いるはずのない同級生
このお話は他のサイトで公開した物を書き直した物で、昔友人から聞いた話を一部付け加えて書いた物です。
さて今日はどんな話をしようかのぉ
ん?怖い話かえ?
そうじゃなぁ・・・
ふむ。
あれはわしがまだ小学生の頃じゃった
その時に住んでおった家のすぐそばに広い道があっての
道の両側にはおもちゃや人形やらの卸問屋が軒を連ねておってな
昼間には店員が忙しく立ち回っておった
その道を背中にして緩い坂を1キロほど登っていくとちょうど同じくらいの広さの道があってな
ただ、道を広げている最中じゃったから登ったところから右手は狭い昔ながらの道じゃった
ちょうどその角にな、誰も住んでいない古いお屋敷のような家があったんじゃ
ある時に友達三人が集まってその家を探検しようということになった
そしてわしらは行った
その家の前に立つとぐるりと塀があって左手は細い道へ降りていく階段があった
塀の端に門があったが閉まっておったから、わしらは塀を乗り越えて中に入ったんじゃ
中は広い敷地に木が茂っておって真ん中に家があった
塀から少し歩くと家の玄関があって、不思議なことに玄関には鍵がかかってなかったからわしらは中へ入ったんじゃ
中へ入ると広い三和土があって、座敷へ上がると埃は積もっておったが思いのほか荒れてなくてな
外の喧噪も聞こえずに静まりかえって別世界のようじゃった
わしらはがらんとした部屋を見回って、次に二階へ行こうということになった
二階へ上がると目の前に襖があってわしらは襖を開けて部屋に入った
部屋に入ると向こうの方にまた襖があった
わしらは襖を開けて部屋に入った
するとまた襖があったからわしらは襖を開けてまた中へ入った
するとまた襖があって入って襖があって入って・・・と、わしらはどんどん襖を開けていったんじゃ
すると最後に窓のある部屋に出た
窓から外を見るとすぐ下でおもちゃや人形やらの店先で立ち働く人たちが目えた
な~んだ、これで終わりか
とわしらが言ったときすぐ右で
ねぇこっちにも襖があるよ。行ってみようよ
と言う声がした
見ると、わしらの同級生がそこにおった
いつの間に・・・
というより、そいつはいつも勉強ばかりしてそんな場所に来るはずがない奴じゃったからわしらはギョッとして
いや、もう帰るからいい
と言って一目散に一階へ降りて玄関を出て塀を乗り越えて家へ帰る近道の階段を降りていった
階段を降りて人心地ついたわしらは後ろを振り返えると、左側の見上げたところにさっきの家の窓があった
あぁ、あそこから俺たちは見てたんだな・・・
と思った途端にゾッとした
あの窓からは遠くてとてもおもちゃやと人形屋の店先が見える筈がないんじゃ
わしらは叫びながら走って家へ帰った
そして次の日学校であの屋敷におった同級生に尋ねたんじゃ
お前なんであんなとこにおったんや
そしたらそいつは
ん?何のこと?
と言うから説明したんじゃ
そしたらそいつは
僕そんなとこ行ってないよ
と言いよった
あの家におったあいつはいったい何じゃったんじゃろか
あいつについて行ったらわしらはどこへ連れて行かれたんじゃろなと
今でも時々そう思うんじゃ
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