ジョーのおくりもの

最初は〝ジョーが残したもの〟とタイトルをつけていたけど、受け身というよりこちらから受け取る気持ちも大事だなと思ったのと、なんか絵本みたいで可愛い。

さて、ジョーにやきもきしては次週を待ちわびる生活も幕を閉じ1週間。最終回放送後には暫く様々な意見が飛び交っていて、これがドラマの反響かと間抜けな顔して圧倒されていた。そしてわたしは、最後までジョーだったなぁと一人浸っていた。


主人公ジョーが仕事に恋に奮闘し、成長していく過程が全体的に明るい色使いと軽妙なテンポで描かれていた。が、取り上げる題材はそれなりに重く、簡単には語れないもの。一部にフォーカスを当てると少し雑味が出る所がリアルだなとは思った。

ホスピタリティーを学んでも尚、やはりジョーはジョーな訳で、鈍感だけどその一生懸命さの奇跡によって不意に核心を突くから、波乱が生まれる。当たらず触らず穏便に過ごすことに気を取られて、知らずに潰れてるなんてことあるから。
周囲の人達が自ら立ち止まったり、考えるきっかけを少々荒っぽくも与えていくジョーは、あのキャラクターと神宮寺くんだから出来たよなぁとも思えたり。

寂しさや複雑ささえ抱く展開がまさにこの世の中では往々にしてあることって感じがしたし、ドラマでさえ夢のようには描けないのが、現代の〝働くこと〟〝生きること〟のシビアさだろうし、途方に暮れながらも何とか日々を過ごす自分偉いよって言ってあげたくはなった。

『准教授・高槻彰良の推察』でも実感したことだけど、神宮寺くんの声がとにかく良い。自然に寄り添い続けてくれる優しく柔らかな響きに安心するし、どんなことにも屈せぬ真っ直ぐでしなやかな響きに勇気づけられるし、ずっと聴いていたくなる。


あと、神宮寺くん自身も放送中にファンと一緒に楽しんでくれたの、なんか良かったな。視聴者の反応も届いていてドキッとした。自分の手からは既に離れた作品とは言え、どう受け取られるのか気にしたり心配したり、そういうの当然にあるんだなってどこか不思議な気分だった。

きっと彼だから出来たことではあるけど、〝彼であること〟をいい意味で超えていく姿、作品に出会えるのが嬉しい。