DesignScramble2018「デザイン経営カイギ」イベントレポート
こんにちは
先日渋谷で開催されたDesignScrambleのコンテンツ、デザイン経営カイギに参加してきました。
錚々たるメンツ...!!!!
そして弊社アトラエもCTO 岡さんが代表として登壇してくれました。
7社合同で開催されるなんとも豪華なイベント。参加者も満員御礼の会でした。
登壇者は写真左から
ビズリーチ CDO 田中 裕一さん
DONGURI CEO ミナベトモミさん
アトラエ CTO 岡 利幸さん
hey デザイナー 松本 隆応さん
BANK デザイナー 河原 香奈子さん
Progate デザイナー 神田 美智さん
alma CEO 兼 デザイナー 齋藤 孝俊くん(モデレーター)
デザイン経営カイギって何?
テーマは事例を知見にというものですが
今年の5月に経産省から発せられた「デザイン経営宣言」というものがベースになっています。このデザイン経営宣言のイメージが実際の経営レベル、業務レベルに落とし込めない。。。。。イメージが湧きずらいよね。結局何をするべきなの?
という課題背景があり実際にデザイン経営に取り組んでいるリーディングカンパニーが事例ベースに議論をすることでデザイン経営を知見に落としていくことがこのデザイン経営カイギの目的です。
※デザイン経営宣言より引用〜デザイン経営の実践〜
実はこのデザイン経営カイギですが、ビズリーチさん/almaさん/Atraeと他社さんを交えて以前に一度開催したことがあり、Atraeとしては第2回目の登壇となりました。
※2018年9月にアトラエオフィスで実施した際の様子
〜当日のお題としてはこんな感じ〜
- 経営視点でのデザイン
- デザインが事業に対して及ぼせるインパクトとは
- オープンなプロダクトチームの作り方
- デザイナーを正当に評価する方法
- 事業会社デザイナーとしてのデザイン
- 一人のデザイナーとしてどう事業を伸ばしていくか
- デザイナーとして行い続けたい習慣や、持ち続けたい役割とは
- 良いデザイナーとは
alma 斎藤くんのファシリテーションの元カイギは進んでいきました
デザインが事業に対して及ぼせるインパクトとは
田中さん(ビズリーチ):
実際の開発においてリソースの関係から実現可能性やKPI、技術的な面での意思決定の優先順位が増えてくる。数値で測ることは重要な一方で、安易な方向に流れる可能性もあり、"我々は誰のどんな課題を解決しようとしているのか"という種の議論が難しくなってくると感じている。
しかし、ストーリーテリングやプロトタイピングは強制的に「ユーザーファースト」にならざるを得ない。こういった類のコミュニケーションをとることでどんな体験が得られるのか、誰のどんな課題を解決しようとしてたのかが視えやすくなる。サービスの開発推進指針として提示することで開発手法やフェーズににかかわらず、サービス価値がブレない状況を作り出せるのはデザイナーの強みである。デザイナーは開発プロセス上で大きな貢献をしている。
デザイナーは性質上「ユーザーの代弁者」であると思っている。他の職種でもユーザーを視るが、視るという点ではデザイナーのスペシャリティがそこにあることが大きな存在意義にもなりうる。
ミナベさん(DONGURI):
田中さんの話にはすごく共感する。某メーカーに入ってCMO、CDOみたいな立ち位置で外部で入った時期があった。その時に経営の決めとして定量ブレイクダウンで合意を取るのをやめようとチームに提案した。
コスメの領域は定量の世界で半年後ごとに棚割調整を変えていくようなスピード感なので定量ブレイクダウン(定量調査→分析→実施→改善)を行い製品開発を行うプロセスでは女性の激しいトレンド変化についていけなくなってしまった。故に定性ブレークダウン(定性調査→課題発見→プロトタイプ→改善)を軸に開発を行う手法をベースに合意をとろうとしたんです。
これを具体的には
- 実際の製品の体験(マスカラが実際につけてどんなものになるのか)
- 店頭のデータ観測をもとに改善する従来の販促でなく、店頭に実際につくるプロトタイプを置いて写真を撮って確かめる(店頭の体験を確かめる)
- バイヤーのユーザーインタビューを徹底する(ビジネスモデル解析をした時にバイヤーが置いてくれるか否かが重要だとわかった)(今だとよくあるが、当時はやっているところがなくてシェア1位になるまでになった)
これは今でいうUXデザインの考え方を基軸にしたもので、実際に経営にもインパクトが出た。
オープンなプロダクトチームの作り方
岡さん(Atrae):
ホラクラシー、ティールといった組織の型が最近流行っているがアトラエは昔からそのような組織運営をしていた。上司部下の概念がなく、ただの人の集合体。なのでデザイナーが偉い、エンジニアが偉いとかはなく、シンプルにその役割を担うことができる人がプロダクトにとってそれぞれ誇りを持って動くことが良いプロダクトを創れると思っている。
また、デザインという文脈で話すと
デザイナーではない立場でプロダクトをリードする立場として、こういうデザイナーがいると助かるなというのが、、、、やりたい価値や届けたい体験に対して、視えるものや感じられるものとしてプロトタイピング的に階段を創り上げてくれる人。サービスを創る上でデザインで解決できるものもあるが、もちろん解決できないものもある。デザインの力を借りる必要のあるものは創造できる人に任せるスタンス。これは内定者だろうが新卒だろうが長年いる人であろうがデザイナーだろうがデザイナーでなかろうが関係なくチームの議論の間に適切なコミュニケーションをアウトプットできる人がいることが重要。その結果、納得いくまでチームが議論できる。
アトラエでは良いプロダクトを創る、良い組織を創ることにおいて対話を大事にしている。オープンな状態で対話をすることが良いものを創ることにおいて重要で、デザインの話に戻ると、デザインが得意な人がいたとして、その人でさえ頭の中の100%を表現しきれなくて、より良いものがまだ頭の中にあるとしたら、チームとしてメンバーが問いを投げあう、良い質問をする。そうすると100%を引き出せて、全員が納得できるもの、イメージできるものができる。そうやって創り始めた方がスピード感がある。80%くらいのイメージで進めてしまうと進めていくうちにボロが出る。だから対話を大事にしている。そして実際に動いていく中で超えられる職能はいくらでも超えて貢献したら良いと思っている。
Q.アトラエの現場のデザイナーとして感じる組織の強みや良さは?
※当日僕含めアトラエのデザイナーが3名参加してました〜〜笑
新卒1年目の時に初めて任された仕事が新卒採用のサイト。人事と新卒採用担当してた人がみんな先輩だったけど、自分が意見を言う時もフラットに聞いてくれる。うまく伝えられないところもしっかり質問してくれて、みんなで良いものを創ろうとところに目線が向いている。
デザイナーを正当に評価する方法
田中さん(ビズリーチ):
数値に見えないものを評価するためにはわかる人が経営層にいることが前提として必要。
デザインが競合優位性になることがある。デザインが優位性であり、デザイナーがどう関わっているかを分解して視える化したら評価に落とせる。PLの構造はユーザーの行動に紐づかず、お金を管理するための指標である。しかしデザインは資産価値。資産の価値とかユーザーの行動ベースで指標を作るのはありかもしれない。デザインを武器にする事業会社は次のステップとして必要になってきそうな観点。
ミナベさん(DONGURI)
組織コンサルタントも経験し、人事を経験した目線からだと、納得感が大事。評価が難しいデザインの領域だが、究極的にはデザインナーが納得したら良くて、指標がなくてもお互いの信頼関係で担保できるのが理想。
しかし人数が肥大するとコミュニケーションが薄くなるのであなたはここが凄いですという箇所を言語化してちょっとしたコミュニケーションでも認識が繋がるようにする。そして視える化して現在進行形で何かしらのアクションがあることで納得感が醸成される。
人数の少ない会社は密なコミュニケーションを取ることが重要。人数の少ない状態で指標をゴリゴリ作ってしまうと、逆にギスギスする。指標に逃げてしまう。
Q.実際に現場のデザイナーさん評価について感じることは?
神田さん(Progate):
ミナベさんの話はその通りだと思う。評価指標をもとに納得感をうむのは難しい。20名前後の時に評価の指標をBTC※それぞれの役職で全部で創ってみたが納得感を生むのが難しくワークしなかった。今のは話を聞いてコミュニケーションの密度を上げるのが重要だと改めて思った。フェーズによって評価の際に取るべき手法は違う。
※BTC:ビジネス・テクノロジー・クリエイティブを指す
一人のデザイナーとしてどう事業を伸ばしていくか
神田さん(Progate):
デザイナーという職種にこだわらずPMFにそって、キャラデザ、CS、教材作成など専門領域外のことを愚直にいかにやれるか。創業期はみんなで会社の未来や経営に関して議論した。デザイナーとしては如何にプログラミングの距離感を近づけるかということを凄く考えた。“プログラミング=高尚で難しいこと”ではなく、“プログラミングがもっと身近で簡単なものになる”ためにはどうすべきなのかをひたすら考え愚直に行動した。愚直にスケールしないことをいかに取り組むか。
プロダクトの当初はKPIに振り回されず自分たちが理想だと思える、絶対的にわかりやすいプログラミング教材を作ろうという想いを持って開発していた。
河原さん(BANK):
BANKの初期からデザイナーとしていたが、当初は世の中にどんな価値を提供して、その価値を提供するプロダクトってどんなものなのか、ビジネスとして持続可能性とスケール可能性があるかを議論してcashをリリースした。BANKは世の中に新しいものを創りたいという思いが強く、色々と大変だった。デザイナーとしては自分たちが届けたい価値と世の中というものをうまくつなぐことが出来なかったという反省がある。サービス提供を一時停止し、コミュニケーション設計などを考え直してからは順調に進んでいる。
松本さん(hey):
事業会社におけるデザイナーのカバー領域はかなり広い。
1つのLPやUIを創ったとしても事業として事業を伸ばすことに直結してるか否かは測り得ない。そのデザインが世の中に出るまでいくつかの意思決定がありそれは世の中に受け入れられるだけなのでその価値は測り得ない。デザインって難しい。Coinyにある考え方として「チームのためにデザイン」というものがある。
デザイナーはユーザとプロダクトのためのデザインを考えがちだが、事業内デザイナーとして誇りを持てるデザインを作りたいと思っている。CSが電話口でアプリのUIを説明する時に、如何に説明しやすいかを考える。あとプロセスを考える時に(まだデザインツールが少ない時に)AdobeからSketchとZeplinに変えた方が開発チームがコミュニケーションが取りやすい。開発チームのためになるのでツールを変更。デザインを起点に事業を誇りにできるようにデザインチームとして何ができるかを誇り持って考えている。
Q.ブランディングというものについてどう考えている?
(alma 斎藤くんからhey 松本さんに質問)
ブランドをどう作るかは歌舞伎の中で「世界と趣向」という言葉がある。世界は形式立てられた枠。決められた世界の中で趣向というストーリーを展開することで世界観が生まれる。そのフレームに沿ってブランドを作るとイメージしやすくなる。
たとえばアップルのロゴを造形的に見るとバランス悪い欠けているリンゴ。でもみんなかっこいいと思う。それはアップルのその先にあるカウンタカルチャーや反骨を見出しているから。
ぶっちゃけロゴの形状はなんでもいい。その先にある世界と趣向を如何に一人の人が考えて、1つ1つのサービスやコミュニケーションの中でストーリーを作る事が重要。
感想
デザイン経営というもの自体はもの凄くデザイナーをフィーチャーしたような文脈で取られている気が個人的にはしてたのですが、重要なのはいかに良いプロダクトを創るのか。
組織形態として如何により価値を生み出せる状態を創るのか。がとても大事。企業全体として広義のデザインに取り組みながらもデザイナーとしては狭義のデザインに対して誇りを持つことが大事なところで、かつ共通言語をチームで生み出す橋渡し的な存在もデザイナーとして大事なところなんだと感じました。
いろんな視点でデザインだったり、経営が視えたので自分のできることから実践していきたいと燃えた1日でした。
(アトラエは未来の仲間を積極的に採用しています!会社に興味があれば連絡くださいw)
アトラエブログにも掲載してますっ!
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