海外の展示会(SXSWなど)におけるデザイン的Tips、10のこと
2014年から過去4回ほど(今年も出展する予定なので計5回)SXSWのTrade Showに「HACKist - HAKUHODO i-studio」という名義で出展社として参加しています。
今年2月は、東京/大阪で開催されるSXSW Meetupにてスピーカーとしても参加する予定ですが、そこで伝えきれない出展におけるTipsについてまとめていきます。
東京/SXSW2018 Meet up in Tokyo
大阪/SXSW2018 関西コミュニティ Meet up
過去の出展歴で言えば、SXSW(アメリカ:4回)、Ars Electronica(オーストリア:1回)、AD ASIA(台湾:1回)です。チームとしてはCESにも一度出展サポートで参加してます。
ちなみに、sonyさんのWOW Studio(去年はWOW Factory)やPanasonicさんのPanasonic Houseといった国力を感じる規模ではなく、あくまでもTrade Showにおいての出展話が中心となります。ですので、出展に際しての予算規模で言えば、100〜700万円くらいのレンジの出展社さんに向けたTipsとなります。
※ちなみにデザインTipsとしてますがテクニック的な話ではなく、いい状態で運営するための状況を作ることがデザインの一種である、という解釈で述べてます
(1)ローカル環境下でも動く準備を
一度でも出展やインタラクティブイベントを実施された経験のある方にとっては釈迦に説法ですが、基本的に会期中のブースエリアの通信トラフィックは半端ないので、対策は必須です。Bluetoothはろくに通じないこともありますし、フリーで解放しているWi-Fiは会期中は繋がらないケースが多々です。
ネットワークを必要とする展示を行う場合は独自で回線を用意するか(レンタルなど)あくまでもデモと割り切ってローカル環境で動かせるようなバックアップは意識しましょう。
(2)布はつかえる
こちらの写真は2016年時のブースですが、バックスクリーンと円筒形の黒いアイテムはいずれも布製のものにプリントしています。日本で出力し輸送で現地に持って行ってます(どこの会社で出力しているかまではお伝えできませんが、ググるとこのようなサービスを提供されている会社は幾つか見つけられるでしょう)
比較的安価ですし、布の材質を選べば発色も結構いいです。あとシワになっても伸ばせますし(紙の場合は折れたり水濡れに弱いので、展示会で大きな比率を占める場合はおすすめしない)そこそこ乱暴に扱っても壊れることが少ないので、展示をそれなりに演出する場合は「布」を使うのは一つの選択肢としてよいでしょう。
(3)メジャーは必ず日本から(ツール類も含む)
これ、かなり忘れがちなんですが、現地でレイアウトの寸法測ったりする場合「メジャー(巻尺)」は必ず日本から持っていきましょう。なぜかというと、アメリカの場合は単位がインチだからです。忘れて向こうで手に入れたくても、インチ/cm併記のメジャーはそこらのショップで手に入りにくいですし、amazonで手に入れるのも時間がかかります。
メジャーだけでなく、トンカチ、ハサミ、ドライバー、両面テープ、養生テープ・・・などなどは、できるだけ日本から持っていくことをおすすめします。
(4)フライヤーは最大でもポストカードサイズに
展示会にやってくるお客さんは、色々なブースでフライヤーを手にとって回ります。その時に、A4サイズのような「通常の」チラシサイズのものは、かさばるので基本嫌がります。フライヤーはその展示で見たものを後から思い出す「記憶のブックマーク」だと割り切り、詳細な情報はWebに載せてそちらに誘導するなど、取り回しのよさ優先がよいでしょう。
ちなみに、セールストークをする場合はこの限りではありません。ちゃんと顧客を捕まえる目的の場合は詳細資料があった方が良いケースもあるので、用途に合わせたサイズチョイスがよいかと思います。
部数としては1500〜2000部ほどあれば良さそうですが、これもどれくらい集客あるか見えないので、少しバッファをもたせて用意した方がいいでしょう。
(5)インセンティブは色々と使いやすい
簡単なものでいいですが、ステッカー/グッズ/Tシャツなど、配れるものがあると集客に関係したり、「ツイートしてくれたらあげるよ!」なんて話ができます。ブースに人がこないとそもそも意味がないことと(本質的にはコンテンツ力がメインではありますが・・・)持って帰ったアイテムを後から見た時にフライヤーと同じく「あ、こんなブースあったよな」と思い出してくれるキッカケにもなります。
(6)大事なものは基本、手持ちで
展示に必要なPC、機材、ハードウェア・・・などは手持ちで持ち込むことをオススメします。以前、これは噂で聞いた話なのですが、ある日本の出展社さんがギリギリのタイミングで荷物を発送したところLAで引っかかり、展示期間中ずっと荷物が届かずに空のブースで過ごさざるを得なかった・・・とのこと。
発送する内容によっては、素材、用途、梱包物などを全て明記必要なケースもあり、その不備で上記のような事態になることも考えられます。展示に必要な重要アイテムに関しては、エクストラチャージがかかっても手持ち移動が良い場合があるでしょう(ただし絶対はありません。全ての発送/持ち込みは自己責任で)
(7)入場パスは余裕をもって確保する
主にSXSWの話ですが、パスはTrade Showが始まる前日に獲得することを強くオススメします。というのも、設営が始まる日(今年の場合だと3/9から)はとにかく激混みし、パスがゲットできるまで余裕で三時間・・・という場面がそこかしこで見られるからです。
また、Trade Showの出展社だからといって、パスのゲットに関して融通が利くわけでもなく、通常のパス引き換えと同じラインに並ぶ必要があります。ですので、前日から現地に入られる方は余裕を持って前日にパスをゲットし、設営当日の朝一から作業できるような状態に持っていけるのがベストでしょう。(おそらくSXSWに限らず、他のフェスでも同様だと思います。行動は余裕を持って、が理想です)
(8)ブースは必ず2人以上の体制で
これもSXSW中心の話ですが、ブースの出展規約に「ブースが空の状態を見つけた場合、罰金1500ドルが発生」と明記されています。コストの関係で一人、二人でのミニマム出展なケースもあるかと思いますが、この縛りでトイレにも食事にも行けない、マジでやばい・・・となる可能性があります。ですので、バックアップも含めた人数の体制は整えましょう。
また、会期が終わる前にブースをたたむのも、罰金の対象になります。過去のケースで最終日にもぬけの空・・・となっているチームがあり、会場担当者が激ギレしているのを目撃したことがあります。レギュレーションに即した運用を心がけましょう。
(9)Trade Showは初日、2日目が勝負
SXSW Interactiveを狙う人は特に、初日でとにかくブーストかけた方が良いです。メディアもプレスも初日にワーッと集まるので、ここでメディアに取り上げられたらネットニュースやTwitterなどで拡散することが考えられます。
逆にMusic狙いのお客さんは3〜4日目がポイントになります(3日目からMusicのメインコンテンツが始まりだすため)。ただ、全体的に3日目以降はゆるい空気になるのと最終日は時間が短いので、インセンティブやフライヤーは二日目までに出し惜しみをせずにバンバン撒くのがいいでしょう。
(10)とにかく楽しむこと
でもなんだかんだいって、これに尽きます。
エントリーされる方々みなさま、色々な思いを持って現地に行かれることと思いますが、出展は基本的に人 対 人です。楽しそうに話するなー、なんかパッションあるなー、本人が一番楽しそうだなー、といった空気に、世界中から集まる人が反応してくれ、いいコメントやアドバイス、またその空気に触れた周辺の人がどんどん集まってくれます。行くまでは緊張もするし、不安な気持ちになりますが、基本は学芸会のようなノリです。作る人、楽しむ人、ちょっと立ち寄る人、情報が欲しい人、買いたい人、などなど思いは多種多様ですが、全体が醸すその空気に触れて「新しい何か」に触れたい人がほとんどです。
そこに難しい顔をして真面目な空気をガンガンに出すよりも、ナチュラルでカジュアルな雰囲気の中で出展者側自身がとても楽しんでいる、そして見てる人も勝手に楽しくなる、そのような空気が海外の展示会には現れているように思います。
ひとまず大事なことはこの辺でしょうか。
SXSWをはじめとした海外への展示に踏み込むぞ、という方の一助になればと思います。
いただいたサポートはローカル活動や事業者の支援に活用します。