【詩】夜明けを感じるゾンビ
メロンソーダの上に
丸いバニラアイスが乗っていないので
これから一週間かけて死んで
夜明けを感じるゾンビになります
一日目に積み重なっていく入道雲と
その近くで走る二本の飛行機雲
日陰の濃い部屋の中
たんたんと目で追います
二日目には哲学書の角で頭を殴りつけ
脳内から直送された言葉が闊歩しているので
道徳からやり直せと叫びます
しゅくしゅくと喉を潰ぶしていきます
三日目には遺書という漢字が書けなくて辞書を引き
真夏の朝に愛を語る不似合いさを詫びます
四日目にそういえば好きな食べ物ってなんだったかと考え込み
最後の晩餐の献立をレシピサイトに自動生成してもらい
五日目の昼くらいにメロンソーダの味を完全に忘れて
仕事終わり、コンビニでバニラアイスを買って帰り
六日目にニュースサイトの正論を目で追いながら
熱帯夜が来ると知って
七日目の夜に目をつぶります
私が求めたのは酷くわかりやすい幸せでした
夏にクリームソーダを飲んで浸りたい
それだけのこと
炭酸のはじける音ってリアルに耳に届くから
だから夜明けを感じるゾンビになります
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