4_最前線のリーダーシップ

『最前線のリーダーシップ(Martin Linsky / Ronald A. Heifetz著、2002年)』~リーダーとは危機を

最前線のリーダーシップ

そもそもリーダーとは何か、訪れる危機を乗り越える為にはどうしたらよいかを体系的に論じた良書。以下三つの質問に対する答えという3部構成となっている。

①なぜ、どのようにリーダーシップは危険なのか(第1部)
②それらの危険にどう対応すればよいのか(第2部)
③困難な状況のなかで心の活力を保つにはどうすればよいか(第3部)

「リーダーシップの発揮は、人生により多くのエネルギーを注ぐことによって、より豊かな人生を得ることでもある」というフレーズは、今後の自らの生き方を考える意味でも重要な示唆を与えてくれる。確かに、自分の少ない過去の経験から考えても、リーダーシップには面倒なことが終始付きまとう。どんな取り組みにも誰かが負担・代償を負わねばならず、その人たちに寄り添った中でどのような解決方法を模索していくか、これはいつも難題である。このような課題にどのように取り組むかを体系的に説明している。

内容が豊富である為、今後悩みに陥った時に何度も読み返す本になるだろうなと思う。そのような本に出合えるのは嬉しい。

以下、備忘まで。

・なかでも、リーダーシップのはらむ危険性は本書の主要テーマである。しかし、リーダーシップを取り扱う類書の多くは、このテーマを理想主義的にとらえすぎている。他人を感化することばかりを重視し、そのために汗を流すことを軽視しているのだ。(P16)

・人や組織が変化に適応する際の権限とリーダーシップの在り方を理解する為の、理論的な分析の枠組みを提供する目的で書いたものである。(P20)

・「技術的な問題」、「適応を必要とする問題」(P29)

・帰属心や忠誠の意識の再構築は、人生で最も苦渋に満ちた作業の一つである…家族に受け継がれている価値観を捨て去ることは、家族を捨てるようなものなのだ。(P46)

・「本人の計画からその人の注意をそらすための無意識な陰謀」(P63)⇒自らの時間にOwnershipを持たねばならない

・事実を明確に見通し、また同時に大きな全体像を見渡せる大局観を持つ唯一の方法は、騒ぎから距離を置くことである。(P81)

・自分が持つ意図や個人的感情といったものは、ひとまず置いておき、他の人がバルコニー席に上がっていたら自分をどのように見るか、という視点で自分を眺めなければならない。(P82)

・自分自身の存在が無視され、弱められ、はれもの扱いされてしまった状態で、冷静さを保つのは至難の業だ。(P87)

・あなたの周りが怒りや緊張で煮えたぎっているときでも、自分自身を慎重に冷静に保てるように何度も訓練しなければならない。(P201)

・あなたが取り上げようとする問題のほかに、人々の頭にはどんな問題があるのかを知っておかなければならない。(P211)

・「役割」と「自己」を区別する。(P266)

・すぐに手の届くところに自らの聖域を持つことで、必要不可欠な物理的な支えと、改革に必要なエネルギーを得ることができる。(P288)

・問題は、それが自税を促す構造として自分に合っているか、それを日常的に行えるかということである。週に一回行うくらいでは十分とは言えない。(P289)

・死期の近い人々が「もっと職場で時間を過ごしたかった」と言うのを聞いた人などいないだろう。代わりに、無数の形の人生の喜びについて耳にしたはずだ。(P294)

・人生の意味の最も重要な源は、他人との絆を渇望することからきている。(P295)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?