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月と太陽



夜はいつだって私を優しく包み込んでくれる。
多くの人が行き交うこの道も
夜になれば人はまばらで、堂々と歩ける。
誰かの表情なんて気にしないし
人の顔なんてぼんやりとしか見えない。
私が黒が好きな理由も
暗闇に紛れたいからなのかもしれない。



夜は判断能力が鈍るなんて言うが
本当にそうだと思う。
夜に大切なことを決断してはいけないって
どうして誰かもっと早く私に教えてくれ無かったの?なんて超理不尽な事も考える。



夜に誰かに放った言葉や判断で
何度誰かを傷つけ、自分も傷ついたっけ。
そんな自分を正当化するかのように
「夜が好きなんだ」なんて嘘をついてきた。
本当は太陽が似合う人になりたい。


夜なんて大嫌いだ。


そんなことを考えたって
結局いつも、私は夜に縋っている。



そんなただ淡々と過ごしていた日常に
突然現れた、お日様みたいな彼


前向きで、ポジティブで
アクティブで、陽の光が似合う
私とは正反対の人。


記憶で思い出せないくらい久しぶりに
人に惹かれて、恋をした。
目を見つめるだけで胸が踊る。
過去の呪縛からやっと解放された。



彼の言葉は優しくてポカポカ温かい。
毎日安らぎと自信を与えてくれる。
「将来は仏になるのが目標!」
なんてアホみたいなことを言ってたけど
本当になれちゃうかも。

でもきっと明るい彼も、
雲に隠れたい日もあるよね。

夜に潜んでいた私を、
もっと明るい場所へ行けるように
今は彼が優しく照らしてくれている。


早くこの夜から抜け出したい。


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