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【自治体経営】マネージャーって難しい⑥ 公共的ニーズへの「配分割合」を変えること

自治体としての目標を達成するための政策形成過程のモデルとして「PDCAサイクル」によって説明することがあるかと思います。計画→実行→評価→改善という継続的な業務改善のモデルということなのですが、このモデルの有用性はさておき、課題解決を説明する手順としては、共通理解をする上で使える部分もあると思います。
具体的には、①何らかの公共的課題が、対応すべき事項として所管課(所管と思われる課を含む)に現れる。②対応策を検討して、調整などを行う。③実施する、④評価するのような感じを説明する時に、PDCAサイクルモデルを使って、議論することができると思っています。
新たな公共的ニーズの発現があった場合、先のPDCAサイクルのようなモデルで形式的な説明は可能でかつ「すぐに対応すれば良いでしょう」と言う話もありますが、現実の課題解決や対応は、そのように上手く流れるのかということを考えると、これは自治体にとっては、なかなか難しい問題を内在しているなあと感じています。

どういうことかというと、新たな公共的ニーズ(これまでどの所属も対応していなかったものなど)に対応するためには、それに対応するだけの資源(予算、人材など)の「配分割合」を変えなければならないからです。
民間企業であれば、事はそう単純ではないとは思いますが、新規ニーズに上手く対応すれば、結果は「利潤」として返ってくるとは思いますが、自治体は増税でもしない限り、基本的には、今ある予算でやりくりしなくてはならないので、自治体全体の「配分割合」を変える調整が必要になると考えています。
社会経済情勢の変化に対応して、新たな公共的ニーズに対応するとはいっても、既存の事業も必要性があるため単純にやめることができず、ましてやコロナ禍の様な巨額かつ対応が必要な緊急的財政出動もある中、配分割合の調整も簡単な事ではなく、研修やものの本で言われている学習的な話ではない現実的な「選択と集中」ができないと、借金ばかりが増えたり、急に立ち行かなくなる自治体が急増したりするのではと危惧しています。
そのような危惧が市民間でも共有化されていない中においては、「何故、要望していることが実現されないのだろう。」とか、「古くからある愛着のある事業なのになんで辞めてしまうのか。」という素朴な疑問に対して、毎年「厳しい財政状況にある」みたいなお決まりの説明を繰り返しても、非常に説得力に欠けるかなとも思います。

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