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『海辺の彼女たち』

ベトナム人の技能実習生(彼女たち)が日本で働き、生きていく日々を描いた映画。フィクションではあるが、ドキュメンタリーかと思えてしまうほどリアリティ溢れている。世界の流れからしても『ノマドランド』『ブータン山の教室』など役者がその世界に入り込むことによって真実以上の感動と共感を呼ぶ映画作りが評価されている。その国の社会的課題と生き方を描く意味は深い。世界が抱えている人権、労働環境、移民問題などを日本から発信する映画が稀な中、真摯に向き合い繊細に描いている『海辺の彼女たち』は世界的にも評価されている。根底には生命と言う普遍的なテーマがあり、厳しい選択に迫られながらも生きていく逞しさもある。現在の日本には多くの外国人労働者が居るにもかかわらず、旧態依然の社会ルールでまかり通っている。規則のために仕事をするのではなく、誰もが幸せになるために仕事をすることを真剣に考えなければ日本の未来は危機に直面するであろう。これは決して遠くの漁港で起きているだけの話ではなく目前にある問題である。リアルな人物描写に海辺の景色が重なり素晴らしいコントラストを醸し出す傑作となっている。

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