2006_1108世界一周part10268

お金を使わないとシンガポールを楽しむのは難しい(世界一周の旅~シンガポール②)

今回の旅の主目的は、「世界の貧しい人たちを助ける為にはどうすれば良いかを、実際に現場を見ながら考える」ということであるが、もう一つの目的として、時間が取れない社会人になる前に、「色々な国を見て色々なことを感じてこよう」というものもあった。シンガポールはまさにこの目的の為に立ち寄った国であるが、お金を使わないバックパッカーが楽しめることは少ない。

食事は申し分ない。勿論、インドネシアと比べれば高いが、東京と比べれば半額のイメージであり、そこら中に様々な国の料理が食べられるフードコートがある。色々な物を食べたが、お気に入りはバクテーとロティであった。しかし、全く例えばシンガポールの見どころである動物園や、セント―サ島の有料部分に入る為には結構なお金がいる。この後も半年以上の旅を予定している自分にとっては受け入れられない金額であった。

===

シンガポールに到着後、その日は空いているが明日からは空いていないといわれていたYMCAに泊まり、そこで出会ったカシオさんと夜11時ぐらいから近くのフードコートに向かう。セブンイレブンでさえ閉まっているのにフードコートはまだやっているのかと驚く。カシオさんは、自らも認める通り日本をしゃべる相手に飢えていた。自分もある程度は日本人との会話を欲していたが、彼の喋る勢いには終始圧倒された。彼とは前日の記事に書いたことを教えてもらったりしたが、フードコートを出たのはもう1時近くであった。

翌日はYMCA以外の宿を探す為に、朝から高島屋に入るキノクニヤで立ち読みをする。ジャカルタのキノクニヤとは比べ物にならない。高島屋のあるオーチャードはシンガポールの目抜き通りで、様々な高級ブランドショップが肩を並べる。まだ平日の朝だからか、歩いているのはビジネスマン風の人が多いが、観光客もちらほら。見ているだけでも楽しいが、基本的にバックパッカーには縁遠い通りである。

ホテルに空き状況確認の電話をし、YMCAに戻ってからカシオさんとチャイナタウンに食事に向かう。ローカルの食堂のような場所で、中華系の老夫婦と相席になったが、カシオさんは相変わらずの勢いでまくしたてる。当時はより好奇心旺盛だった自分も興味深く耳を立てて聞く。この姿勢が彼を更に刺激したのかもしれない。幾分か時間がたって、今度は彼が中国語でその老夫婦と会話を始めた。全く意味はわからないが、時折笑顔も出て会話が盛り上がっている様子がうかがえる。自分も愛想笑いを浮かべていたが、会話が盛り上がってきて老夫婦がコーラと魚のスープを注文してくれた。代わりに注文してくれたのかなと思っていたが、自分たちが今まで注文した分も含めて、その老夫婦がおごってくれるとのことだ。まさか言葉も名前もわからない人から御馳走になってしまうとは思わなかった。シンガポールは食の面では楽しい思い出しかない。

昼食を終えて、Backpacker's Cozy Guest Houseという新しい宿に向かうと、いかにも怪しそうな、髭を蓄えたり長い髪を垂らした欧米人バックパッカー3人と、日本人のおじさんが1人いた。昨夜からずっと話を聞いていたので、疲れて仮眠をとる。仮眠後に日本人のおじさんと少し話すが、彼は広島出身で定年退職した身であり、現在東南アジアを旅行中とのことだ。既にタイ・カンボジアも行ったとのことであるが、そこで誇らしげに売春の話を始めた。下ネタは万国の男性の共通の人気の話題であるが、この東南アジア旅行は売春ツアーであると豪語するこの人の話には嫌悪感しか抱けず、特にカンボジアで処女の女の子を「多少値段は張ったが買って感動した」とかいう話を聞いたときは、心の底から「日本の恥さらし」と思った。あまりにも不快になったので、適当に会話を打ち切って散歩する。

そうだ、東南アジアはそういう地域なのだ。日本人の様な金を払う人間がいるせいで、そのように少女が場合によっては奴隷の様な境遇で働かされている状況に胸が痛くなる。でも、その収入で助かっている家庭もあるかもしれない。どうすれば良いのか。そんな答えのないことを考えながら床につく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?