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『日本の根幹―農・神道・アジア』刊行

拙著『日本の根幹―農・神道・アジア』が刊行となります。
https://amzn.asia/d/5WSA4e3
ネット販売のみで書店にはおかれませんが、もしよろしければお手に取っていただけたらと存じます。

戦後日本は、祖国性を捨ててまでも繁栄を重んじた。にもかかわらずその繁栄すら覚束なくなってきた。もはや何も残っていない。美しい日本は前近代の遺産である。
明治維新は、勤皇を旗印に、西洋列強の侵略を撃退する運動であった。ゆえに維新は神聖なるものである。しかし、とりあえず西洋列強に植民地支配される事態は避けることができたが、西洋近代思想の侵略をはねのけるにまでは至らなかった。維新は道半ばで頓挫したのであった。ただ、心ある人はその維新の理想を持ち続けた。それは西洋近代思想をはねのけ、神聖国家をつくる思想であった。それは現代においても有効である。個人、社会を自己中心的な世界から脱却させ、共同体のもとに帰属することで人々は幸せになる。
社会から希望が消え、未来を描けなくなって久しい。自己利益、階級的利益、そして権力の自己保身。こうした俗物的利害に社会が囚われたとき、不安と絶望が広がっていく。そんな不安にさいなまれる人々を救済するのは、伝統と共同体の力なのである。本稿は、農・神道・アジアについて論じているが、それを通して、西洋近代の劣勢を克服せんとする哲学的思索の表明なのである。しかもそれは私個人の頭の中で練り上げられたものではなく、先人の思想と実践、その継承の中で練り上げられ、熟成された思索である。
本書において先人が描いた思索の価値の一端が明らかになればと考えている。

◆目 次
まえがき
1、日本を愛するとは
  冷戦思考から純正日本主義へ
  同胞と呼べる国家へ
  河上肇の生き様―愛国心と愛政権の境目
  片岡駿の生涯と思想
  三井甲之の山縣大弐研究とシキシマノミチ
  正倉院と國體
  中心のない日本(書評 堀茂『無脊椎の日本』)
2、農と日本人
  幡掛正浩の日本論
  社倉論
  永井了吉―その自治論と産業倉庫論
  グローバルアグリビジネスを打ち破れ 農本主義と現代の農業問題
  公と共の力を見直せ(書評 鈴木宣弘『協同組合と農業経済』)
  はるかなる農本世界へ
  農本主義で上級国民優遇政治を改めよ
3、古神道と皇道経済
  風土と共同体に根差す信仰を論ず
  いまこそ皇道経済に基づき協同社会を守れ!
  出口王仁三郎の皇道経済論
  グローバル市場経済から國體に基づく経済へ
  すべての道は自治に通ず
  人新世の世に共同体を問う
  日本人と古神道
  古神道の起源(書評 松濤広德『伯家神道 くしびなる日本とかむながらの道』)
4、現代アジア主義を論ず
  アジアをいまも蝕む欧米列強植民地支配の残滓―ロヒンギャ問題
  柳宗悦のアジア的価値観
  新世代のアジア主義へ
  資本主義を克服し、世界皇化せよ
  アジアへの一視同仁の道(書評 拳骨拓史『親日派朝鮮人消された歴史』)
あとがき


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