正義のヒーロー

僕の未来は決まってる。
「生きるの下手だね。」ってたくさんの人から言われる未来。

頭はよくないし、勉強もできない。
「自分の言葉や行動に責任を持ちなさい。」って、よく言われる。
考えて行動しても、考えて言葉にしても、いつも間違ってるって言われる。

だから僕はたくさん考えて、周りの人の気持ちも言葉も、行動も、全部たくさん考えた。

いじわるされても、優しくいれば大丈夫だと思った。
悪いことをしているのを見ても、ダメだよ、なんて言わなくてもみんな知ってる。

僕は正義のヒーローになりたかった。
傷つけられたり、イヤなことをされたり、たくさんの間違いから守るヒーロー。
戦隊モノのお話も、魔女やお姫様のお話もみんな主人公はまっすぐだった。
僕もそうなりたかった。

でも大きくなると、そんなこと全く関係なくなるってことを知った。
悪口なんてたくさんあるし、計画を立てて悪者にされることだって普通の世界。
どれだけみんなの気持ちや、考えを分かろうとしても、全部上手くいかなかった。

そんなことしちゃダメだよ、って言えば、「えらいこぶりっこ」
悲しいことがあった時に泣くのをガマンできなかったとき、「悲劇のヒロイン」
どれもいいけどこっちもいいねって聞かれたことに答えると、「聞かなきゃよかった」

どんな答えを出しても、辛くても悲しくても、僕の言葉と行動は「間違いだらけ」だった。
そのうち、「生きるの下手だね。」って言われるようになる。

生きるの下手って、なんだろうなって。
生きていくのに上手いとか、下手とかってあるのかなって。

最初に聞いたとき、僕は庇ってもらえる言葉だと思ったけど、ちがう気がした。

周りの人に僕の考えを全部教えなきゃいけないって思ってた。
周りの人の考えをダメって言っちゃいけないって思ってた。
僕の考えは僕のがんばって出した答えじゃなくて、周りの人のおかげでできたものだって思ってた。
上手って言われるためには何をしたらいいんだろうって思ってた。

たぶん、ちがうんだと思う。
僕は、すぐ悲しくなったり苦しくなったりするけど、悲しく思っても苦しいって感じてもいいんだ。
間違ってるかもとか、ダメだよって言いたくなることたくさんあるけど…
伝えるか伝えないかは僕の決めることだけど、もし間違えてるかもの人がそのままでも何もしなくていいんだ。
間違えちゃった人や、悪いことをしている人がいても、何がいいか悪いかを決めるのはその人だから。
お友だちだと、悩む事もあるけど、その時に伝えたいこと伝えていいと思う。
伝えることも悩むけど、お友だちはきっとどの答えでも聞いてくれる。
ごめんねっていうことについては、また今度伝えるよ。

たくさん伝えようとしたけど、下手なんて言葉、気にしなくていいよってこと。
僕の生きる道は、僕にしか分からないし、僕にだって本当は未来なんて分からない。
押しつけたり、決めつけたりするのはよくないけど、
未来の僕は、今の僕が考えもしなかったことを考えてる。

いいじゃん、正義のヒーロー。なれるよ、なんにだって。
だってさ、未来の僕は今の僕よりもっとすごいんだから。
今の僕は未来の僕に、ありがとうって思うよ。
君が僕だなんて。信じられないや。
たくさんがんばったんだね、ありがとう。
今の僕も、ヒーローになるための修行、がんばるよ。

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