キレハノブドウ
側溝に野ブドウの固い実りを、見上げればイチョウに鈴生りのギンナンを見つける。草花は、強い太陽と高い湿度の中で力を蓄えつつ、着実に次の季節への準備をしている。毎年、お盆を過ぎる頃には秋の気配がする。足を使って出歩く元気が湧いてきて、静かにそして生真面目に育まれた小さな秋にやっと出会える。どこかから焚火のにおいがする。わたしは煙の香りが好きだ。マスクをはずして歩いていると感じていた罪悪感のようなものが、ようやく最近薄らいできた。季節の移ろいを五感で感じていきいきと生きていきたい。
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