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AI画像生成の普及により職は奪われるのか

何やらハイクオリティのやべーAI画像生成サービスがフリーで公開されるらしい。
筆者は外部からの情報を意図的にカットしていたため今日(この記事を執筆し始めた2022年8月24日)まで知りもしなかったのだが、このnoteのCXO、深津貴之氏の記事で知ったので、それにより職は奪われるのか、また今後の展望について、考えてみた。

※ちなみに筆者は、AI画像生成について、サーフィンをするスパイダーマンなど面白画像を生成するのが流行っているという英語の記事を以前見て、自分でも試してみたり、調べてDALL-Eといったものを知った程度の素人なので、専門家からの観点を期待していた人は、残念ながら期待に沿うことはできない。あくまで先述の記事を読んで素人が考えた結果なので、「んなもん言われんでも分かるわ」「そんなことになるわけねえだろカス」「いやそんなレベルで済まないだろ」といった感想を抱くことになる人もいるかと思うが、どうがその点ご了承願いたい。

AIに職を奪われるのか

「AI」と聞いて、少なくない人が思い浮かべることの一つとして「AIに職を奪われる」があるだろう。特にクリエイターの方で先述の記事を読んだ人は、不安に思っているかもしれない。
以下、AI画像生成の性質から、当記事においては、職を奪われる対象をクリエイターに限定して考えていきたいと思う。

まず率直に言って、答えは「イエス」だろう。

深津氏の記事を見れば理解していただけると思うが、AI画像生成により生成される画像は、十分に商用として使い得るクオリティであると言っても過言ではない。
同氏が述べているように、ゲームの背景や、小説の挿絵など、その潜在的用途は多岐に渡る。ましてやキャラクターそのものを生成することさえ可能だ。それらを今日描いているのはいるのは誰か?そう、イラストレーターである。
では漫画はどうだろうか。人気漫画家などは、背景はアシスタントが描いているといったケースが多いのではないだろうか。それらの背景がAI画像生成で済んでしまったら?もちろんアシスタントの仕事はそれが全てではないようだが、結果的にアシスタントの人員削減(解雇)などに繋がるかもしれない。(職場がブラックで、むしろ作業量が減って大歓迎といった場合もあるかもしれないが。)

ちなみに、この記事のサムネイル画像は「Dystopia caused by an AI(AIによりできたディストピア)」、そしてこの項目のトップ画像は「Losing jobs to an AI(AIに職を奪われる)」でAI生成した画像だ。どこかの映画にありそうな、ワンシーンといった様相ではなかろうか。
しかしちょっとここで考えてみてほしい。これまでサムネイル画像は、どのようなものが使われてきただろうか。個人ブログなど多くは、単にネットで拾った、あるいはどこかのサイトにあった画像を使っているといったこともあると思われるが、他には、画像素材サイトが入手先としてあるだろう。
ではそれらのサイトに画像、写真を提供しているのは?写真家などだ。

筆者としては、それっぽい画像を求めていたので、命令文からそれっぽい画像を生成できる、AI画像生成で事足りてしまうのだ。それこそ、以下の記事でも触れられているように、画像検索するより生成した方がいいじゃん、となるわけだ。

とここまで、如何にしてAIが職を奪い得るかを考えてきたわけだが、何も全てのクリエイター職が奪われると、筆者は思っているわけではない。

AI画像生成は、何千、何万、何億といった画像を学習し、それを基に命令に沿って画像を生成しているだけであって、AI自らが考えて自ら画像を作成しているわけではない。

それは生成であって、創造ではないのだ。

確かに、我々人間も学習をする。AIと同じように、その積み重ねにより作品は生み出されるのだろう。
しかし、人間は考える。「こんなのはどうだろう。」「ここをこうしてみてはどうか?」「もう少しここをああしてみよう。」と。そしてクリエイターは、それを自ら形にする。
それが所謂、「創造性」というものではなかろうか。
それ故に生み出されるものがあるのではないだろうか。
希望的観測と言う人もいるかもしれないが、それこそが人間を人間たらしめるものだと、そこがAIとは違うところだと、筆者は考えている。

要するに、強い拘り・確固たるイメージがなく、それっぽいイメージを描いている、撮っているクリエイターの人は危ないのでは、ということだ。
特に、その多くの利用者の求めているものが比較的抽象的であるだろう、先にも挙げた画像素材サイトが当てはまるのではないかと思う。

ただ明るい面に目を向けるのであれば、例えば、個人のゲーム開発者、規模の非常に小さいゲーム開発チーム、あるいは駆け出しの漫画家などにとっては、費用、労力、時間などをあまりかけなくともクオリティの高い背景などを得られる、大変ありがたいツールとなるのではないだろうか。イラストレーターにとっても、イラストを描く際に大いな助けとなることだろう。
また大手にとっても、費用を抑えらえてニッコリ、となるかもしれない。

今後の展望

AI画像生成が今後どうなっていくかについてだが、例えば、現在は出力される画像が一枚となっているが、人物、背景などそれぞれレイヤーとして分けて出力されるようになるのではないだろうか。

筆者はイラストレーターではないため詳しくはないのだが、イラストを描く際に、それぞれをレイヤーで分けて描くのが一般的だと思う。それにより、キャラクターの一部を削ったこと場合に空いたスペースに背景を描き足さなければいけない、といったこともなくなるなど、細かな調整も一枚絵と比べて楽になる。
故に、AI画像生成で生成した画像がレイヤーとして分けられていた方が、編集、手直しするにあたって大変便利だろう。

商用化に関しては、AI画像生成に加え、そういった編集が一つのソフトウェア上で完結するといった形が、一つとして考えられる。それこそ深津氏が述べているように、Adobeが参入し、PhotoshopにAI画像生成を組み込む、といった可能性もある。

他には、ハイクオリティな画像生成のためには、AIへの命令文もより複雑なものとなるため、もしかしたら、お客様の思い描いているイメージのAI画像生成をお助けします、なんてサービスも出てくるかもしれない。
そんなのネットにある情報から学べばいい、と思う人もいるかもしれないが、商売とはそういうものではなかろうか。

画像生成を試してみようと思っている人には、特に上の記事は読んでみることをお勧めしたい。
具体的な命令文の書き方はもちろん、注意事項も書かれており、同記事にもあるが、トラブルになりかねないため、実在人物の名前は絶対に入れてはいけない
大事なことなのでもう一度言うが、トラブルになりかねないため、実在人物の名前は絶対に入れてはいけない

また考え得るケースとしては、イラストレーターに依頼をしたら、納品された絵がAI画像生成そのままだった、なんてこともあるかもしれない。
イラストレーターにもプライドというものがあるだろう、と思われる方もいるかもしれないが、中には承認欲求であったり、金のためにはそういったことを平気でできる人間もいることを、忘れてはならない。(そういう人間をイラストレーターと呼ぶのは、本物のイラストレーターに失礼か。)
イラストレーター業界の基準は分からないが、顧客の要望との食い違いを避けるため、途中で経過を送り要望に沿っているか見てもらう、といったことをしている人もいると思うので、逆にそういったことをしていない人は、その点どうなのか、聞いてみるなどしてみた方がいいだろう。
他には納品後でも、ここをこうしてもらえませんか、とリクエストしてみるのも、見破る一つの手段ではないだろうか。その場合は有料としているイラストレーターも多いかもしれないが、先に述べたように、現状の一枚出力のAI画像生成では後での編集が難しく、仮にレイヤー出力になったとしても、技術力を要するのには変わりないため、有効な手段だと考えられる。

はたまた、先のAI画像生成お助けサービスに似たものになるが、イラストレーターがイラストを提供するのに対し、AI画像生成で画像を生成し、むしろそれを提供をすることを生業とする、新たな職業が生まれる、なんてこともあるかもしれない。

他としては、またも画像素材サイトだ。それこそ、AI画像生成で作られた画像で埋まる、なんてことにはならないだろうか。これは画像素材サイトだけでなく、イラストコンテストなど他のことにも言えることだが、どうやって人間が描いたものだと判断するのだろうか。写真であれば、EXIF情報の確認などがあるのかもしれないが、イラストではどうするのであろうか。
人間かどうかを判断するものと言えば、「私はロボットではありません」でお馴染みのreCAPTCHAがあるが、画像に対してもそういった何かが出てくるのだろうか。
考えれば考えるほど、疑問は尽きない。

終わりに

終わりにはなるが、素人でこれだけ問題点が考え得るわけであるから、実際にはより多くの問題が生じることと思われる。関係各所は、AI画像生成が普及するにあたって、頭を悩ませることとなるのではないだろうか。
Googleなどのメガベンチャーが総力をあげて開発したものの、「社会への影響が大きすぎる」として、一般公開されていないそうだが、それにも十二分頷ける。
今回のAI画像生成サービスの開発者は、「すごいAIを、一部の大企業や個人が独占するのは健全ではない」「AIは全世界の人が平等に使えるようになるべきだ」などといった思想を持っているそうで、言いたいことは分かるのだが、現状そうなっている理由を理解した上での行動なのか、社会への影響についてどう考えているのかなどを、是非とも(機会と時間があれば)お話を伺いたいところだ。





頻繫に記事書いているわけでないので、気にしないでください。