの給仕や清掃員に愛想よく振る舞うことで自分を満足感を得る等、一度は自分でも実行したこともあるが、その振る舞いに持続性がなかったことに気付かされる。それと同時に、改めてこのような振る舞いのメリットを認識させられることで、自らを悩みを取り除くための正のサイクルに置く良い効果が生まれる。

カーネギーのその他の本でも言えることだが、本書はアメリカの過去の偉人を含めた人々の実際の体験談が豊富に盛り込まれることで、その平凡なメッセージの中に強い説得力が生まれる。特に、ベンジャミン・フランクリンが毎晩自己反省をして自らの重大な過失と戦い続けたという逸話は、日々の自省を促す為には最高の事例である。

Part 5の「悩みを完全に克服する方法」はキリスト教色が強いパートとなっており、宗教に疎い自分にはよく理解ができない部分も多かったが、宗教が人に与えるポジティブな影響を与えることを十二分に理解することができた。

以下、備忘メモ。

・悩みを解決する為の魔術的公式(P30)
 第一:まず状況を大胆率直に分析し、その失敗の結果起こりうる最悪の事態を予測すること
 第二:起こりうる最悪の事態を予測したら、やむおえない場合にはその結果に従う覚悟をすること
 第三:これを転機として、最悪の事態を少しでも好転させるように冷静に自分の時間とエネルギーを集中させること

・プラトンも述べている。「医師の犯している最大の過失は、心を治療しようとせずに、肉体を治療しようとすることだ。しかし、心と肉体は一つのものであり、別々に治療できるはずがない!」(P44)

・ガレン・リッチフィールドの悩みの分析の手法(P68)
 ①私は何を悩んでいるか
 ②それに対して私は何ができるか
 ③私はどういうことを実行しようとしているか
 ④私はそれをいつから実行しようとしているか

・小事にこだわる人生はあまりにも短い(P102)

・私たちは聖者と違って自分の敵を愛するのは無理かもしれない。けれども、自分自身の健康と幸福の為に少なくとも敵を許し、忘れてしまおう(P176)

・私たちが他人に感謝することを教え込まなかったとしたら、子供たちに感謝してもらえるはずがないのではないか(P190)

・「子供は早耳」(P192)

・「ホテルや理髪店、その他の店に入った時に、どんな人と顔を合わせても、私のほうから何か愛想のいい言葉をかけるようにしている」(P242)

・(フランクリンの自らが認識する13の欠点の内の3つは)時間の浪費、小事にこだわること、他人に難癖をつけたり反駁したりすること(P290)

・疲れる前に休むのだ(P304)

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