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なぜドラゴンズの二軍先発ローテは崩壊したのか

釣りタイトルです。ごめんなさい。

”崩壊”は言いすぎたかもしれません。
しかし”上手くいってない”と言えば多くの方は納得するのではないでしょうか。

8月8日、文春野球コラムに掲載されたCBC若狭アナの二軍の投手事情に関する記事が発端となり、前々から言われていた「二軍、ヤバいんじゃね?」の声がSNS上のあちこちで爆発しました。

運用、育成方針、編成。様々な事象が多面的に存在するこの問題。

そこで今回のnoteはなぜこうなってしまったのか、なるべく網羅的に書いていこうと思います。

まずはじめに時計の針を昨年のオフまで戻し、時系列で順に追っていきましょう。

編成面のお話

戦力外通告期間

投手で戦力外となったのは
佐藤・マルク・タバーレス・濱田・大嶺の5人。

※濱田は出場0

穴の空いたイニングは1軍,2軍合わせて合計161 1/3イニング


その後ドラフトで仲地・森山・松山・野中を指名。
トレードで涌井を獲得。
根尾の本格的な投手転向、梅津の復帰を考慮すると、7で割っても一人当たり20イニングちょっと。

森山・野中が1年体つくりで投げなくても、涌井がその分投げることは容易だと思います。

戦力外の分のイニング消化は新戦力と既存戦力の上積みだけで余裕でまかなえる量だったと思います。

現役ドラフト

続いてのイベントは現役ドラフト

ドラゴンズファンのみなさんは周知のとおり現役ドラフトで細川を獲得しました。
彼の活躍は目覚ましいもので、いなかったらと考えるだけでぞっとします。

そんな細川と引き換えに放出されたのが笠原
先の表に笠原のイニング数を加えてみましょう。

合計は219 1/3、割合は9.8%に。
それでも新戦力だけで埋めるのはまだまだ十分可能なレベルに感じられます。
笠原の現役ドラフトでの放出は編成側からしたら「別に計算通りだし」といったところだったと思います。

つまり戦力外、ドラフト、トレード等のシーズンオフに起こるイベントは、編成面から見たら大きく失敗はしてないように見えます
(あくまで量だけ見たらの話です。戦力層の話になればまた違ってきます。)

これ以上量を増やすと次は逆に出場機会の配分が行き渡らなかったりします。
どこまで選手を削るか、どこまでリスクヘッジしたほうがいいか。
これは価値観の問題になってきます。

首脳陣側のお話

自主トレ期間~春季キャンプ

福島のリリーフ転向

昨年二軍で1番イニングを食ったのは鈴木(99 1/3)。2番目が福島(87 1/3)。

福島はフェニックスリーグでは3試合登板して19イニングを投げており、2軍で経験を積みつつ先発要員としてローテを守る存在としてはこれ以上ない位置にいたように見えます。

しかしオフの間に中継ぎ転向になりました。
理由は明かされていませんが、中継ぎの左腕不足から頭数を揃えるためだったと予想します。

あの時は福がまだ実践復帰しておらず、候補は砂田・サイド転向の岡田・橋本と圧倒的な存在はいなかったと記憶しています。

▼まずは中継ぎでの起用になりそう もちろんそこに入ってきてもらいたいし、ゆくゆくは先発を目指してほしい投手。

【中日・立浪監督語録】シート打撃で福島「ボールに力があったし、非常に楽しみ」-2023年2月8日

後からなので何とでも言えてしまいますが、ゆくゆくは先発という構想があるにも関わらず、目先の中継ぎを補充するために二軍の若いイニングイーターを配置転換させてしまったのは投手運用上とても痛いことになってしまいました。

福島は現在のペースでいくとシーズン40イニングペース。
昨季の87 1/3イニングから半分以上減らす数字になってしまいます。

岡田のリリーフ転向・怪我

忘れていた方も多いと思いますが、昨季の岡田は先発でした。
しかも二軍では福島に次ぐ3番目のイニング消化数(73 2/3)。

彼も中継ぎ転向組なので福島と同じイニングを投げられていたとしても約40イニングが浮いてしまう計算になります。

これで福島と岡田二人合わせて約80イニングのロスト。
この数ウェスタンリーグの規定投球回に相当します。

退団となった選手たちの合計と合わせて約300イニングが空くのがキャンプ開始時に確定
300イニングを埋めるのは新戦力+既存選手の上積みだけでは少ししんどいと思います。

そこに岡田が大けがを負ってしまい全休確定(これは仕方ないお話)

+福島の転向分40イニング

これでさらに+40。
キャンプ終了時には約340イニングが空くのが確定しました
そこにあの大事件が起こります。

開幕直前

ロドリゲスの亡命

題のとおり、説明不要ですね。
ロドリゲスが昨季54 2/3イニング。
中継ぎの序列を一人づつ上げざるを得ない事態になり中継ぎ陣の負担も増加。

+福島の転向分40イニング

以上から開幕前の時点で約400イニングを新戦力+既存戦力の上積みで埋めなければいけなくなることがわかりました。
これはもう、破綻している以外の言葉が見つかりません。

編成面ではキャンプ開始前時点では新戦力でイニングを埋めるのは余裕だった。
しかし左腕中継ぎ不足を埋めるため中継ぎ転向を連発したために苦しくなってしまった。
これは少し首脳陣の見通しが甘かったと言わざるを得ません。
編成と現場の意思疎通ができているのかとも思ってしまいます。

ここからシーズンに入ると大野雄大の手術が決まり500イニングの空白ができたと見積もってよいでしょう。

そこに上田を長い間先発調整させず、一軍のビハインド要員として消費してしまったのも痛かったと思います。


結果として高卒1年目にもかかわらず森山が中6で回らなければいけなくなり怪我が起こってしまいました。
さらに穴埋めのために中継ぎだった垣越、アルバレスが先発。それでも2軍の先発陣はカツカツです。

この原因となった福島、岡田、上田の先発→中継ぎの配置転換を一概に批判はできません。
むしろドラゴンズはこの戦略をとり、清水、勝野、ロドリゲスを次々に勝ちパターンの投手へと変身させました。
要は程度の問題で、何とか戦力化したいと目先の利益に走りすぎてしまった結果副作用が目立ってしまったということです。

コーチ陣の問題

2軍の投手コーチは現在山井・浅尾の2人体制で回しています。
昨年は3人体制でしたが、森越内野守備コーチを加えたことによりなぜか小笠原元コーチがはじき出されてしまいました。

そもそも森越コーチを加えたのは内野ルーキーたちを急いで育成するため。
それ自体は全く問題ないですが、なぜかその分投手コーチを削ってしまったために、キャリアの浅い山井と浅尾の2人で運用をしなければいけないことを招いてしまいました。


補強期間も終わり、これ以上の投手補充はできません。
正直、2軍の先発ローテは綱渡り状態です。
これからどう運用していくか、今年のドラフトはどれだけ投手を指名するか注目していきたいと思います。


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今回はここまで。
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データ引用:1.02 ESSENCE of BASEBALL
※無料で閲覧可能部分のみ引用しています。



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