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いつまでも心に残る映画を紹介します。 映画館に足を運ぶための道標になるために!

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最近の記事

映画『茜色に焼かれる』

 自分の信念を貫いて生きようとすると日本の社会はいまだに逆風に押し出される。日本のおける社会のルールとは、個人のためではなく会社、組織、国家のために存在していると改めて実感してしまう。本当の自分、信念を押し殺して生きることに慣れすぎた社会では子供から大人までもが、真実に目を背けて生きることで自分の安住の場所に甘んじる。その中で一人信念を貫いて戦う尾野真千子演じる「かあちゃん」は、本当にかっこよく美しい。投げかけられる言葉を否定もせず、「まあ、頑張りましょう」と言いながら乗り越

    • 映画『僕の帰る場所』

       日本とミャンマーの狭間で、自分の居場所を探す少年(僕)。日本で移民申請が進まず、生まれて物心ついた時から日本で生活し、日本の小学校に通う僕がミャンマーに行かざる負えない状況に陥る。日本社会の外国人に対する問題が根深く存在する。父親と離れ母親と弟と共にミャンマーに行くが、当然のことのように馴染まず孤独な生活へと陥ってします。自分は何者なのか、日本での友達からの思い出の品を抱え彷徨う。どうしようもない社会現実の中で、いつの時代も子供は犠牲になる。それを克服できるのか生きるための

      • 映画『コントラ KONTORA』   UPLINK吉祥寺

         「全面モノクロの映像」「後ろ向きに歩く男」「じいちゃんの日記」気になる要素は多様にある。ロングでの田舎の景観、正面から捉える自転車、ワンカットの会話など各シーンを切り取っても絵になっている。人の喜怒哀楽が変化することは特別なことではなく誰もが持っている感情ではあるが、戦争という狂気においては何が正義と言えるのか悩み苦しみ、逆戻りできない時空に抵抗する。今の時代に何ができるのかを問いたとき、主人公ソラのラストの行動がいつまでも記憶に残る。ソラという名には、時代を受け継ぐ希望の

        • 『ノマドランド』

           生き方は一つではない。アメリカ社会が抱える現在の問題だ。資本主義経済を信じ、日々生活は豊かになっていくと信じていたが、そこの行き詰まりは先進国と呼ばれる国では大きな課題として問われている。広大な大地、車社会のアメリカでは、その選択として車上生活をすることで自由に生きる方法があるのであろう。ある意味では厳しい生活ではあるが、土地、習慣に捕らわれず生きることが本来人間が持っている本能にあっているのかもしれない。「さよなら」ではなく「いつかまた」を挨拶として今を生き抜くことに人生

        映画『茜色に焼かれる』

          『ブータン山の教室』

           美しい景色と純粋な人たち。本当の幸せとはこのような暮らしなのかもしれない。映画では冬の厳しい季節は描かれていないため、実際には過酷な環境下であることには違いないが、標高4,800メートルという日本では体験することができない高さに暮らすということは、神々しい存在とも言える。その中でもペム・ザムの存在は際立っている。目の輝き、笑顔、立ち振る舞いが大自然の中から生まれてきたが如く魅了する。小学生の少女が実生活も含め辛い家庭環境にもかかわらず生きていく姿は、大きな希望だ。映画は観る

          『ブータン山の教室』

          『海辺の彼女たち』Vol.2

          驚くべきことではないが3人の彼女たちは、ベトナムのホーチミン市、ハノイでのオーディションにて選ばれた女優あるいはモデルである。100名の中から選ばれはだけあり誰もが役柄にマッチしており魅力的だ。本名をそのまま役名として使う藤元監督ならではの手法により、彼女たちは完全に役になりきっている。来日前にベトナムにて技能実習生と同様に日本語学校へ通う過程を踏み、その時点から日本へ働きに行く技能実習生の心理状態となっている。実際に日本へ技能実習生として働きに来る人の事情はそれぞれではある

          『海辺の彼女たち』Vol.2

          『海辺の彼女たち』

          ベトナム人の技能実習生(彼女たち)が日本で働き、生きていく日々を描いた映画。フィクションではあるが、ドキュメンタリーかと思えてしまうほどリアリティ溢れている。世界の流れからしても『ノマドランド』『ブータン山の教室』など役者がその世界に入り込むことによって真実以上の感動と共感を呼ぶ映画作りが評価されている。その国の社会的課題と生き方を描く意味は深い。世界が抱えている人権、労働環境、移民問題などを日本から発信する映画が稀な中、真摯に向き合い繊細に描いている『海辺の彼女たち』は世界

          『海辺の彼女たち』