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土壌に棲む生き物たち。

本日は土づくりの三要素の「生物性」について書いていきたいと思います!
土壌中にはたくさんの生き物たちが棲んでいるんです。


土壌生物の種類

土壌生物の種類

土壌中には上の図のような生物が生息していて、これらは「土壌生物」と呼ばれます。

  • 糸状菌…土壌微生物の中で生体重の比率では最も多く、菌糸を作る菌類(カビやきのこ類も含まれる)。

  • 細菌…大きさは0.5ミクロン〜4ミクロン程度で、土壌生物の中で最も小さく、菌数では最も多い。

  • 放線菌…菌糸を出すが、細菌の仲間。

  • 原生生物…真核生物のうち、菌界・植物界・動物界のどれにも属さない生物。アメーバやゾウリムシなど。

  • 藻類…酸素発生型光合成を行う生物のうち、コケ植物・シダ植物・種子植物を除いたものの総称。

  • センチュウ類…細長い紐状の動物。細菌や動植物遺体を餌とする「自活性線虫」と作物の根などに寄生する「寄生性線虫」に分類され、主に農業で問題となっているのは、寄生性線虫のネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、シストセンチュウと呼ばれるグループ。

土壌生物の役割

土壌生物は本来、有機物を分解して物質の循環を進める役割を持っています。農業においては、主に団粒構造の生成や有機物を分解することによって放出されるアンモニウム(窒素の無機化)が作物の生育に役立っています。またアンモニウムを亜硝酸に変えるアンモニア酸化細菌や亜硝酸を硝酸に変える亜硝酸酸化細菌なども存在します。

腐性微生物と共生・寄生微生物

有機物を栄養とする微生物は、他の生物体内に侵入せずに有機物を餌とする腐性微生物と、他の生物体内に侵入して餌をもらう共生・寄生微生物とに分けられます。共生微生物は作物にとって有益で、窒素固定して宿主に窒素を供給する根粒菌や、主にリン酸の吸収促進の役割を果たすアーバスキュラー菌根菌(AM菌)などがいます。
農業において問題となるのは寄生微生物で、作物体内に侵入・増殖し、感染した部位は壊死して作物の品質低下や枯死につながります。これを「土壌病害」と呼んでいます。

※ウイルスによる土壌病害も発生します。

土壌病害の対策

作物にとって有益な土壌生物も有害な土壌生物も、それぞれが自然界で重要な役割を持っています。土壌病害の原因は、作物にとって有害な土壌生物が存在することではなく、その特定の土壌生物が異常に増殖して生物相のバランスが崩れることによって起こります。つまり対策としては生物相の多様性を確保することが重要なポイントです。
具体的な方法としては、輪作体系(異なる作物を植える)の実施、土壌の化学性・物理性を適切に改善、適切な有機物(C/N比が高すぎるものは避ける)の施用、抵抗性品種の導入、土壌消毒などがあります。(他にも沢山。。)
現在では、これらを組み合わせて総合的に土壌病害を防除しています。

ということで以上、土壌生物と土壌病害についてでした。
土づくりの三要素である化学性・物理性・生物性、これらを適切な状態に保って健全な作物生産を目指していきましょう!!
本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。

川島珈琲研究所

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