Web Designing2024年8月号でデジタル庁に取材してデータリテラシーの記事を書きました
雑誌『Web Designing』2024年8月号が発売になりました。ロゴ、表紙、中身とも大きくリニューアルし、印象が大きく変わった一冊です。昔のWeb Designingを知る方には、懐かしさも感じられるかもしれません。でも新しいです!ぜひ手に取ってみていただきたいと思います。そしてなんとメイン特集がAIです。隔月刊の雑誌でAIってなかなかチャレンジングじゃないですか?
https://webdesigning.book.mynavi.jp/magazine/volume227/
個人的には、表紙にもお名前のある中村勇吾さんと清水幹太さんの対談がすごく面白かったです。昔のWeb Designingを知る方にとってはまさに懐かしさを感じるお名前だと思いますが、バリバリに今を生きてる感じがするし、少し前のことがどんどん消えてしまうWeb業界における「昔」の意味みたいなものも、なんか納得させてもらった気がします。
この号発売と同時に、Web Designingの公式サイトもリニューアルしました。私はこちらには参加していないのですが、Web独自の記事もあるみたいですね。雑誌が隔月刊ということもあり、読者の方との継続的な接点になっていくといいんだろうなと思います。
https://webdesigning.book.mynavi.jp/
人の仕事を理解するということ
今回私が担当したのは、第2特集「データリテラシー」をテーマに、デジタル庁さんに取材した記事「デザイン視点でつくるダッシュボード」です。5月末に公開された「ダッシュボードデザインの実践ガイドブック」を軸に、ダッシュボードとは何か? その意義や設計思想を通して、デジタル庁さんがダッシュボード推しのガイドブックを発行した意図に触れています。
これまで「ダッシュボード」というものについて深く考えたことがなかったので、データを扱うための新しい視点を得ることができて、とても学ぶところの多い取材でした。こういうインタビューの仕事ではよく、人の仕事を理解することの難しさと面白さを感じます。
最近個人的に、異なる業界の会社さんに取材するお仕事をいただくことが続けてありまして、業界知識が足りずに苦労する部分もありつつ、インタビューでお聞きする内容が毎回本当に興味深くて刺激になっています。IT系のプロダクトから、物流、エネルギーなど、日頃自分の見えていないところで社会がどう動いているのかとか、働く人が何に心を砕いているのかとか、聞けば聞くほど社会の知らない部分の大きさ深さに驚きます。
行政もそれは同じで、以前東京都の防災部門を取材した際は、平時には見えない部分で日頃からすごく大勢の人がいろんな角度からの災害対策が行なっていることを知りました。でも行政の内側ってなかなか見えない。特に東京なんて大きいから。そして大きいがゆえに問題・課題の数や規模も大きくて、相当考え抜いて議論して対策して結論を出しているのに、外側からは結論しか見えないので「思いつき」とか「わかってない」といった批判も結構出る。
実際そういうこともゼロではないのかもしれないけれど、なんでそうなっているのか、知らない業界で働く人の仕事を理解してみると見方が変わるなと思いました。特に、物理的に人やモノが動き、人の生活に接触するような仕事は、中身を知るほど本当になんも言えなくなります。今まで世間知らず過ぎた。
デジタル庁さんのお仕事も同じで、相手が大きいだけに(将来的にユーザー1億2000万人)、デジタル化を推進しようと言ったってスイスイ進むなんてあり得ないわけで。それでも、何かが先週よりも良い、先月よりも良いことを目指していくしかなくて。でもそうやって何かが変わればどこかに弊害が出ることもあって、そのバランスも取っていくしかなくて。その繰り返しでしか社会は続いていかない。
そういうことが個人のスケールからは見えにくいものなのだと、人の仕事に触れることで実感できます。実感しただけで自分に何かできるわけでもないのですが、漠然とした不満や不安を、少し具体性を持った課題に見立て直すには必要な要素なのかもしれないと思いました。
AIで未来を考える
もう1つ、担当した記事が第1特集「AIとクリエイティビティ」で『知財図鑑』の荻野靖洋さんに取材した「非エンジニアのAI活用 はじめの0.1歩」です。AIを“使う"ってどういうことなのか。仕組み以前に"考え方"を考えてみたい方に、ぜひ読んでいただきたいと思います。
で、記事中で紹介した知財図鑑さんのサービス「ideaflow」がすごく面白かったです。既存の特許に「何か」の要素(業界とかカテゴリなどの条件)を組み合わせて、AIに特許技術活用のアイデア出しをしてもらうサービスで、現在ベータ版として一部企業向けに提供していらっしゃるそうです。人間の考えは何かと今の社会に囚われがちで、ぶっ飛んだアイデアというのはそうそう出てこないですよね。そこをAIに手伝ってもらうことで、数が出せるようになる。そのまま使うというより、ヒントだったり方向性だったり、逆に「これじゃない」を見定めたりできることで、議論の速度は速くなるはずです。
日本は活用されないまま眠っている特許技術が非常に多いのだそうです。過去に人間が扱いきれなかった技術・知識を掘り起こして価値を生み出す、という意味でも、AIは人間にとって新しい道具になるのかもしれません。
ゆっくりにしか進めない大きすぎる社会と、猛烈に新しい何かを生成していくAIとの間で、今の人間はどう生きていくんでしょう。今の人が高度成長期を評価するように、50年後くらいに今がどう評価されているのか見てみたいです。
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