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創立30周年コメントを読んで

柏レイソルより、来年30周年を迎えるにあたってのあいさつがありました。
柏レイソルの現状、そしてこれからのことについて書かれており、サポーターとしても今後の柏レイソルに対していろいろと考えを巡らせるきっかけとなるであろうと思います。
Twitter上では様々な意見が出ていましたが、もう少し細かく読み、自分の考えを明らかにしないと社長と同じくらいの熱量をもった対等な対話にならないのではないかと思い、noteにまとめてみることにしました。
全文は下記URLより↓

まずは、瀧川龍一郎社長に、この文章を公表していただいたことに感謝したいと思います。
最終戦後のセレモニーでの弾幕を受けたものなのか当初より予定されていたものなのかはわかりませんが、あのセレモニーの後に文章を出すこと自体、勇気のいることなのかなと思いました。
今後の柏レイソルに関して、クラブ側の考えを一部でも知ることができれば、サポーターとしてもクラブの活動に対して理解を示しやすくなると考えています。引き続きよろしくお願いいたします。

さて、本題に入ります。

 1998年から変わらず支え続けていただいているアフラック生命保険(株)さま、青少年育成の理念に並々ならぬ共感をいただきアカデミースポンサーを続けていただいているマブチモーター(株) さま、地元を一緒に盛り上げようと広範なご協力をいただいている三協フロンテア(株) さま。またサプライヤーとして社を挙げて手を差し伸べていただいているヨネックス(株) さま。まだまだ本当に数えきれないほどの多くの皆様に支えられております。
 そして何より、良い時も悪い時も一緒に喜び一緒に悲しみ、いつも温かく、時に厳しく叱咤激励し、常に私たちの背中を押し続けてくれるファン・サポーターの皆様は、紛れもない私たちの力の源です。
創立30周年を迎えるにあたってのご挨拶

前半部分は主に柏レイソルの歴史とスポンサー様へのあいさつが中心に書かれていました。日立だけでなく、様々な企業から支援をいただいていることはサポーターとしても感謝しなくてはいけません。ありがとうございます。
また、サポーターについても触れていただきました。我々としてもグッズ購入やスタジアムでの観戦など様々なところで、柏レイソルに貢献し、応援していきたいなと改めて思います。

➀目標設定

 一方、今この30年間を冷静に見つめ直した時、疑いのないひとつの結論が導き出されます。余りに振れ幅の大き過ぎた歴史から学ばなければならないこと。それは「常にJ1で戦い続けられる経営とチームづくり」を目指さなければならないということだと思います。自らの身の丈を知るところから始め、取り組まなければならない目標だと思っております。当然ながら、挑戦は大切です。しかし勢いだけにまかせた背伸びであってはならないと思っております。
創立30周年を迎えるにあたってのご挨拶

「余りに振れ幅の大きすぎた歴史」


これに関しては、全くの同意です。タイトル獲得が4回、一方でJ2降格は3回、J1での順位に関しても上位に居続けるというよりかは、今年のように下位に低迷することもありました。サポーターとしても心臓に悪くない順位で居続けたいと思っています。

柏レイソル歴代順位の推移

「常にJ1で戦い続けられる経営とチームづくり」


これに関しても納得であり、社長がこれを発信していただけるというのは嬉しいことです。実際、J1でも残留がギリギリのような経営状態で運営しているクラブもあるわけですし、経営に関しては大口のスポンサーがついていない状態では不安定になるクラブがあるというのも事実です。そんな中、柏レイソルは日立をはじめとした数多くの企業のスポンサードを得られているというところ、感覚がマヒしがちなところではありますが、本当にありがたいことだと思っています。そして、少々視点を変えるとJ1残留がギリギリになる、もしくは降格してしまった場合でもJ1規模の経営、そしてスカッドを用意する準備はしてくれるということだと思います。
もちろん、我々の目指したいところはJ1残留ではなく、「柏から世界へ」だと思っています。しかし、それに挑戦するためにはJ1に居続けることが必須の条件となってきます。上位入賞を果たすことができれば、いわゆるDAZNマネーで良いサイクルが生まれてくる可能性は十分にあります。それを狙い続けるためにも、まずは破綻しない健全な状態を保つことが大事だと思っています。


「勢いだけにまかせた背伸び」


なかなか強めの言葉を用いたなという印象を個人的には受けました。今までの歴史の反省を踏まえ、分析と準備をもっとしていくということだと受け止めています。
具体名を挙げて良いのか迷うところですが、2016年に就任し、わずか3試合で退任となったミルトンメンデス監督や、巨額の移籍金を投じたエデルソン選手など、投資した額に見合うだけの活躍ができたかどうか、という点において疑問符が付くような選手・監督の獲得が最近にもありました。もちろん、個々で様々な事情があったとは思いますが、できるだけそのようなリスクを排除したいという考えはあるのではないでしょうか。
⇒実際、ドウグラス選手はそのリスク管理という点から考えてベストな補強だと考えています。
現在就任しているネルシーニョ監督に関しても同様で、(実際に出た結果はともかく)過去に実績があるというところを重視した監督の選考ではないか、ということが推察できます。

②経営について

 社会の変革のスピードには驚くばかりです。Jリーグも30年前とは異なり、加盟クラブは増加の一途を辿り、外国籍選手枠緩和や最近ではホームタウン制のあり方なども検討され始めています。さらには思いも寄らぬコロナ禍で社会自体が一変し、日本経済や生活様式も想像していた以上の変化を強いられ、アフターコロナの不透明さは経済全体に大きな影を落としております。
 いまレイソルの財務状況もかつてない程の逼迫した厳しい状況を強いられています。当面、この逼迫した財務環境改善が喫緊の課題であり、このため経営のスリム化は必須の策と考えております。
創立30周年を迎えるにあたってのご挨拶

経営のスリム化とグッズ展開

確かにコロナ禍はJリーグ、日本のみならず世界の経済に大きな影響を与えました。日立が安定的にお金を供給し、それに頼るという構図から脱却とまではいかないと思いますが、少しずつ改善していこうという意識が垣間見える部分です。
スリム化が具体的に何を指しているのか判断するのは難しいですが、端的に予算規模の縮小を視野に入れているのかなと思いました。とはいえ、もともと柏レイソルは大規模な組織ではないと思いますし、削るとしたら強化費(=選手、監督の人件費)の部分になってきてしまうのかなと考えています。

話は多少変わりますが、今シーズンの柏レイソルはかなりグッズ展開に力を注いできた印象があります。

挨拶だけを読むと予算規模の縮小、すなわちコスト減という面しか触れられていないのですが、このグッズの展開を鑑みるに、収入の面で変化を起こそうという部分は感じられるところです。来季どうなるかわかりませんが、今後もこのグッズの展開は進んでいくと考えられます。
サポーターとしてはグッズを少しでも多く購入し、クラブにお金を落とすことが今まで以上に重要になってきそうですね。


個人的には、セーブ・ザ・チルドレンと実施したクラウドファンディングのような形で、選手の使わなくなった私物をサイン入りで高額で販売するなど、言い方は悪いですが、サポーターからお金をむしり取るような戦略でも良いのかなと思っています。このコロナ禍でサインをもらえないこともあり、サイン入りの商品なども値段を上げて展開しても良いと考えています。
多少高額でも、購入するサポーターは間違いなくいますし、より商売っ気を押し出すのも悪くはないのかなと考えています。

グッズやSNS展開に関して、今までもやっておけばよかったのに!とは思います。しかし、親会社の意向等、いろいろあると思いますし、今から言っても仕方のないことではあります。
とにかく、来季は更に強化されるであろう、グッズを購入することで、クラブにお金を落とすことが必要になると思います。

選手、監督編成

12月28日現在の今シーズンの移籍情報は以下の通りです。

【加入】  ※カッコ内は前所属チーム
武藤雄樹 (浦和レッズ)※シーズン途中加入

岩下航 (ロアッソ熊本)
中村慶太 (清水エスパルス)
猿田遥己 (横浜FC)※レンタルからの復帰
ドウグラス (ヴィッセル神戸)
森海渡 (筑波大)
加藤匠人 (筑波大)
升掛友護 (柏レイソルU-18)
真家英嵩 (柏レイソルU-18)
田中隼人 (柏レイソルU-18)
土屋巧 (日体大柏)
落合陸 (東京国際大)※2023年より加入内定

【放出】  ※カッコ内は放出先のチーム
江坂任 (浦和レッズ)※シーズン途中移籍
呉屋大翔 (大分トリニータ)※シーズン途中移籍
ペドロハウル (フアレス)※シーズン途中移籍 ※期限付き

瀬川祐輔 (湘南ベルマーレ)
ヒシャルジソン (セアラ―)
仲間隼斗 (鹿島アントラーズ)
神谷優太 (清水エスパルス)
クリスティアーノ (V・ファーレン長崎)
滝本晴彦 (FC今治)※期限付き
杉井颯 (契約満了、移籍先未定)
高橋峻希 (V・ファーレン長崎)

ざっくりまとめると、若手を中心に補強し、中堅の前線の選手を放出している印象を受けます。
経営のスリム化、財政の逼迫という話がありましたが、得点力不足という課題解決を兼ねつつ、年俸の高くなってしまいがちな中堅~ベテランの選手を放出し、若くて実力ある選手を獲得して、人件費を抑えようという狙いがここまでは見えます。また、後ろの選手や監督は維持して守備のベースは継続していくことで、大崩れを防ごうという意図があるのではないでしょうか。
加えて、完全に憶測にはなってしまいますが、トレードを含みに交渉していることも推察できます。(江坂任選手⇔武藤雄樹選手、神谷優太選手⇔中村慶太選手)
新たに交渉するリスク(代替選手が見つからない、移籍金高騰による収支のマイナス)を避けるために、一種のトレードともとれる移籍を行っているように見えます。

まとめると、

中~高年俸選手の放出
②放出した分は若手選手を中心に補強
③前線の選手入れ替えによって得点力不足の課題解決
④監督、守備陣は現状維持でリスク回避
⑤選手トレードによるリスク回避

ここらへんが読み取れるのではないでしょうか。
まず人件費の削減を重視し、その上で戦えるスカッドを構築していく、というところがひしひしと感じられます。

経営面から移籍について考えると納得できる部分が多いのですが、そう考えると矛盾が生じるのが、ネルシーニョ監督と異例の長期契約を結んだことです。どれだけの名将であろうと、長期政権を築き上げられる保証はありません。この点に関しては、経営的なリスクを負わない、という部分と相反するように思えました。
とはいえ、我々の知ることのできる情報は限られていますので、ここに関してあまり大きく取り上げるつもりはありません。

クリスティアーノ選手の移籍&ドウグラス選手の加入について

Transfermarktによりますと、クリスティアーノ選手の契約は2022年末となっており、ドウグラス選手は今季で契約満了となっています。
つまり、クリスティアーノ選手の移籍には移籍金が発生し、ドウグラス選手はフリーでの獲得ということになります。仮に、二人の年俸が同じだとすると、クリスティアーノ選手の移籍金の分だけ、収支がプラスになるわけです。
ここも経営的な判断が行われたと考えることもできます。
クリスティアーノ選手に関しては、柏レイソルでの実績と彼の柏への愛を鑑みるに、苦渋の決断だったのかなと思いますし、経営的なところで致し方なく…という部分でしか納得できる理由を見つけられない、というのが正直なところです。
また、ペドロハウル選手の移籍(これに関しては不明点が多いので割愛)によって、いなくなった前線でターゲットとなれる選手を獲得する意味でも、ドウグラス選手の名前が挙がったのだと考えられます。

①フィジカルが強い 
②Jリーグで結果を残せそう 
③新規入国の規制に引っかからない 
④できるだけ資金がかからない移籍

上記4要件を満たす外国人選手をフリーで獲得できたのは大きかったと思います。

③柏レイソルの在り方について

規模は小さいながらも、優秀な選手を育て、レイソルを愛する選手が日立台に集う。その選手たちが一丸となり、ハードワークを怠らずクラブの誇りのために戦う。その姿を臨場感あふれるスタジアムで、地域の方々、ファン・サポーターの皆様にご覧いただく。加えて、このスタジアムの良さを感じていただく催しや、選手たちとのふれあいなど、ささやかでも真心のこもったサービスをお届けして、喜びあふれる笑顔になっていただきたい。シンプルに、そして愚直に続けていく覚悟です。
創立30周年を迎えるにあたってのご挨拶

「優秀な選手を育て、レイソルを愛する選手が日立台に集う」

個人的にはこのパラグラフがあいさつの中で最も重要なように思えました。
柏レイソルの育成組織はかなり優秀かつ魅力的なものだと思っていますので、この点について言及してくださったのは非常にうれしく思います。
今回の移籍でもユース出身の選手が数多く加入していますし、これからも育成組織から昇格してきた選手を中心にチーム作りをしていこうという意思が伝わってくる部分です。
柏レイソルが何をもって柏レイソルか、いわばアイデンティティのようなものを持っていることが個人的には大事だと思っています。愛着のあるユース出身選手が軸になっていくことで、勝敗、強さによらない応援する理由、つまりアイデンティティを作り出すことができると思います。そういった意味で、ここで言及されているのは非常に大きなことです。

「ささやかでも真心のこもったサービス」


このスタジアムの良さを感じていただく催しや、選手たちとのふれあい」という部分は、ピッチサイドウォークやサッカー教室などのことを触れているのでしょう。まずはこれらを継続していくと。
一つ、気になったのは「ささやか」という言葉です。社長なりの謙遜かもしれませんが、現状維持に努めていくよ、という意思を暗示しているようにも思えました。実際、柏レイソルは試合開催時のイベント誘致など大規模なものは行っていません。
これにはスタジアムのキャパシティが理由として挙げられると考えています。観客数の制限が解除されたところで、日立台の収容人数は1万5千人程度です。
観客数の多いスタジアムでは数万人単位での効果が見込めますが、日立台ではせいぜい数百人~数千人程度。よって、ハーフタイムショーなどにかけた分だけのリターンは得づらいと考えているのでしょう。

しかし、後述するように、柏レイソル事態を社会貢献の場としてとらえており、サッカー教室を含む選手との触れ合いの場としてのイベントなどはこれからも拡大させていくのだと思います。

サッカーの素晴らしさや楽しさを永続的に世に伝えてサッカーの普及に貢献し、社会に元気や活力を与える。アカデミーの育成やセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンなどを通じて子供のために貢献していく。単に規模や利益だけを求めるのではなく、サッカーを突き詰め、サッカーを通じて感動を届け、共感いただけるクラブ、社会から必要とされるクラブを今後とも目指していきたいと考えております。
創立30周年を迎えるにあたってのご挨拶

「子供のために貢献」

そもそも柏レイソルは日立にとってどういう存在か、というところが読み取れますね。
実際のところはわかりませんが、柏レイソルというクラブ自体、日立にとって必須の収入源ではないのは明らかです。むしろマイナスになっている可能性すらあります。
しかし、子供やコミュニティへの貢献、我々レイソルサポーターとしてつながる場を創出するなど、社会貢献として必要とされているのです。サッカー教室もそうですが、そもそも試合を観戦するということ自体、貴重な経験ですし、挨拶の本文にもあるとおり、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンとの協力も一つの要素と言えるでしょう。

④結局サポーターがすべきことって?

果てしない長さになってしまいましたが、ここまでお疲れ様でございます。
最後に、簡単にサポーターがすべきことについてまとめたいと思います。

クラブにお金を落とす
②コミュニティの活性化

最後くらいシンプルに行きましょう、ということでこの2点に集約させました。
➀については、言うまでもなく、グッズやチケットなどを購入することです。クラブが経済的に厳しい中で、サポーターができる経済的な助けはこれくらいしかないでしょう。(スポンサーになれる財力があれば話は別ですが…)
②についてですが、そもそも柏レイソルが存在する目的が社会貢献であるならば、我々もそれに続かなくてはいけないでしょう。スタジアムで、SNSで、つながりを生むこともそうですし、サポーター同士が集まって何かをするのも、また素晴らしいことだと思います。

非常に長くなってしまいましたが、30周年の節目の年に良い結果が残せるよう、僕もいちサポーターとして応援していく所存です。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
今後も、このような未来に対する発信を続けていただけると嬉しく思いますし、できる限りの返答をしていこうと考えています。


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