廉さん

れんれん、ながちゃん、れぇん、わたしには何故だか名前を口にするだけで照れ臭い気がして、暫く呼び名が定まらなかった。

そしていつの間にか〝廉さん〟呼びになった理由を浮かべたとき、くすぐったさと敬う気持ちの狭間に湧き出たものかもしれないなぁとは、我ながら振り返ったりした。



永瀬廉主演ドラマ『わげもん~長崎通訳異聞~』が初回放送を終えた。

約1時間、あっという間に過ぎてしまった。正直、何となく見てみようかと妙なよそよそしさを抱きながら画面に向かったけど、すっかり見入っていた。それがまた、心地良かった。


作品に恵まれている、それはそうだろう。日本人の時代劇離れが危惧される、何とも不思議でどうしたものかという現代。本当によく作り込まれている。舞台となった長崎の歴史やオランダ語の独特さ、物語の展開と描写の秀逸さも引き込まれる要素となった。

その中でも、ただ〝いいものを見た〟と思わせてくれる廉さんの気概に触れられた喜びは大きい。彼は自然に飾らずに凄いから、本当に凄いなと思う。見る人を作品に引き込む瞬間、出会いというのは、ファンであっても必然ばかりじゃない。だからこそ絶対に大切で、それを実感出来たのも、とても良かった。



しばしば彼を見ては〝アイドルだなぁ〟と思う。当の本人は〝アイドルしてるわー〟とか〝アイドルが出ちゃうんですねー〟なんて自らを皮肉っぽく言う。本当に真面目で飾り気のない人なのだろう。損得勘定で動いていないというか、時に周囲を騒然とさせる純朴ささえ覗かせる。


努力を見せないとか、苦労を語らないとか、個人的にそういうのを安易に美徳とはしたくない所が正直あるけれど、彼はいとも簡単に受け取らせてくれる。

見せる姿も、話す言葉も、いつだって難しくしないで素直に伝わる表現ができる人。彼はアイドルだと、心底胸が高鳴る。その愛しさは実に罪深い。


今年も沢山、廉さんに出会いたいな。