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本屋さんのダイアナ —心に生き続ける親友—

私の名は、大穴(ダイアナ)。おかしな名前も、キャバクラ勤めの母が染めた金髪も、はしばみ色の瞳も大嫌い。けれ ど、小学三年生で出会った彩子がそのすべてを褒めてくれた――。正反対の二人だったが、共通点は本が大好きなこと。地元の公立と名門私立、中学で離れても 心はひとつと信じていたのに、思いがけない別れ道が……。少女から大人に変わる十余年を描く、最強のガール・ミーツ・ガール小説。

 派手な外見とキラキラネームにそぐわず、内向的で繊細なダイアナと、育ちの良いお嬢様だけど、流行のゲームやジャンクフードに憧れる彩子。自分にはない輝きを持つ相手に、お互いに惹かれ合うのは、必然だったんじゃないでしょうか。
 二人が親友でいられたのは、小学生の三年間だけ。その後の22歳くらいまでの人生の中では、本当に短い間だと思うんですけど、ダイアナの心の中には彩子が、彩子の心の中にはダイアナがずっといる。つらいことを乗り越えようとするときに、心の中で対話するのは幼い頃の親友なんですよね。それだけ深く心に残る存在に出会えたことが、すでに素晴らしいことだと思いました。

 ダイアナと彩子の親御さんも、子供の教育方針はちょっと違うものの、それぞれ立派な人でした。幼少期に実の両親以外の素敵な大人と接したことが、ダイアナと彩子の成長に繋がっているといいな。

 終盤、特に彩子が背負うことになった呪いが重すぎて、読んでてつらかったんですけど、それをちゃんと自分で乗り越える強さが、彩子にはありましたね。小学生の頃、名前でからかわれるダイアナを、毅然とした態度で守っていたところに、彩子の本質的な強さが現れている気がします。

 共に自分を縛る呪いを解き、再会した二人が、空白の期間を埋めるように、また仲良く過ごせることを願ってやまない。そんな気持ちにさせてくれるお話でした。

 作中に二人が読んでいる本のことがたくさん出てくるので、読書家の人だったらより深く楽しめそう!

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