見出し画像

02|物事の捉え方

デザイナーのサガでもあると思いますが、できるだけ物事を正確に捉えようとする習性があります。まぁどこまでいっても完璧に捉えるということはできないのですが、自分が腑に落ちるところまでは、という思いがあります。
私が実践している、物事の捉え方のコツがあるので、まとめてみました。何かの際に役に立てば幸いです。

見えている部分はごく一部

20200131プレゼン_ページ_04

氷山の一角の図はよく出てきますね。物事は隠れた情報が多い、というかほぼ隠れている部分ばかりです。全体像を把握するには見えている部分に囚われず、それをとっかかりに隠れた部分を探っていく。
この作業=ヒアリング・リサーチはとても大事。K5 ART DESIGN OFFICE.でもこの部分を最重要視しています。仕事の約半分を締めるといっても過言ではない、重要なプロセスです。


様々な視点から見た上で 最後は自分の視点を大事に

20200131プレゼン_ページ_05

自分の視点が本当に妥当なのか、常にジャッジする必要があります。デザインの仕事は、最終的に世界(世間一般)に向けて発信することになるので、様々な価値観を持つ人の目に触れることになります。そのため、独りよがりな視点だけでは、強度が不足しがち。「どう見られているのかな…」というネガティブな理由で ではなく 物事の本質をとらえるというポジティブなモチベーションで客観視していきます。
様々な視点を得るために、日頃から偏りのない読書や映画鑑賞、情報インプットをすることが非常にトレーニングになります。デザイナーという仕事ではなければ、そこまでフラットな感覚は必要ないかもしれませんが、日常生活でも活かせる要素だと思います。
ポイントは最終的に主観に戻ってくること。「みんなが言っているから…」「世間一般は…」「市民…」の“みんな”って誰だろう?ということですから、「最終的にはいろんな意見があってそれぞれの考えはわかるけれど“私”はこう考えます」というのが落とし所。主観は置かれた環境や人間関係に縛られやすいので、その縛りをどれだけ解放して物事を見れるか、が大切だと考えています。


物事の輪郭を見極める

20200131プレゼン_ページ_06

物事の輪郭を決定づけているのは、言葉。その言葉の境界線を探っていきます。その言葉の意味する境界線もかなり曖昧で、結局はどこにフォーカスするかによってしまいます。
境界線を探っていくと、図のように物事の外側を知らなければいけないことに気付かされます。Aを知ろうとしている場合は、隣接するA以外の物事をしらなければ、境界線をあぶりだせないのです。
解剖学者の養老孟司さんがある番組で、「解剖学は、例えば機能的な特徴や見た目、意味合いなどからここからここまでを“胃”とする という境界線を決めて名前をつけていく作業」と言っていましたが、この感覚に非常に近い。内臓は口から肛門までひとつの管ですから、そういう意味では1つの臓器ですが、そこに境界線を見つけ名前をつけて明瞭にすることで、医療の現場や倫理学的な分野で共通認識として理解することができています。
ほとんどの物事は地続きですから、その境界線をあぶりだすことで、物事を絞り込み、明瞭にすることは非常に大切なプロセスだと思います。
ただ厄介なことに、図では平面的に表現していますが、物事は立体的なのでいろいろなレイヤーがあり、複雑です。考えすぎると、思考停止になりがちなので、境界線を探る場合は視点を固定して探っていくのをオススメします。


私が実践している物事の見方を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか? 学術的にはいろいろな考えや実践方法があるかと思うのですが、それは専門家にまかせ、いちグラフィックデザイナーの実践の中でのコツとしてまとめてみました。

次回はデザインのプロセスについて書いていたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?