バーに行けることが当たり前ではないということ
もう1年か…
ふとした時に思い出したことがありました。
昨年の4月に大学の時に同じサークルに入っていた1つ上の先輩が息を引き取られました。
数日前にその亡くなった先輩が癌に侵されていて闘病中だからみんなでメッセージなどを送ろうと言って準備をしている最中に訃報をいただきました。
享年28。私はあまりにも早い身近な方の死に驚きを隠せませんでした。
会社から帰宅している時の電車の中で連絡を受けたのをいまだに覚えています。
このまま家に帰る気にもなれず途中下車して馴染みのバーに行きました。
正直な話、特別懇意にしていた方ではありませんでした。私がしばらくの間、地方に転勤していたことが少しは影響しているものの、大学を卒業してから一度もお会いしないままになっていました。
このように距離が特別近い方ではなかったものの、この出来事が自分にとってはとても衝撃的だったのです。
大学のひとつ上の代の先輩が28歳で亡くなった。その後、そうこうしているうちに私も今年28歳に。
そして来年には29歳になって追い越していくわけです。(私にもなにがあるかは分かりませんが…)
私は人間ひとりひとりに与えられる時間は不平等であることを痛感しました。
与えられる時間の総量はまったく人によって違うんだなと。
じゃあ、自分はどうすべきなのか。
急に会社を辞めて自分の好きなことだけをして生きていけるか、いきなり何か大きいことができるのか、自分にとって何が幸せなのか。
こんなことを考え始めるとキリがなくて…
とりあえず自分の今やりたいことをできるだけやってみよう。
この思いで昨年先輩が旅立ってから1年間自分の好きなことに精一杯取り組んできました。
なかでもバーやカクテルとは真剣に向き合ってきました。
やはり自分はお酒をはじめバーが大好きなんですよね。バーテンダーやバーの雰囲気、そこで飲むお酒、周りのお客様との語らい。これらはバーにしかないかけがえのないものだということを実感しています。
そんなバーに行けるということはとても幸せなことだと思いますが、バーに行けることが当たり前ではないことも最近よく感じるのです。
コストの問題
もちろん寿命が尽きてしまってはバーには行けません。
しかし、健康なだけではだめで経済的な余裕もなければバーに行くことは難しいのが実態だと思っています。
カジュアルなバーであればもう少しスタート価格は安くなるかもしれませんが、都内でオーセンティックバーにいけばほとんどが1000円~となります。
これって皆さんどう思いますか?
バーに行き慣れている人はそんなの普通じゃんと思うかもしれませんが、バーに行ったことのない人の感覚からしたら、やはり「高い」と感じると思います。
だって、ランチ1食食べることができる値段でバーではドリンク1杯なわけです。
牛丼チェーンに行けば1000円で軽く2杯は牛丼が食べられますし、東京駅から鎌倉駅まで電車で行くこともできます。
これにカバーチャージやサービス料がかかってくることが多いので、1000円のドリンク1杯飲んで帰ったとしても1500円以上してしまうことだって普通にあるんです。
それでも私はバーに行きたい。
バーでしか飲むことのできないレベルの高いカクテルがそこにはありますし、上質な雰囲気とすばらしいバーテンダーの接客などもある。これらをすべて加味してのドリンクの価格です。
そう考えると、居酒屋で生ビールが500円くらいはするので、プラス500円ですばらしい経験をしていると思うとそこまで高くはないのかな、とバー好きな私は思います
そんなすばらしい場所に私は幸いにも行くことができている。
(もちろんお金に余裕があるわけではなく、自炊してうまく節約したりしているからこそバーに行く余裕もできているのが実態ですが笑)
背景はなににせよ、これはとても幸せなことだと思います。
そして、こういったバーの魅力は誰も教えてくれません。実際にバーに行って知ること、またバーに行き慣れている人が偶然周りにいれば教えてもらえることだと思います。
世間一般の感覚では、バー=値段の高い場所。
これ以上でもこれ以下でもない評価なのだと思います。
バーに行き慣れている人の中には新規の客は空気を乱すから嫌だというようなことを言う人もいます。
でも私からしたら、そんなこと言う人がいるからバーに興味のある人も少なくなっていて、「バー=値段の高い場所」で片づけられることが多いのだと思います。
私は自分がバーに行けている幸せを噛みしめながら、この魅力を多くの人に伝えていく。そして私が大好きなバーという文化を後世にまで残していくことに貢献していきたいと考えています。
距離的な問題
これはこの前インスタグラムでライブ配信をしている時に感じたことです。
ライブ配信中に地方にお住まいの方がコメントをくださいました。
「私の住んでいる地域にはバーが少ないので、東京のバーに行けるのすごくうらやましいです。」
ずっと東京や神奈川、千葉、埼玉にお住まいの方には理解できない感覚かもしれませんが、東京のバーに行けることって本当に幸せなことだということです。
私は福井県出身です。しかも福井市とか大きい街ではなく、第二、第三の都市の出身で、中学の頃は全校生徒が50人弱の超過疎地域に18年間住んでいました。
今でも年末年始は帰省をしていますが、だいたい1週間もいればやることがなくなりますし、飲みに行っても家まで帰るのには必ず車が必要で、代行やタクシーを使うととんでもない金額になります。
結果的に飲みのためにホテルに泊まるのもいつものことです笑
バー自体も福井市のほうに行けばそれなりの数がありますが、私の実家のある市だと2、3軒といった感じでしょうか。
そういうところはすでに出来上がっているコミュニティもあるでしょうし、入りづらいということもあるように思います。
そもそも地方だとお酒を飲むにしても帰りの足とか考えないといけないですし、お酒を飲むということのハードルが都心部に比べても高いように感じます。
そんな中、東京で自分の好みのバーに行ける、また好みのバーを求めて開拓できる状況にあるというのはとても幸せなことだと感じています。
大学の時から上京させてくれた両親にも感謝ですし、仕事ができない私の面倒を見てくれる今勤めている会社にも感謝です。
地方の人にバーを楽しむ権利がないのか
そんなことはまったくありません。どの地域にもいいバーって必ず存在するんですよね。
あまり知られてないかもしれませんが、栃木県の宇都宮市や静岡県の三島市、沼津市はバーの街として有名です。そもそもバーの数がとても多く、独自のバー文化が花開いている地域なんです。
こういった感じで地方だって侮ることはできません。むしろ東京のバーよりコスパよくすばらしいお酒を楽しむことができる可能性だって高いわけです。
あと個人的には地方に住む方がたまに東京のバーに行こうと思った時の道しるべになれればいいなとも思っています。
とある新宿のバーに行った時に、熊本から東京にいらっしゃっていた女性で、私のインスタグラムの投稿に参考に、この新宿のバーを選んで来てくださった方と偶然遭遇することがありました。
地方に住んでいる方からしたら、頻繁に東京に来れるわけではないですし、一回一回の飲食店選びも外せないと思います。
自分に合わないバーを選んでしまって、結果的に東京のバーって高いだけで楽しくないね、ってなってしまうと本当にもったいない。
熊本からいらっしゃっていた女性の方も、
「直接かわいさんにDMするのははばかられるというか…他にもたくさんメッセージ来ていると思ったので…」
なんておっしゃっていましたが、私のところには業者からのDM以外ほとんど来ることがありません笑
ぜひ普段は地方に住んでいて、東京に来た時にはバーで楽しい思い出を作りたい!という方は、お気軽にかわいまでご連絡ください。
文化的な問題
バーってなんとなく入りづらさありますよね。
私だっていまだに始めていくバーのドアを開ける時は緊張します。
個人的にはあれって意図的にやっている部分があるのだと思っています。
つまり、意図的にバーの扉を重くすることにはちゃんと意味があって、おかしな客を寄せ付けないようにし、お客様たちを守っているのかなと。
京都のお茶屋は「一見さんお断り」ということで有名ですが、バーにも昭和の時代は当たり前にあったと思いますし、いまだにそういった文化が残っていることがあります。
バー側が変えたくないのであれば仕方ない部分もあると思います。
実際もう何十年も営業されていてしっかり経営していけるだけのお客様がついているバーだってたくさんあるでしょうし、もう70過ぎていて自分の代でお店閉めようなんて思っていたら無理もしなくなって当然だと思います。
でも多くのバーはもっと多くの方にバーやカクテルの魅力を伝えたいのではないでしょうか?
経営的にももっと安定させたいと思っているのではないでしょうか?
だったらある程度変わっていかないといけない部分もあるのだと思います。
そして、変わるのはお店側だけではなく、客側も考え方を変えなければならないと思います。
私は幸いにもバーで素敵なお客様にもたくさん出会ってきました。その一方で、バーに行っている自分に変に陶酔し、変なプライドを持っている人がある一定数いるの事実です。
常連を気取って周りのお客様にマウントを取ったり、何でも許されると思っておかしな要求をバーテンダーにしたり、大声で下品な話をしていたりと人として許されないような行為に及んでしまう方がいらっしゃるのも事実です。
そういった客に限ってバーに慣れてない奴は雰囲気を壊すから来るな、とか言っちゃうんです。
昔はそれでよかったのかもしれません。バーって今ほどライトな場ではなかったでしょうし、数寄者が集まる場という色合いが強かったでしょうから。
でももう今は時代は変わっています。
「酒場」であり「大人の学び舎」であることはいつの時代も変わりませんが、数寄者だけが集まる場でもないですし、お店側が客を選べる時代ではないのです。
自分が居心地がいいと思う空間を守るために、新規のお客様を排除していたら、そのお店の経営が成り立たなくなって結果的に居心地のいい空間は失われるのですよ?
それを皆がしっかり理解することが大切ですし、バーテンダー、客関係なくバーというひとつの空間をみんなでよりよいものにしていくことがなにより重要です。
以上のように文化的にも少し異質な部分がありつつも、バーで出会ったたくさんの方々のおかげで私は今も楽しくバー巡りができていることに感謝です。
素敵な方に巡り逢えていなかったら私もバー巡りをここまで継続することはできなかったと思います。
ちなみにこの問題に対しての私のアプローチ
自分にできることはお店側に対してのアプローチがメインかなと感じています。
マナーの悪い客にどういう言うのは正直かなり気力が必要ですし、そこはバーテンダーの方がある程度はマネジメントするものだと思っています。
私にできることがあれば何かやりますが、個人間の問題なので現状と同様SNSでの注意喚起が限界のように思います。
お店側のアプローチとして、今後は営業スタイルにもよるかもしれませんが、バーテンダーの方が外に行って自らの名前を売ることも大切だと思います。もっと戦略的にゲストバーテンディングを行ってもよいのかと。
こうしてバーテンダーの方がお店の外での活動を増やしていただくことで、バーやカクテルの魅力を多くの人に広めるきっかけにもなるように思います。
ちなみに私の地元、福井県の活性化にも貢献したいのでうまくいけば年内にバーイベントを福井で開催できるかもです!
ぜひ福井や周辺府県にお住いの方々にはお越しいただきたいなと思っています。
あとはバーの広報、特にインスタグラムの運用の支援も行っていきたいなと思います。
もちろん何のためにSNSを使うのか、といったところから考えなければならないと思いますし、お客様を増やすことは簡単なことではないのは十分承知していますが、150軒以上バーをまわり得た気づきなどを活用して支援ができればなと思っています。
この手の業者ってすごく増えているんですが、結果が出ないことがほとんどだと思います。バーのような特殊な業態は特にしっかり考えてアプローチしなければうまくいくはずがないかと…
いろいろと私だったらこうするのにな、というアイデアもいくつかあるので、こちらもお気軽にインスタグラムのDMにてご連絡いただければと思います。
まだまだやるべきことはある
私に時間がどれだけ残されているのか分かりません。
これはもう神のみぞ知ることでしょう。
とにかく、あの時あれをやっておけばよかったなと後悔するようなことはないように生きなければならないといつも思っています。
私は過去を振り返りがちでよくたらればをやってしまいます。でももうそんなことしている時間は自分に残されていないという気持ちでここ最近は生きています。
幸いにも自分にはバーやカクテルという自分にとって特別なものがある。次はこの魅力を多くの人に伝え、これまでお世話になったバーテンダーの方や仲良くしていただいている方々に恩返しができるようにならなければならない。
そのように強く思います。
そして、根本的には「バーに行けることが当たり前ではない、バーに行けている現状に感謝する心を持ち続けなければならない」と感じています。
感謝の気持ちを持ちつつバーに通い、バーやカクテルの魅力を今後も多くの人にいろんな形で伝えたい。
あちらの世界で亡くなった先輩に会った時にこんなことやってきたんだよ、って胸張って言える人生にできるよう日々邁進していきます。
また1年後同じテーマで執筆してみようと思います。
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