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『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』の面白さを言語化する

こんにちは、草間大作です。

皆さんは最近「大当たり」と思える作品に出会ってますか。

基本的に私は漫画・アニメ・ゲーム等、あらゆる娯楽に対して辛口評価ですが良識ある大人なのでTwitterで「この作品はクソ!」などと大っぴらに言いふらすことはしません。しかし当たりのストライクゾーンは結構狭いです。

なので娯楽なのにそこから受けるストレスがそこそこ多く、仕事が忙しくなるのに伴って色んな作品をプレイすることが少なくなっていました。

ところが

ティアキンおもしろすぎ!!!

私は普段「遊戯王マスターデュエル」というゲームにどハマりしており、ちょうどそのゲームの全国大会的なイベントとティアキンの発売日が被ってしまったのですが、躊躇なく全国大会の方を放り投げました

さらにこのゲームの感想を言語化しておかなければ人生損するとまで思ったので、筆を執った次第です。

ちなみに私はこのゲームが終わってしまうのが本当に寂しいので、メインストーリーを一切進めずに地上の全マップを埋め、祠を102個ほど攻略し、マスターソードを既に入手しているような進め方をしています

なので勘違いや憶測による発言もあると思いますがご容赦を。

ストーリーがおもしろい

まず誤解を承知で言えば、前作の「ブレスオブザワイルド」はストーリー部分はあまり面白くありませんでした待って石を投げないで下さい

より解像度を上げるなら、「起伏」と「愛着」がなかったという方が正確でしょうか。

起伏という点では、「ストーリーの目的がそもそも薄かった」と言えます。

大筋としては「ゼルダを救い、ガノンを倒す」という非常にはっきりとした目的があったものの、「そこに至るまでの道草(システム面)」の方が正直本編であり、スタートからゴールまでの一本の綺麗な線ではなく無数に枝分かれしていました。

いやいや、ブレワイはその自由度こそがウリなんだから!」と言われればまったくもってその通りです。

ところが過去回想をちょこちょこと挟んでいく手法(後説法といいます)によって実現された自由度の高さは「ゲーム体験」としての強度は非常に高かったものの、無数のミニイベントに囲まれた根幹のストーリーの強度は非常に脆かったと言わざるを得ません。
だってこっちが祠攻略やコログ探しに勤しんでいても誰も急かしてこない(真剣に困ってない)から

その点については、今作「ティアーズオブザキングダム」についても同様ですが、ここでブレワイと大きく異なるのが愛着です。

例えば、ブレワイでは過去に四英傑と呼ばれる四種族のめっちゃ強い戦士がいて、その子孫や親戚等が現代でリンクと協力して冒険してくれます。

ここで問題がすでに生じているのですが、「ストーリーとしては後説法によって四英傑に寄り添う形になるのですが、プレイヤーがゲームとして体験する問題解決パートは現代の子孫たちに寄り添う形になる」ので、感情移入の対象が訪れる街によってバラバラになってしまうんですよね。

誰だってリトの村ではテバよりムカつく鳥リーバル(過去)の方が印象的だし、ゲルドの街ではウルボザ様より褐色ロリのルージュちゃん(現在)の方が印象に残ってるでしょ?

かわいいねぇ^^

広大な自由度を破壊せず、かつ矛盾のないよう作られたストーリーではあったんですが、こういう細かいところで粗が出ていたのが惜しいなーと思わせる設計でした。

ですが、なんと今回のティアキンはその問題さえクリアしてきました。

まだ発売から間もなく多くは書けませんが、今回は色々なキャラクターへの愛着を持たせる仕掛けが随所に施されています。
多すぎて書ききれませんが、主なところでは以下の通り。

①神殿攻略後に賢者と契約を交わし、一緒に冒険することができる。
→その種族のストーリーが終わっても忘れないようになる。

②シロツメ新聞社のペーンと共に世界中のゼルダの情報を集める旅がある。
→「リンクがゼルダを全然探してないwww」とネタにされがちではあるが、プレイヤーが横道に逸れていてもゼルダを忘れないような仕掛けがされている。

③地上絵という後説法ギミックを用いることで、ちょうど忘れかけた頃合いにゼルダとその周りの人物を思い出すことができる。
→②と同じ。

世界中に看板に描かれた絵を尊敬する人物そのものだと思い込んでいるヤバい奴に出くわす

等々がそれにあたります。

これらは全ていわゆる単純接触効果というやつで、同じ対象者に何度も何度も出くわすことで愛着を持てるようになるんですね。
自由度の高さ故に一期一会的な性質の登場が多かったブレワイに対し、まさか自由度を大幅に上げたうえでキャラクターにさらに愛着を持たせる工夫がされているとは夢にも思いませんでした

こうした技法により「愛着」をしっかり担保した上で、メインストーリーがこれまたちゃんと面白い。

こちらに関しては本当に何も言えないので、ご興味のある方はぜひティアキンをお買い求めください

ギミックがおもしろい

ブレワイを初めて遊んだ時に「少なくともギミック面でこのゲームより優れた作品は未来永劫現れまい」という感想を抱いたのですが、わずか6年で更新されてしまうとは夢にも思いませんでした。

常識外れの遊び方はTwitter等で各自ご検索いただくこととして、私はギミック面では恐らく標準的な遊び方をしている方で、適当にクラフトした乗り物で天地を駆け、コログは馬で市中引き回しにしています。コログにロケット付けてる悪い大人は「トイストーリー」を観て反省して!

「おもちゃ」にロケットを取り付ける悪い“子ども”

クラフトは最初の方だけは操作がかなり面倒だと思っていたのですが、ここはブレワイに引き続き丁寧丁寧丁寧なチュートリアルの連続。もはやどこまでがチュートリアルだったのかさえ良く分らない始末。

任天堂ママが手を引いてくれている安心感がすごいので、安心して赤ちゃんから小学生へと成長する過程を楽しむことができます

この文を書いているうちに、残念なことに自分が既婚30歳であることを思い出してしまったのでもう少し細かい話をすると、今回は特に物理演算パズルの色が濃いですね。

ファンタジックな属性の掛け合わせゲームである「原神」と比較すると、ティアキンはまさに「ファンタジックな物理演算」の掛け合わせ。

見慣れない単語が出て来ましたね(他人事)。

どういうことかというと、まず前提として誰しもピーチ姫のように傘で滑空しようと思った経験があると思います。

ティアキンのMODかな?

もちろん現実で全速力で走ってビニール傘なんか広げたら骨が裏返るだけですが、“速度の乗った滑空”というのは感覚的にやってみたい気持ちよいムーブだと思います。

それを叶えてくれたのがブレワイでの「パラセール」であり、ここをファンタジック物理演算の原点とし、同種の物理演算ツールである「マグネキャッチ」「ビタロック」がそれに華を添えている格好です。

これは誰もが思うことだと思いますが、ブレワイの“発展性”(=ユーザーの工夫の余地)の部分は主にパラセール(+ガケ登り)とマグネキャッチ、そしてビタロックの3つによって構築されていました

当時はそれがめちゃめちゃ斬新で面白い体験だったわけでしたけれども、それでもティアキンと比較するとまだまだ発展途上だったんだなと思い知らされました。

まずマグネキャッチで掴めるものについては鉄製の物体に限られたため、(特に今作のウルトラハンドと比較すると)いわゆる「なんでもできるぶっ壊れアイテム」にならないよう開発側に調整されているのが伺えます。
まあユーザーがその調整を飛び越えて勝手に飛行機を作り出したりしたのが今作のウルトラハンドに繋がったんじゃないかという話もありましたが、それでもそういった着想を生み出すヘビーユーザーと違って多くの一般ユーザーはそこまでこのツールをうまく使いこなせなかったと思います。

開発チームも絶句したと言われるブレワイのトロッコ飛行

そしてビタロックにおいては操作には一つ欠点があり、「物体にベクトル(力と向き)を与える」という遊びに発展性を持たせるのが実は結構難しいということです。
もちろんRTA等では大いに活用されて界隈を盛り上げてはいましたが、実際のプレイでは祠攻略以外でビタロックはあまり使わなかったという人も多いのではないでしょうか。

ビタロックを用いた「舞空術」

しかし

これらの「遊び」を原点として大幅に進化させたのが今作「ウルトラハンド」なわけですが、これがなんと使いやすいことか

最初から様々な使い方を想定されているおかげか、発展性を大いに内包しながらも、“システムの粗”を探そうとしないライトユーザーにも大変使いやすい設計。
前作でトロッコ飛行機を使ったことがないプレイヤーでも、さすがに今作では何らかの空飛ぶ乗り物をクラフトしたことでしょう。

今作ではクラフト製品にも多数のアーキタイプ(原型)が用意されているため、
プレイヤーが想像の余地を働かせやすい

ゾナウギアと銘打たれた多数の素材、各所の祠やフィールドで目にするクラフトのアーキタイプ(原型)、いかにも遊んでくださいと言わんばかりに嗜虐心をそそるコログたちやカバンダ。この辺の培われた「チュートリアルを置くテクニック」にはさすがに舌を巻かざるを得ません。

これらの美しい導線によって、プレイヤーは楽しくティアキンの遊び方を“勉強”できることでしょう。

まとめ

ブレワイの印象としては、まさにゼルダの敵キャラにありがちな「目玉だけが弱点の無敵の魔物」のような印象を抱いていたのですが、ティアキンにおいてはもはや「弱点の目玉すら存在しない完全無欠の魔王」としか思えません。

世界一面白いと断言できるほど完璧だと思っていたゲームが、続編でさらなる進化を遂げて現れる……そんな体験をしたのは「ドラゴンクエストビルダーズ」シリーズ以来でしょうか。

むしろよく6年程度でここまでのクオリティのゲームを作れたものだなと。
開発に携わった皆さんの高い分析力と技術力には感謝と尊敬の念しかありません。

サンキュー、任天堂&モノリスソフト
フォーエバー、任天堂&モノリスソフト

次回作は3年後ぐらいで頼む。

#全力で推したいゲーム

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