映画『SNS-少女たちの10日間-』を観て

緊急事態宣言中、どこも映画館が閉まっている中どうしてもこの映画が観たくて、初めて池袋のシネマロサという映画館に行った。映画はかなり観る方だと思うが、受付で対面でチケットを買ったのは10年ぶりくらいな気がする。古き良き映画館だった。

この映画はネットニュースで予告を知ってから気になっていて、普段ドキュメンタリーを観ないもののぜひ映画館で観ようと思っていた。

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《あらすじ》

成人女性が未成年という設定のもとSNSへ登録すると、どういったことが起こるかを検証したドキュメンタリー。巨大な撮影スタジオに作られた3つの子ども部屋に、幼い顔立ちの18歳以上の3人の女優が集められた。彼女たちは12歳の女子という設定のもと、SNSで友達募集をする。その結果、彼女たちにコンタクトをしてきたのは、2458人もの成人男性だった。精神科医、性科学者、弁護士や警備員など専門家による万全のケアのもと、撮影は10日間にわたり続けられた。撮影されているとは気付かず、何も知らずに卑劣な誘いを仕掛ける男たち。彼らの未成年に対する容赦ない欲望の行動は徐々にエスカレートしていく。(映画.comより抜粋)

《感想、という名の独り言》

普段ドキュメンタリーを観る機会が少ないので、正直映画の構造や全体の出来に関しては良く分からない。ん?と思うシーンは何回か出てきたが。ただ、普段観ない身としては深夜の2時間特番という感じでフランクに鑑賞出来た。もしくはネトフリ作品。(言い方を変えれば2000円払うからにはもっと映画感は欲しかったかも)

物語の感想としては、一言で表すと「気持ち悪〜」だ。たいていの人はそうだと思う。題材的に性的な話なのは承知していたが、モザイクありとはいえ自慰行為や下半身のシーンが度々あの映画館の大画面で映し出される。しかもがっつりモザイクではなく、え、少し薄くない?と思ったので、苦手な人は観ない方が良い。

12歳の女の子にテレビ電話をかけてくる成人男性にももちろんモザイクがかかっているのだが、目と口だけは露出している。少女を見つめるいやらしい目つきと、言葉巧みに少女を誘惑する口元が確認できるだけで一気に現実感と気味悪さが増す。全モザイク・全露出より目と口元だけの方が、こちらの視線が集中してそこに向くので嫌悪感が増すのだろうか。

ドキュメンタリーなので大きな起承転結などはない。故に現実感が増すのだろうが。この映画をきっかけに実際に警察が動いたそうだ。

ただの映画好きの一般人の感想としては、「うーん、これは本当にありえない話だけど実話なんだよな・・・」だ。「絶対観た方が良い!」とは思わないかな・・。これは、正直チェコというはるか遠い国の話にまだ実感が湧いていないのだと思う。映画の作りも全体的に他人事感があった気がする。これが大きな要因かもしれない。もちろん良い大人なので事の重大さや映画に出てきた成人男性の卑劣さは理解しているし、心底軽蔑する。ただ、事実をなぞっているだけで今後の問題解決への繋がりが薄かったのが残念だった。だからこそ映画ではなくて深夜の2時間特番もしくはネトフリで良かったのかもしれない。(多分、これは私がドキュメンタリー慣れしていないのが大きな要因なのだろう)

でも、問題喚起としてはこの上ない程に良い作品だろう。日本でもリメイクしてやれば良いのに。絶対に犯罪減るのに。テレ東、深夜枠でやってくれないかな。

この映画に関して、ライムスターの宇多丸さんが批評している内容が分かりやすかった。男性側の感想が聞きたいと思っていたのでとても興味深かった。映画を観た方も、観ようか悩んでいる方もぜひ。

5月7日(金)TBSラジオ アフター6ジャンクション(1)【カルチャートーク】など https://radiko.jp/#!/ts/TBS/20210507183320

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