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リーディングの上達ポイント(改訂版)

ここ近年、朗読劇が増えていますよね。
そんなこともあってか、10年前から朗読劇の舞台台本とか演出を手がけているので、問われることがあります。
「どうすれば、リーディングが上手くなりますか?」と。
リーディングの上達ポイントは3つです。
1)内容を正しく解釈する『読解力』 
2)発声方法や声の表現にかかわる『技術力』
3)内容を想像する『イメージ(想像)力』

『読解力』をあげるコツ

『読解力』は文字が読めればなんとかなります。
意味のわからない漢字とか言葉があればググればいいのです。
外国の書籍を原文で読む場合も同じです。
注意すべきことは、国語の試験のように文を分析しながら読むのではなく、まずは全体像を把握するようにしましょう。ざっくりでいいです。
そして、「あらすじにまとめてみる」という作業がおすすめです。
あらすじは、できる限り簡単にまとめてみましょう。

例えば、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」

地獄に落ちた泥棒のカンダタが生前にした唯一の善行のおかげで、お釈迦様から救いの蜘蛛の「糸」が差し伸べられる。
その糸を使って天に登ろうとするカンダタ。すると、ほかの亡者たちもその糸を使って後から登ってくる。
亡者たちの重さで糸が切れそうになり、「下りろ」と言うカンダタ。糸は切れてしまいカンダタは地獄へまい堕ちる。
その模様を見ていたお釈迦様は悲しそうに蓮の池から立ち去る。

演出家がいる場合は、作品をどう読み解くかは演出の指針にかかわることなので、まずはその解釈を聞くべきです。
そして、自分の作品解釈とすり合わせていきましょう。
すり合ることは大切ですが、ときに、演出家に向かって「それはどうかなぁ〜」と、演出家を否定する発言をする人がいます。マンティングというか、そうした行為をしないと自分の立ち位置(座組でのポジション)が獲得できないと勘違いしている方です。
演出家をリスペクトできないのであれば(そういう人格の演出家もいますが)その公演には出ない、降板することをおすすめします。

『技術力』をあげるコツ

断言しますが、『技術力』は『日々の積み重ね』なので近道はありません。
テクニックの基本である発声や滑舌についてのメソッド教本は数多く出版されていますので、一度は目を通すといいと思います。本屋や図書館やネットで検索してもいいでしょう。その中で自分が続けられそうなものを選びましょう。有名人が書いたからといって、あなたに合うとは限りません。
ここで、注意すべきことですが、
「ボイトレ教室に行っています」という役者(俳優)に、どんな教室に行っているかと聞くと、歌うことのためのポップス系のボイトレ教室に通っていると聞く場合があります。
それ、間違っています!
楽曲を歌うための発声と台詞のための方法は違いますから。

『イメージ(想像)力』をあげるコツ

3つのポイントの中で『イメージ(想像)力』が強化されると、見違えるような表現ができます。
リーディングも舞台ですから「何かを伝えるため」の舞台です。
「伝える」ためにも、何を伝えるのかを自分の中にイメージできていないと単なるアナウンサー的な「情報紹介」に終わります。
「リーディング(朗読劇)の観劇は頭を使う」とは、観劇後のお客様からよく耳にする言葉です。見る方(観客)にも『イメージする』ことを求める舞台です。
演出家がいて、複数人の演者がいる舞台では、イメージを共有できるように稽古で調整していきます。

最近のリーディング(朗読劇)現場は照明や舞台装置など視覚的要素を加味した舞台も増えていますが、登場人物たちや状況を説明・補てんする視覚情報としての舞台美術・舞台装置・小道具が極力少ない舞台です。演者の衣装もシンプルです。
演者たちが居る空間がシンプルなゆえに、リーディング(朗読劇も含める)は、演者(時には演出も含めて)の作品に対して『感じている・持っているイメージ』が観客に『表現』としてダイレクトに伝わっていく舞台です。
演者や演出側のイメージ力が欠けたり、その伝え方を間違った場合、例え滑舌がよく心地よい声の演者が物語を語っても、それは文字情報を間違わずに読んだだけの『原稿読み』でしかありません。イメージがあるからこそ、声の表現や表情に変化が生まれ、登場人物たちが2次元から立ち上がってきます。
では『イメージ(想像)力』をアップする訓練方法ですが、自分ではない何かになったイメージで音読してみるのです。

例えば、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を演る場合、
あなたは、事件現場からその模様を中継をしている『レポーター』になってみるのです。その場合、あなたはテレビの向こうで観ている視聴者に向かって、お釈迦様の動きをレポートしているのです。動きをつけてみてもいいでしょう。
カンダタの台詞を言うときは、『警察車両のサイレン』になったつもりで「道を開けなさい!」的な気持ちで台詞を言ってみるのです。

以上、3つのポイントを簡単に説明しました。
絵本でも童話でも純文学でも、ちょっとHな小説でもなんでもいいです。まず、大好きな本を声を出し読んでみましょう。
そこから始まります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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リーディング(朗読劇)にご興味があれば、誰でも参加可能です。
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