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外出自粛生活でカメラ散歩ができなかったので、新しいレンズを買った


――写真を撮るのは、どこでだって、楽しい。


外出自粛生活中の「カメラ」事情

緊急事態宣言が出てから解除されるまでの、約1ヶ月半。フリーランスである自分には「必要な外出」もなく、期間中はほぼ引きこもって過ごしておりました。外に出るタイミングといえば、

・近所のスーパーに買い出しに行く
・軽い運動がてら散歩に出かける

くらいのもので、それ以外はずっと家の中。もともと人と会う機会が少ない生活を送っており、かつインドア適正のある人間なので、あまりストレスを溜めることなく過ごせていたように思います。

ただ、それでも怖いのが、運動不足と生活のマンネリ化。

いくら家に引き込もれるからといって、まったく運動しないのはメンタル的によろしくない。寝て、起きて、メシを食って、パソコンの前に座って、仕事をして、メシを食って、仕事をして、メシを食って、また寝て――というルーチンを繰り返すばかりでは、さすがに気分も塞ぎ込んでこようというもの。

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これ、「自分はインドア派だから大丈夫!」だと思っていても、水面下では意外とストレスが溜まっていることもあるから怖いんですよね……。自覚はなくても、なんとなく不機嫌になりがちだったり、悪い方向に考えやすくなったりと、徐々にメンタルが蝕まれていく場合もある。僕はそれを、過去のニート生活で学びました。

そんな懸念もあり、期間中は次の3点を心がけることに。

できれば毎日、少なくとも2日に1回は外に出る
散歩もしくはジョギングをする
散歩の際はカメラを持って、いろいろな道を歩いてみる

ただ外に出て運動するんじゃなく、カメラ片手にお散歩してみようかな、と。それなりに勝手知ったる街ではあるものの、普段はあまり散策することのないご近所。せっかくの機会だし、写真を撮りながら歩いてみるのも悪くない。そう思って、カメラ片手にぶらぶらしていた格好です。

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最初の数日は、それも楽しかった。

「写真を撮ろう」と意識するだけでも自身の目線が変わり、道端でいろいろな発見をしながら歩けていたので。でもしばらく経つ頃には、「外を歩いて写真を撮る」だけでは物足りなく感じるようになってしまったのです。

というのも、歩く道の選択肢には限りがあるから。

天気や時間帯によって目に見える景色の違いはあっても、ベッドタウンは変化に乏しく、写真に撮れる被写体も限られてくる。せめて、日替わりでお猫さまと出会えればいいのだけれど……いや、でもそういえばこの辺、あまり猫を見ない気がするにゃー……。

唐突に思い出した、話題の「レンズ」

そんなある日のことです。
とある「レンズ」の存在を思い出したのは。

いつの間にか多くの人がゲットして、あちらこちらで使っていたそのレンズ。パッと写真を見ただけで「これが噂の!」とわかるほど、明らかに写真写りが変わる優れもの。Twitterのみならず、普通に歩いていても「あ、使ってる人がいる!」とたびたび見かけるほど、話題になっていたレンズ。

それが、こちら。

VRChatのカメラ拡張ツール『VirtualLens』と、拡張機能『VirtualLens+: 被写界深度シミュレーション』です。

――はい、そうです。
VRの話です。

VR空間の「カメラ」ってどんな感じ?

その名の通り、VR空間でユーザー同士の会話を楽しめるソーシャルVRサービス『VRChat』(※VR機器は必須でなく、パソコンでも利用できます)。

基本的には他のユーザーとの会話を楽しんでいる人が多いようですが、ゲームを遊んだり、ユーザーが開催する音楽ライブやクラブイベントに参加したりと、いろいろな楽しみ方ができるVRプラットフォームです。

そんなVRChatを必ずしも “Chat” 目的で使わず、ぼっち気質の自分が「おもしれーーー!」と楽しんでいた活動。それが、仮想空間のワールドを巡っての「お散歩カメラ」でした。

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VRChatには世界中のユーザーが作成・投稿した無数の「ワールド」が点在しており、自由に行き来することが可能。つまり、他のユーザーとは一切交流せず、1人で仮想世界を巡って楽しむ」という遊び方をしても、何ら問題はないのだ!

種々様々な世界を巡るのはもちろん楽しいし、きれいなワールドに行けば、自然と写真を撮りたくなる。しかも、VRでは自身の姿形も自由自在。服を着替えるような感覚で好きな姿になり、素敵なワールドで記念撮影――なんてこともできるのです。

そういえば、そんなVRならではの事情もあり、VR生活2日目にして「自撮り」に目覚めたオッサンもいるそうな。

リアルでは天地がひっくり返っても自撮りなんてしないのに、VRでは嬉々として自分の顔を写真に収めようとしてしまう……いやー、VRこわい。マジこわい。ちなみにこのオッサン、VRでの自撮りに慣れすぎて、うっかりリアルでもスマホを自分に向けかけたこともあるらしいからみんなは気をつけような! オッサンとの約束だぞ!!

自撮りの話はさておき。

ところで先ほどから普通に「カメラ」という表現を使っていますが、「VR」における「写真」と「カメラ」の取り扱いは、リアルとは少し違う部分もあるそうな(※筆者はカメラ素人なので、見当違いのことを書いていたらごめんなさい)。

「カメラを向けて、シャッターを押せば、写真が撮れる」という基本動作は同様。しかし、シャッタースピードやオートフォーカスのような設定はありません。ゆえに写真がブレることもボケることもないため、VRでは良くも悪くも「そのままの景色」しか撮影できないのです。

簡単! お手軽! でも簡単すぎる!

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なので、基本的には構図やらポーズやらを試行錯誤しながら写真を撮る形に。

もちろん、きれいなワールドで「どこを切り取ろうかしら……」と考えながらカメラを構えるのは楽しいし、上手な人の写真を見て「すげー!」と思うことも頻繁にある。

ただ、表現の幅や自由度は、リアルのカメラと比べると見劣りしてしまう。どうしても「美麗」な方向で撮りがちで、特定の被写体にフォーカスした「味のある」写真を撮るのは難しい――。少なくとも自分は、そう感じていました。

VRで写真を撮るのは楽しい。でも、あまりにもその空間が精巧にできているから、「もっとリアルに近い感覚で写真を撮れれば……!」とも思えてしまう。せっかくVRでもお散歩カメラを楽しめるのだから、リアルよろしく “それっぽい” 写真を撮ってみたい。

そう、人は仮想空間においてさえ、
“映え” を求めずにはいられないのだ……!

VirtualLensの被写界深度シミュレーションがすごい!

そんななか登場したのが、『VirtualLens』とその拡張機能『VirtualLens+: 被写界深度シミュレーション』

これが、前述の自分の欲求をまさに叶えてくれるものだったのです。

被写界深度シミュレーションは、VRChatのカメラ機能で被写界深度を利用したボケ表現を実現できるようになる優れもの。このツールの存在を知った瞬間、「少し前からTwitterで見かけていたVRChatの素敵写真は、これを使ったものだったのかーー!!」と、すべてが腑に落ちました。

というわけで、早速、導入。

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いずれも同じワールド(Another moon)にて撮影したものです。どうでしょうか。伝わるかしら。

――え? 「どっちもかわいい」って?
はっはっは。よせやい。照れる。

冗談はさておき、普通に撮影した1枚目と比べると、2枚目の背景のボケ具合が見て取れるのではないかと思います。ここまで自然に、はっきりとボケるとは思わなかったので、この結果には思わず大興奮。しばらくはボケ強めで写真を撮りまくることになりました。たーのしー!

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もちろん、あまりボケさせまくるとせっかくの美麗なワールドの魅力が伝わらなくなってしまうので、ほどほどに。

一方で、被写体を強調したり、遠近感を伝えたりしようとする際には、この被写界深度シミュレーションが大活躍

ボケ感の調整も、F値を変えるだけなので簡単です。このツールのおかげでVRChatにおける写真表現の幅が広がり、めちゃめちゃ楽しめている今日この頃。自分で撮るのも、人の写真を見るのも、楽しい。

VirtualLensを片手に歩く、VRChatの世界

そして当然、VRならば、外出自粛も何のその。
どこへだって自由に行って、お散歩カメラを楽しめる。

というわけでここからは、新しい「レンズ」を手にして撮った写真を、最近訪れたお気に入りのワールドとあわせてご紹介。これが僕の、外出自粛生活中のバーチャルカメラライフだ!

World: Yayoi Summer days

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水没した街と、空を飛ぶ鯨。
どこか終末感の漂う夏の世界に、ぽつんと佇む和風家屋。

リアルの「夏」の訪れはもう少し先だけれど、VRならばいつだって「夏」と会える。終わってしまった世界で、終わらない夏休みを過ごす――好みすぎるシチュエーションなんだが!?

World: Yayoi Summer Nights

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そんな常夏の世界にも、夜が来る。
あたたかな灯籠と鮮やかな花火が、夏夜の世界を照らす。

やさしくてやわらかな「夜」の装いが、昼の世界とはまた違った癒しを運んでくれる。昼の世界で遊び疲れたら、好きなタイミングで「夜」に帰りましょう。

World: Storm Day

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見慣れた自室ではなく、あえてVRの一室でStay HomeしたってOKだ。

窓を叩く雨音と、外で鳴り響く雷鳴。
明かりのない一室は、でも不思議と落ち着く空間で。

考え事をしたいときに訪れるワールドがいくつかあって、こちらは最近のお気に入り。たまに入ってくる見知らぬ他人も落ち着いた人が多くて、誰かと一緒に過ごす時間も嫌いじゃない。狭いけれど、密じゃない。

World: 黄昏れ特急 -Big Sunset Express-

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家で過ごすのに飽きたら、電車に乗って出かけたっていい。

橙に染まった、夕日の世界。
どこまでも続く水面と、水平線。
一直線に走り続ける、特急列車。

車内も車窓もリアルのものに近いのに、どこか異世界じみているのは、きっと人がいないから。それでも、よく知るガタンゴトンというレールの旋律を聞いていると、本当にそこが列車の中であるかのように思えてくる。はてには振動すら感じられるよう……で……( ˘ω˘)スヤァ

World: the station -VRきさらぎ駅-

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そして目を覚ます頃には、見知らぬ駅に迷い込んでいるかもしれない。

荒廃したホーム。人の気配がない駅舎。
不穏な気配に包まれた、かたわれ時の世界。

何も知らない人ならば、純粋に「寂しい世界」と感じるかもしれない。けれど、そこには明らかに不穏な空気が漂っている。視覚と聴覚に飛び込んでくる情報の断片が、無視できない何かを訴えかけてくる。

ネットロアが長年かけて広まってきたように、VR時代ならではのフォークロアが登場することもあるのかしら……なんて。

VRでお散歩カメラしよう

そんなこんなでタイトルにもあるとおり、「外出自粛生活でカメラ散歩ができなかったので、(VRで)新しいレンズを買った(結果、充実したカメラ生活を送れているよ!)」という話でした。いやー、VR楽しい。超楽しい。

6月に入って少しずつお出かけできそうな雰囲気にはなってきたものの、それでもまだ遠出するのはためらわれる今日この頃。ご近所のもうちょっと先、電車で2、3駅くらいの距離をカメラ片手に散策するか、チャリに乗って出かけるくらいにとどめておこうかなーと。

というか、季節的にも梅雨である。雨は嫌いじゃないけれど、わざわざ濡れに行くつもりはございません。結局、しばらくは引きこもらざるを得ないのでしょう。映画は観に行きたいけれど。

まだいろいろとリスクもあるなかで外に出ていくよりは、仮想世界の電車に乗って旅立つか、潜水艦に乗り込んで海中ツアーに繰り出すか、軌道エレベーターで宇宙を目指すかしたい気持ちもある。仮想世界の乗り物は、きっと僕らをまだ見ぬ素敵な場所へと連れて行ってくれるはず。そこでいっぱい、カメラを構えよう。写真を撮ろう。

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ところで……ここはどこです??


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