2006_1108世界一周part10208

蚊のいないシンガポール(世界一周の旅~シンガポール①)

ジャカルタからシンガポールへの飛行機の座席に座った瞬間、安堵の感情が込み上げてきた。これで先進国で一息つける。インドネシアでの一か月間は、今まで途上国に一週間以上滞在したことなかった自分にとっては楽しさよりも辛さが際立っていた。しかし、いざ飛行機が出発する直前となると、丁度夕陽が射し始めたこともあってか、名残惜しい気持ちになってきた。もう少し自分の境遇を前向きにできなかったか、道端で話しかけてきた人を適当にあしらわずに、もう少しコミュニケーションをとるべきではなかったか、そのような後悔が湧く。辛い状況でも自分の気持ちを前向きに持っていく力が必要だ。

シンガポールは、インドネシアの位置関係から時差はあっても遅れる方向なんだろうなと思っていたが、一時間早いとのことである。調べてみると、シンガポールと香港は共にイギリスの植民地であったが、香港と時差が生じてしまうと、シンガポールの取引所で多額のロスが発生してしまう為、香港と時差を合わせたという話があったが、本当なのだろうか。

シンガポールのチャンギ空港に到着すると、その広さと清潔さにぶったまげた。成田なんて目じゃないぐらいの大きさだ。地下鉄も車体が新しく、車内は清潔である。車体は川崎重工製でちょっと嬉しくなる。ここで驚いたのは地下鉄内の軍隊への勧誘広告。こんなものが日本にあると、特に今の日本ではすぐに問題になるだろう。後にYMCAで出会った日本人のカシオさんという方によると、そもそもシンガポールは歴史的にマレーシアとインドネシアという面積が広く人口も多い国に挟まれており、また二国との経済格差は広がる為いつ攻められてもおかしくない状況らしく(平和ボケした自分の頭では、今でも「ホントにそうか?」と思うが…)、自国防衛の為に沢山の兵士を確保しておく必要があるとのことである(徴兵制はあるものの、終わった後に職業軍人になる人が少ない)。他にも、シンガポールには衝撃的な事実がいくつもあった。

・地下鉄や空港には、戦争に備えて核シェルターが準備されている(アジアの仲でのイスラエルの様!)。

・麻薬持ち込みは死刑の対象。

・売春は一部の地域のみ合法。ただ、HIVに罹患すると国外退去となる。

・蚊を増やさない為に、土地や建物の所有者は蚊が繁殖する水たまりを作らないことを義務付けられている(おかげで、蚊に刺される数は2週間のシンガポール滞在中ほぼゼロであった)。

・地下鉄ではテロ防止の為のビデオが延々と流れている(ビジネスと観光で成り立っている国なので、テロが起これば致命的)。

・実はけっこう反日。第二次世界大戦中で阿鼻叫喚な虐殺を行ったからとのこと。ただ、日本人は重要な観光客であるため、感情が外交的に表立って出ることは少ない。

尚、カシオさんは当時30歳。インドネシアのジャカルタ郊外で仕事をしており、ビザの更新の為一時的にシンガポールに来ているとのこと。2000年の就職氷河期の話や、学歴だけじゃ生きていけないということを話す。このように、日本じゃ交わらなかっただろう人と話すのは興奮する。旅の醍醐味だ。

チャンギ空港

電車の中 写真の中の広告は全て職業軍人募集の為のもの

地下鉄内の核シェルター

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