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結局、『風味絶佳』が原点かもしれないという話

ブロッコリーの小説書いたって話したら、妹に、「また食べ物書いたの」と突っ込まれました甘川です。

そうかも、私、食べ物書きがちかも。
 なんでだ? 
あ、そうか、『風味絶佳』のせいか。詠美ちゃん(最上級の敬意と愛を込めて)のせいか! と思い至ったので、以下詳述させていただきます。

『風味絶佳』との出会い

私が詠美ちゃんを知ったのは、中学生も半ばの頃だったかと思います。
それまで、よく読んでいたのは、マンガで描かれた歴史・伝記もの、江戸川乱歩の少年探偵団シリーズ、魔法が出てくるファンタジー系、『バッテリー』のような児童文学が多かったように思います。あ、あと時々乙一。

そこに、『蹴りたい背中』『蛇にピアス』の芥川賞最年少受賞のニュースが飛び込んできまして。
背伸びしたいお年頃の私は、親の枕元に置いてあった文藝春秋を読みました。

読了するや否や、当時の親友に、「あれ読んだ?ドキドキした」なんて中身のない感想を述べていたわけです。
クールに一通り私の感想を聞き終えた親友は、
「山田詠美って知ってる?」と一言。

大人びていた親友は、本や音楽の趣味も大人っぽくて。
それにほんのり憧れていた私。
“山田詠美”というキーワードは、最高にクールな、青い稲妻のように私の世界に落ちてきたのでした。

中高時代に一度は読んだのかな。でも、当時の幼い私には、ピンと来ず。
それから受験に向けて勉強が忙しくなったり、親友が転校したりで、しばらく小説から離れて過ごしていました。

時は流れて。
大学に入り、県外に行くと豪語しながら結局地元の国公立に進んだ私は、「なんか思ってたんと違う」を引きずりながら学生生活を過ごしていました。

レポート作成に向けて書籍を探そうと、中古本を扱うお店に行ったある日。
せっかくだから小説の棚も見てみようとフラフラしていると
『風味絶佳』
が目に止まりました。

 いやいや、キャラメルやんって通り過ぎようとしたその時、

山田詠美

「あ、あの時の!! ご無沙汰しております」感の半端ないこと!!
ええ、すぐに手に取りレジへ向かいました。

その後、一年半くらい、寝る前に『風味絶佳』。
通学バッグの中には『風味絶佳』。
休み時間に、『風味絶佳』。
隙間時間があれば、すぐ『風味絶佳』。
もちろん、売店で買ったキャラメルとともに(笑)

決して煌びやかではないなんてことなく見える日常を、
時に丁寧に、時に切なく、時に新鮮な切り口で見せられる。
読めば読むほど滲み入るような、当時の私にとっては、特別な短編集でした。

夕餉

その中でもとりわけ好きだったのが『夕餉』。
夕食でも夕飯でもなく、夕餉っていうセンスも好き。
読むだけで食欲そそる匂いがそこから立ち上るような描写に、胸が締め付けられる回想、主軸となる2人のなんとも形容し難い愛情。
 もう、ため息しか出ません(笑)

ル・クルーゼでのラタトゥイユ、ミラノ風カツレツ、小海老のテリーヌ……
言わずもがな、夕餉のメニューを真似たこともあります!
但し、クリスマスに(日常でそんな手の込んだことできない私 笑)
ル・クルーゼじゃなかったけど(笑)

 でも、あの時の作りきった満足感とそれを食べた時の幸福感は、やたら大きくて、初めて『風味絶佳』を読了したときとどこか似た気持ちだったのです。

そういう、誰かの日常から生まれて、他の誰かのそれに溶けていく小説って、なんだか素敵だなと思うのです。

小説とトリガー

そうそう、私は、おにぎりを食べる時、『千と千尋」も思い出してしまいます。
そして、無駄に泣きそうになる(笑)


「食べること」って、
三大欲求の一つでもあるし、老若男女多くの人にとって、それは生活の一部なわけで。
何気ないフィクションを、ぐっと身近に引き寄せる為のトリガーになり得るのではと考えています。

 私も、きっと、心のどこかでは、そういう溶け込む小説を書きたいと思ってて、もがいてて、試行錯誤して……
 その結果として、今のところ、「食べ物」を書いたりしているんだろうと思います。

「食べ物」以外にも、作品をぐっと身近に感じたきっかけとなった物があれば是非教えてください♪


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