天地明察(冲方丁・著)

吉川英治文学新人賞、本屋大賞受賞。直木賞候補作

碁打ちの名門に生まれながら日本独自の太陰暦を創り上げるという壮大なプロジェクトに挑み日本文化を変えた男・渋川春海の物語。保科正之、水戸光圀、関孝和、本因坊道策など多くの著名人に見込まれて渋川春海がプロジェクトを成し遂げる様を綴った時代小説。最後のページをめくる迄ドキドキです。

(本からの抜粋)

> 天地に神々はあまねく存在し、その気は陰陽の変転とともに千変万化しながらも常にこのように漲っている。捨てるかみあれば拾う神あり、というg、その正しい意義は星の巡りであり神気の変転である。神気が衰えるとは古い殻を脱ぐ用意を整えるという事であり、蛇が己の皮を脱いで新たに生まれ変わるのと全く同じなのだ。

> 歴とは、絶対的な必需品であり、娯楽であり、教養であり、そして権威。

> 権威の欠如は決して活気にあるれる自由さを意味しなかった。人それぞれがバラバラに都合の良い権威に覆われることを望んで新たに改めることを拒んでゆくような気がした。それはもしかすると”息吹”を拒むという事なのかもしれない。

> 戦国の世においては、侵略阻止・領土拡大・領内治安こそ安定確保。太平の世におけるそれは民の生活向上。

> 為政者と民とが共感し合い、ともに国家繁栄に尽くすことが”道”である。

> 武は放っておけば幾らでも巨大になりえる化け物。“久を貴ばず”というのは、つまるところ、武は常に”久”となる機会を狙っているということ。

> 神道式の呼吸法 ”息吹息吸”

> 日本人が古来理想としていた”清明心”

> 今日が何月何日であるか決定権を持つ事は、宗教・政治・文化・経済全てにおいて君臨するという事。

> 主君の滅私、民主主義による民の生活確保、詳細な世情把握:治世の理想

> 神の働きを意味する誠、その働きに達するための敬、実践の方法たる祓 天地万物の本源たる神は、人間一人一人の内にもある

> 仏教は世を無とし、儒教は無が四徳たる仁義礼智の働きに変わるとするが、振動はもっと悠然と生と死を肯定する。死別の後残された者の新たな人生を後押しし、決して、世は無常だとも、過去に殉じろとも言わない。


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