21世紀の資本(トマ・ピケティ)

著者:トマ・ピケティ - 1971年クリシー(フランス)生まれ。パリ経済学校経済学教授社会科学高等研究院(EHESS)経済学教授。

(本の概要)

資本主義経済により格差が広がる現世界の理由を”資本収益率(r) > 経済成長率(g)”の不等式で説明し、自律的なメカニズムによって縮小されない各社社会に警報を鳴らしている。富の未来や今後生きる我々が取ることが出来る施策迄を与え先行き不透明な時代を生き抜くためのヒントを与えてくれている。拡大する格差を”能力主義社会”から”世襲(財産)ベース社会”への回帰と表現している。

(本からの抜粋)

:不等式を分かりやすく説明すると、

資本家が得る収益率(r: return) > 国の経済成長率 g (growth)

となる。つまり、gは貧しい人も金持ちも全て含めた国の経済成長率。rは資本の利益率。つまり資本家の財産の増え方。これにより一方的な富の蓄積が出来て、結果として格差が生まれる。

:資本収益率が経済成長率を上回る時、資本主義は自動的に持続不可能な格差を生み出し結果、民主主義社会の基盤となる能力主義的価値観を減速させる。

:富の分配史は、極めて政治的で経済メカニズムだけに還元できるものではない。つまり、格差の歴史は、経済的・社会的・政治的な人々の判断、相対的な力関係、集合的なせんたくにより形成される共同の産物である。

:資本に対する年次累進税が果てしない不平等スパイラルを避けつつ、富の一時蓄積の新しい機会をつくる競争とインセンティブは保持される。

:国家を超えた問題故に地球規模の民主主義により資本主義のコントロールを取り戻すべき。21世紀のグローバル化した世襲資本主義の有効な規制。

(私の気づき・意見)

:金融が分からない人でも理解しやすい本。

:世の中が(資本主義の立ち位置で)豊かになるためには資本収益率と経済成長率はともにプラスを継続すべき。但し数値の差が大きくなった場合の対策として課税がベストかは個人的に疑問。税金を担う政府が信頼できるのか、政府による税金の使い方が資本家にとって納得に行くものなのか否か、どちらかというと非常にネガティブ。

:資本収益率で高い数値を享受している資本家や団体が、経済成長もしくは社会貢献を如何ほどやっているのか、もしくはSDGsの物差しを使い、上記の資本家や団体を異なる角度から検証するのは如何だろうか?

:そもそも経済成長率がプラスの理由は、資本収益率が高い事業が多くあるから故に恩恵を受けているとの見方もあるはずだから、一概にこの不等式で資本社会を単純化して強引ともいえる結論付ける事には合意できない。享受した資本を社会や環境に貢献しようすることには大賛成(実際に私は実践してます。)


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