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ごめんね、ぼてぢゅう

回転寿司にカレー、おでんにハントンライスと、昨今は色々と種類も豊富な金沢グルメ。でも、実は私の幼少の頃からのグルメと言えば、当時片町にあったぼてぢゅうのお好み焼きだった。

今では道も広くなり行き来もしやすくなったが、幼少の頃は、私の生まれた井波から金沢までは距離は近いが山を越えるため、そう頻繁に行き来はできなかった。金沢は県内の高岡よりも都会。高岡でさえ、普段は着ないようなおしゃれな服を着せられて連れて行かれたものである。ましてや、金沢。もう、行くとなったらちょっとした事件である。

そんな街、金沢。なぜか、覚えている味といえば、ぼてぢゅうのお好み焼きだった。お好み焼きなんて、自宅でも作れそうなものだが、なぜかあの店のお好み焼きだけは別格だった。目の前の鉄板で焼く演出効果もあったのだろうが、ずっと忘れられない味であった。

時が経ち、高校を卒業し、東京へ。そこで知る。

「へー、ぼてぢゅうって、チェーン店だったんだ…」

結論から言うと、これは誤解だったのだが、当時はちょっとショックだった。別に金沢じゃなくても、食べられたんだ…。なんか、お互いに初恋の相手同士だと思ったら、後になって、相手に元カレがいたことを知ったような、そんな感じだった。

それでも、今のカミさんと付き合って、一度金沢に遊びに行ったときにも一度ぼてぢゅうに連れて行ったことがある。もう、ちょうど実家に連れて行くような感じだ。「今の僕を構成する一部です」と言っても過言ではない。

でも、いつの間にか、片町のお店がなくなっていることに気づいた。初恋の人が結婚して、もう地元にはいなくなった。どこか知らない街に行っちゃった。そんな感じだった。

初めてぼてぢゅうでお好み焼きを食べてから、もう40年くらい経つだろうか。縁あって、今や金沢で単身赴任中。ある日、Google Map上でブラブラ市内を観光しているときに(結構、好きなんです、これ)、偶然ぼてぢゅうの店名を見つける。

「おっ、未だやってるんだ!」

そこから、再度ぼてぢゅうを訪ねて、お好み焼きを食べるのが私の金沢でのミッションの一つになった。

それが、本日かなった。

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テイクアウトだったけど、当時の味の違いも定かじゃないけど、やっぱり自分にとって、スペシャルな味だ。

ずっと、金沢にいたんだね、40年も。勝手にふらふらと、アチコチぶらついていたのは、僕の方なんだね。

ごめんね、ぼてぢゅう。

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