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映画『茜色に焼かれる』

 自分の信念を貫いて生きようとすると日本の社会はいまだに逆風に押し出される。日本のおける社会のルールとは、個人のためではなく会社、組織、国家のために存在していると改めて実感してしまう。本当の自分、信念を押し殺して生きることに慣れすぎた社会では子供から大人までもが、真実に目を背けて生きることで自分の安住の場所に甘んじる。その中で一人信念を貫いて戦う尾野真千子演じる「かあちゃん」は、本当にかっこよく美しい。投げかけられる言葉を否定もせず、「まあ、頑張りましょう」と言いながら乗り越えていく。これは社会に対する芝居なのか、本当のことは芝居の中でしか表現できないのか、怒り・葛藤・不条理が渦巻く気持ちを見事に表現した尾野真千子の演技は圧巻である。気が付けば涙が止めどなく流れている。人は、一瞬の美しい茜色に焼かれるために、一生懸命生きることを教えてくれる感動の映画に仕上がっている。


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