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完 おかざきアートのるつぼ2023

写真は「選曲」

 8月27日(日)
 8月下旬から始まった「おかざきアートのるつぼ2023」は遂に千秋楽を迎えた。最終日にあたり行うべき重要な目標が二つ。
 1)午後2時から午後5時までの間に美術館から作品搬出
 2)岡崎とえいば美合。美合といえばバーガーキング開催中「2コ得キャンペーン」に乗じる
 私はこの目標を達成するべく、前日からどういう手筈で駒を進めるかと入念な策を練っていた。その内容は下記参照。
 ー極秘ー
 まずはバーガーキングへ。午前中までには店に到着しておきたい。渋滞が嫌いなので主要道路を避け尚且つ快適な道筋を選出すること。安全でありつつ運転していて楽しい、例えば歌詞は判らないんだけど車中で思わず唄ちゃうような感じになることを願う。多少の迂回はむしろ歓迎的。
 店到着後は約一つの価格で二つのバーガー、朝食と昼食を兼ねる弛まないカロリーを摂取し、その後暫し店内で待て。
・重要事項
 美術館のトイレがどのような塩梅かは現段階では確認出来ていない(ああ、くそう。作品搬入日に確認しておくべきだった)。経験済みである街の中の街ことイオンタウンのトイレを使用すること。行ってみたら「思てたんと違う」というのは避けろ。トイレは綺麗に使うこと。汚いトイレと汚く使う奴は嫌いだ。
 その後美術館へ向かう。さすれば自ずと午後に突入しているだろう。優雅に作品を鑑賞し、絵を回収。帰路朗々と車中カラオケ一人のど自慢大会午後の部開演。チャンピオンと審査員、参加者は常に俺。
 俺帰宅後、風呂掃除、部屋掃除。その後入浴。後録画した大河ドラマを観るし酒も飲む。快適わーいわーい♬
 そういう流れで行こう。じゃあ明日の俺、あとはよろしく。
 8月26日(土) 市川 にこ

「調和。完璧だ。完璧。だ」 これが秘密指令策定後に溢れた言霊だった。シンプル明瞭、一分の隙もなく「楽しい楽しい♪ わーい♫ わーい♬」愉快で良い。大変良い展望を感じ、我ながら自分の才能に震え、それを納めるため酒を飲み、そして寝た。
 翌日。起床。私は元来目覚めが遅い方で、寝起き後は牛のようにゆっくりとした刻を過ごすたちである。この日も居間で立膝をつき、ゆるりふわりとTV新聞を同時に鑑賞拝読。
「世の中はだいたい揉めているらしい」 鑑賞読後そういう感じのことが伝わり、ズンズンと牛のようにページを押し捲ると新聞書評欄。気になる書籍の題目と著者の名を「誰だ、テメエ!」と、ぞめき日記帳に綴る。
 そうして過ごしていると同じような立膝姿勢を続けたがためか、祟り、腰や背中に嘘のような痛みが走り出し、改善策である体操を仏間で開始。お盆を終えたものの未だしゃしゃる夏のボケはしつこく暑さを企て、そんな中で体をあっちこっちに伸ばしたり、屈めたりすると怠いし、汗をかきかき、個人的には少しの体臭は寧ろその人の素、素体を感じ歓迎的なのですが、入込の方々は匂い入りはあまり好まれないようなので「浴びとくか」と、シャワーに打たれ脱衣し着衣。洗面所で身支度を整えていると……。
「こ……これは」 午前11時だった。
 前日企図した最終指令によると、私はどうやら午前11:15〜30辺りには店内で二つ目のバーガーをほうばり両頬を膨張。これ見よがしに揚がった芋をひとつまみ、天に上向きしらすを飲むように呑み込み、注文を待つ長蛇の列の皆様方へ幾許かのエンタメをゲリラ的に敢行。その動機背景にはSNSで散見される「みんな〜集まれ〜。しょうもないことで他人の上に立ったつもりになってやる奴がまた居たぞ〜」から受けたインスピレーションを元に、狭小な自己満足というコンセプトに浸るつもりだったのですが、余裕で遅刻。
「やべえ!」 急ぎ車に乗車。信号という信号を概ね守り、中には怪しい黄色、赤が混色し始まったかもしれませんが、記憶は曖昧ですので、お巡りさんどうかお許しください。
 そういうことで結果、到着予定時刻に出発するという試合運びに至りましたが、それ以外は概ね計画に基づいていきました。
 まず事前に選出した道筋は大変快適。尚且つ風光もまあまあ結構いい感じで、機械から稲作まで、インダストリアルから農耕の中で育まれた過去を持つ私におあつらえ向きの風景が連続していた。その光景はメタルから稲穂まで、謂わば生産現場が移り変わっていくといったものでございます。
 そうした連続する営みは車中でも行われていた。音楽を聴きながら歌うというか、叩く方で盛り上がっており、足で車内を踏み鳴らし、ハンドルやダッシュボードをはたき、移動と同時にリズムに引っ張られ脈拍の加減速が繰り広げら続いていた。
 購入後なんとなく聴きそびれていたCDアルバムが思いの外よく、「うお! 素敵! まじ素敵!」嬉しい誤算を拝聴、曲に合わせてドライブ拍自慢大会。如何せんこのアルバムを聴き込んでいないことと、たいしたはたきの技術を持ち合わせておらず、車内で車をはっつくそれは8割は外れているのだが、当人は大変満足していると、直ぐだった。

 ・イオンタウン岡崎見合 バーガーキング 現着
 12:04 嫌な胸騒ぎがする。駐車場の混雑状況、そして着場する前から薄らと判っていたのだが時刻は昼時ど真ん中。混んでいるんだろうなと覚悟はしていたのだが、到着してみるとやっぱり混んでいて「うわあ……」という気が抜けた声を漏らす。日差しは厳しく、遠方に駐めて歩くことになるんだろうな……という諦めから湧き立つ現実感が私に及んでいた。
 が、思いの外店近くの車留に空きがあり、両手を振り上げ顔前で握りしめ歓喜を頂点に掲げ、懸垂するが如く下げ降ろす。所謂ガッツポーズをとり終えると視界は開け、そこに見えるはバーガーキング入り口から外に漏れ出る客足の列という列。ビジュアル的には平素だがはみ出し者の数々、明瞭な混雑っぷりに頭がぐらりと揺れる。顎を守るような位置を下死点とした両手握り手は一時膠着。内向きだった拳をぐるりと外向きに歓喜は180度回頭。グーをパーに開闢。降参を意味するバンザイ姿で下車。伸びをするような素振りで客足の脇を闊歩し、向かった。こういう時のエディオンにだ。
 電動マッサージ機に揉み絆され、そろそろ午後1時。なんだかんだで落ち着くだろうという願望の下、店を出る。すると、あんま変わってなかった。
 往復切符のようなワッパーJRバーガーを二つ、クルーザー級のカロリーを得るため抑えてきた朝食が祟り、空腹は限界。外は熱射で臨界。「助してけ〜」避難するようにイオンタウンへ駆け込み、ニコニコカレーパンというそれを手に取る。私はそうした商標を登録した記憶がなく、上手く間を抜かれた気がしたが、自意識過剰ではないかという自省の狭間、それを手にし購入。せめてものイオンタウンを味合おうとバーガーキング近くテラス席にて「自主独立」と、間食。
「あっ、うめえ」 カレーパンの味に感想を述べていると、そろそろ美術館へ行かなければならない時間按配。車に乗車し一路美術館へ向かう。
「あっ、ここの公園脇を通った方が良い道な気がする」 道中湧き上がる好奇心が私を迷わせ、ナビを要所要所で無視したところ二度ほど迷った。

 ・岡崎市美術館 現着
 13:20 予定よりは遅れているが、食への執着を一時保留することでなんとか修正することが出来た。
「予定は変わるものだ」妙な前向きさを口にし、美術館入り口前に立つと「作品搬出」との張り紙が来館者を出迎える。
「おや? 午後2時から搬出だったはず。やべえ!」 出立が遅れたため全体的に巻きになったんか! 誰にも計画を吐露してないのに! 焦り入り口を潜り受付へ「あ、あの! 搬出って午後2時からじゃないんですか!」の声に「とりけんな、とりけんな。まだ!」と、私を秋田県地方で広がるZoo Zoo弁で諭す職員。同時的にその脇をF20号程のキャンバスをむんずと鷲掴み、我先に退館しようとする老齢のちゃん爺画伯。
「あ、あれいいんすか? いいんすか?」という私の声。
「だめ!」と、職員は口にし、諭す対象を私から彼へ移し替える。
「ダメです。まだ! 午後2時からです」 F20型の画家は嗜められ、彼はキャンバスを抱え誰それでもない空間を見つめ、待つことを余儀なくされた想いを開放していた。
「とんでもねえ爺様だ。どでんした。リニアか」ご高齢の健脚に声を上げる職員。
「ふふ、らしくなってきたな」と、私は顎を摩り、作品鑑賞を始めていったのだった。
 岡崎市美術館一階 二階 東館一階 合わせて入り口ホールに画家自ら携行した作品を鑑賞。立体から論語まで、各作品がずらずらっと並ぶ。同時に室内に脚立、吊るされた作品を外す職員さんの姿を目に出来た。初めて見る光景は建築現場内装のアルバイトを思い起こさせた。夏の暑い中、空調もなくビニール膜で養生された建設中の空間は、吐き気を促されるほどに暑かった。夏という時期がそうしたことをいっそうと誘発させたのだろう。
 項垂れる記憶の中目に飛び込んできた一つの作品に私は虚をつかれ、足を止めた。額装されたそれは濃い緑の心皮が描かれ「まめ」と書かれている。秋田県の方言で「まめ」とは「元気」を意味し、「まめだったかあ?」時間を隔てた相手との距離を縮める、はっぱ付けのような使われ方をするそうだ。素直に植物、食物として見た場合実利でもある。茹るような暑さに旺盛と身をつける枝豆。鈍る食欲にうってつけの高タンパク質食材。季節もあり、食い物即ち生きることを描き、尚且つ人と人の距離を縮める言葉でもある「まめ」は優れている。作品名を見ると題名を「無題」とするその仕業に「こいつめ」と、にかにかとし、その場を後に。
 ズンズンと鑑賞を進め、吊るし終わった自作に到着。その横に掲載されていた書「和風慶雲」目にし、書かれた言葉の意味を携帯端末で検索。意味を理解し、再び書を見ると丁度鳥首を下げたような形に。このような可い作品と並べて展示していただいた美術館学芸員つまりDJへ「ありがとうございます」を想い、会場をぐるりと二周。すると丁度午後2時を迎え、搬出開始。
「おい、お前ら帰る前にアンケート書いてけよ。書かねえ奴は筆へし折るからな」と美術館側の圧政に出品者一丸と前屈みに屈し、記載。
 数年前にひょんなことから訪れた岡崎市は大樹寺。徳川家康との逸話を知り、何かの形で他人へ伝えたいことを想い続けておりました。
 8月の下旬の開催という「時期」と、岡崎市という「場所」に合わさり大河ドラマ「どうする家康」放映中の2023年の現在、この上ない最良な舞台に参加出来たことにお礼申し上げます。ようやく想いを結実化出来、他人へ見てもらえる刻に恵まれたことに感謝申し上げます。

 退館。

 まだ終わらない。なぜならば岡崎といえば美合であり、入れ籠シティーこと街の中の街、ザ☆岡崎イオンタウン美合、そう美合といえばワッパーんへ私は向かった。

 ・再びバーガーキング 現着
 14:30 二度も訪れることになるとは思いもしなかったが、ばんざいの伸び姿で降車することは忘れていない。この時間になり客足は落ち着き、数組の注文客の後に頼んだワッパーチーズJrとスパイシーワッパーJrのセット。瑞煙感じるチーズバーガーは相変わらず美味しい。初めて食べたスパイシーワッパーJrは、いいですね。しっかりとした味付けと程よい辛味を余裕でペロリ平らげ、帰宅。

 帰路朗々と車中一人太鼓大会午後の部開演。楽しかったです♪

バイクを買うぞ!