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なんてことない 雑記 - 新訳、若草物語に思うこと

お父さんはいま、いないじゃん。
しかもしばらく会えそうにないし。

『若草物語』 - ジョゼフィーン・マーチ(新訳) 


「ジョーはそんなこと言わない」



ちょっとこの記事と、新訳のジョーのくだけすぎた口調にショックを受けた私です。


昔、友達と話したことがあるのですが『愛の若草物語』(アニメの方です、原作じゃなくてごめんなさい)でどの子が好きだった?って話していて満場一致で次女ジョーと三女ベスでした。

ジョーは勝気で活発でお転婆、独立心が強いけど不器用で損な生き方をしている、それら全部引っ括めてサマになってて素敵な女の子だった… そしてあんなに独立心が強いのに、誰よりも家族を愛し家族の為に働き頑張るところ!

女の子が同性として憧れ 友達として好きになるのはやっぱりジョーやんね と盛り上がったのを今も覚えています。(だからあんなに格好良かったジョーが後に結婚したのはちょっとショックで、とはいえ夫ベア先生とともに子どもたちの教育に尽力したのはジョーらしくもあり… ちなみにジョーのモデルのオルコット先生は19世紀のまだまだ抑圧された時代に未婚のまま生涯バリバリ働いていたのがまた何とも言えず格好良くて シビレステッキ 痺れ素敵でした)

ベスは健気で天使のようにいい子でひたすら愛しくて守ってあげたいみんなの妹やんね、マーチ家の大切な妹であり私たちの大切な妹でもある(?)せやからある意味 原作が許せんのよ と言いたい放題でした。(メグとエイミーのことは聞かないでください、今なら二人とも見栄っ張りで気取ってるけどそこも含めて可愛いや〜ん 🥰 で済みますが20歳頃の我々は二人の良さを計り知れなかったのです… )



新訳、読みやすいとは思うけどやっぱり時代背景が南北戦争の頃やし 書かれたんが19世紀やから、いくら自称マーチ家の息子ジョーもここまでフランクで今風な口調やないとは思うんですよね。

改めてジョーはあの時代においていかにセンセーショナルな女の子だったか。あの時代の婦女子は家庭を守り従順で受動的… はっきり言って添えもんみたいなオモロない生き方なんです、別にイヤキチ言うて19世紀の婦女子を責めてるんちゃいますよ。時代背景が今とは違うけど今の私からすれば こういう美徳やったんか、息詰まるやろな〜 って気の毒で。それらを踏まえてのジョーの登場、そら女子は大体ジョーが好きになるよね、今を生きる私達もジョーが好きだもの。

よくあの時代に 自分がモデルとはいえジョーという女性像を生み出されたな、オルコット先生は!感心して改めてWikipediaのルイーザ・メイ・オルコットの項目を見たら ジョーに輪をかけたような性格で、家庭環境のせいで幼少期は相当な苦労をした話が延々と載っていました。(要はドドド貧乏で ただでさえ栄養失調な上に、父ブロンソンの影響でオルコット家はヴィーガンだったのです… お父ちゃん、たんぱく質含めた全ての栄養は体にえーよー 🤐 )早くから家計のために労働に明け暮れ、愛する執筆活動も生活費の糧のための部分もあったそうな。

そのような状態にも関わらずオルコットは自身の健康に過信するぐらいタフで働き者の女性だったものの、南北戦争の看護師として劣悪な環境での激務と更にそこで腸チフスにかかり以降 元の健康な体を取り戻すことは出来なかったそうです。

それでも家族のために稼ぎ頭として献身的に働き、オルコット家の借金を返済し、両親を養い続け 妹メイ(四女、エイミーのモデル)の絵の勉強のため資金援助し その甲斐あってメイは画家になったものの出産後 髄膜炎にかかって亡くなったので遺された姪のルルを引き取り、未亡人になった姉アンナ(長女、メグのモデル)を一家ごと引き受け自身が亡くなった後はルルとアンナ一家(息子のジョンとフレッド)で著作権収入を4人で分け合うよう遺言を整えたそうです。

ちなみに病弱で若くして亡くなった妹エリザベス(三女、ベスのモデル)も懸命に看病し、治療費を稼ぐためスリラー小説を次々執筆したとのこと。どんだけ家族思いなのでしょう、ますますジョーとオルコット先生が好きになるゥー。




何だかオルコット先生自体が波乱万丈で苦労も多くドラマティックな人生を歩まれているので『若草物語』は読みやすく親しみやすい温かな物語なんだな と思いました、と なるとやっぱり「いないじゃん」はなーんか違うんだよなァ。

最後に私はWikipediaに載っていた日本で出版されている『Little Women』のリストを数えてみました、1906年から始り2019年までで206冊あり(数え間違ってたらごめんなさい)同じ翻訳者パターンもあるけれど3桁もの『若草物語』があるので「いないじゃん」のパターンが誕生するのも自然の流れかな… てことにしときます。


(中略)


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