Web Designing2023年12月号でフリーランス新法についての特集を担当しました

10月18日発売のWeb Designing 12月号は、「Webビジネスの法律相談書」特集です。知的財産権、個人情報保護法、特定商取引法、景品表示法など、Webビジネスにはいろいろな法律が関わっていますよね。それらの基礎知識と最新の事情を特集した内容になっています。

今回私が担当したパートでは、「制作会社の社内業務と新しい法律」と題して、Web制作を行う企業さんの業務に直接関係のある「フリーランス新法」と「電子帳簿保存法改正」を取り上げました。また、法務部門を持たない企業のための法律相談窓口を紹介する企画もプラスしました。気になった時に、ふと手に取っていただけるといいなと思っています。

企業とフリーランスが、対等な事業者として取引するために

フリーランス新法の企画では「発注者必須のフリーランス新法」というタイトルで、制作会社さんの発注者目線で法律の内容や注意点などを解説しています。

お話をうかがったのは、フリーランス協会 代表理事の平田麻莉さんです。取材時期がちょうどインボイス制度開始を目前に控えた時期だったこともあり、本来の協会のお仕事にあちこちのメディア出演にと、本当にお忙しい中をご対応いただきました。ありがとうございました。

https://www.freelance-jp.org/

フリーランス新法は、企業とフリーランスとの取引における格差・不平等を是正する目的で法案が提出され、2023年4月に可決、2024年秋に施行が予定されています。下請法のように、業務の受託側であるフリーランスを保護する内容なのかと思っていたら、そうではないんですね。

平田さんのお話によると、「企業とフリーランスが、事業者として当たり前に、対等に取引をするための共通の前提」となる法律を目指して、協会を設立した2017年以来、さまざまな提言や調査などの形で法案成立へ向けて協力を行ってこられたそうです。弱者としてのフリーランス保護ではなく、発注側を取り締まることが目的でもないわけです。

むしろ、発注側がフリーランスに依頼しにくくなるような法律ができてしまっては本末転倒……ということで、実務上、両者にとってなるべく負担のない形で法に則った取引をしていけるよう、施行に向けて細則を検討中とのことでした。このあたり、ぜひ制作会社の方にも知って備えていただければと思います。

フリーランスとして、キャリアを考える

誌面でもご紹介した「フリーランス・トラブル110番」の事例を見ていると、これは本当に法律でなんとかしないとダメでしょ、と思ってしまうケースが多々あります。新法の施行によって、こうしたケースが少なくなるよう願っています。

私自身もフリーランスとして15年以上仕事を続けてきましたが、これまで幸いなことに、ひどく困難な状況に陥るようなことはありませんでした。クライアントさんには本当に恵まれ、ありがたい限りです。でも、お仕事をいただいていた媒体がなくなってしまうというケースには、いくつか遭遇してきましいた。Webサイトってあっけなく閉鎖されてしまうものなんですよね。雑誌も、いくつも休刊になるのを見てきました。

だから、「この仕事が来月なくなる可能性」というのは常に頭のどこかに置いていますし、身を守る手段はいくらでも欲しいです。フリーランスとして生きるなら、今と老後を自力でサバイブしていく覚悟が必要で、そのへんなんとかしていかなくては……と思ってきました。だからこうした業界団体ができて、知識・経験の共有や手続きのサポートなどが受けられたらとても心強いですね。

平田さんも、次の大きな課題としてフリーランスの社会保障を挙げていらっしゃいました。この点は心底同意です。個人事業主向けの共済とか、業種によっては健保組合などもあるにはあるのですが、ややこしいし面倒くさいし、結局それでどの程度安心できるのかわかりにくいし、月々の収入が安定してないと利用しにくかったりもするし。フリーランス当事者が制度設計に関わることで、利用しやすく安心感の増す社会保障が利用できるようになるなら、ぜひ応援したいし参加できることがあればしたいと思っています。

企業向けの「電子帳簿保存法」と「法律相談」

フリーランス新法の話が長くなりましたが、その他の企画についても簡単にご紹介します。

企業の会計関連ではインボイス制度が昨今の話題になっていますが、年明けからの「電子帳簿保存法改正」にも注目が必要です。ということで、「電子帳簿保存法改正の基礎」という企画で、freeeさんにお話をうかがいました。昨年のインボイス企画に続いて、今回もありがとうございました。PDFでやり取りした請求書や領収書類をプリントして保管している企業さんにとっては関係大アリの改正なので、今のうちにチェック必須です。

最後は、「制作会社経営者のための法律相談ガイド」です。契約や支払い、権利関係など、事業の中で問題が起きた時に頼りたいのが弁護士さん。でもほとんどのWeb制作会社は法務部がなかったり、顧問弁護士契約をしていないのでは……ということで、中小企業が気軽に相談できる窓口を紹介する記事を企画しました。お話をうかがったのは、東京弁護士会で「中小企業法律相談センター」の活動をしていらっしゃる弁護士さんです。

弁護士さんとお話をするのはこれが初めてでちょっとドキドキしていたのですが、とても気さくに、いろいろなことを話してくださいました。経営者の方が話し相手として顧問弁護士の存在を必要とする気持ちもわかったような気がします。


そんなわけで、Web制作の実務からは少し離れた話題が多くなりましたが、日々の業務には深く関わってくる部分もあるのではないかと思います。ぜひお手元に置いて、今後の参考にしていただければ幸いです。

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